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ダンジョンのある世界で生きる  作者: 竜太郎


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第283話「いつもの朝」

朝。


蒼月残存区域。


風が吹いていた。


外壁布が揺れる。


雪煙が流れる。


配線が小さく鳴る。


久しぶりに戻った音。


だが。


誰も安心していなかった。


影は来る。


皆。


それを知っている。


それでも。


朝は来る。


配給班は鍋を運ぶ。


補修班は工具を持つ。


見張り班は交代する。


子どもたちは水を運ぶ。


いつも通り。


北海道は動いていた。


その時。


悠真が外壁へ上がる。


白い息。


北を見る。


影。


見える。


遠い。


だが。


以前より大きい。


以前より近い。


そんな感覚があった。


白峰 蓮が記録紙を確認する。


「移動継続」


短く。


「反応上昇継続」


続ける。


誰も驚かない。


もう。


全員が知っている。


状況は良くない。


その時。


玲奈が目を閉じる。


少しだけ震える。


「……来る」


小さい声。


昨日と同じ。


だが。


今日は少し違う。


以前より近い。


その重さがあった。


下。


避難区画。


子どもたちが雪だるまを作っていた。


小さい。


歪な形。


でも。


皆楽しそうだった。


その光景を見て。


悠真は少しだけ息を吐いた。


守るものは。


まだここにあった。


(次話へ)


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