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第275話「変わらない朝」
朝。
蒼月残存区域。
風が吹いていた。
布が揺れる。
雪煙が流れる。
いつもの朝。
そう見えた。
少なくとも。
表面上は。
子どもたちは水を運ぶ。
補修班は外壁へ向かう。
配給班は鍋を準備する。
皆。
動いていた。
生活は続いている。
それが北海道だった。
その時。
悠真が外壁へ上がる。
白い息。
北を見る。
影。
今日もいた。
遠い。
だが。
昨日と同じ場所ではない。
ほんの少し。
近い。
その事実だけが重かった。
白峰 蓮が記録紙を見る。
「移動継続」
短く。
「反応上昇継続」
沈黙。
誰も驚かない。
もう。
そういう段階を過ぎていた。
玲奈が目を閉じる。
少しだけ顔色が悪い。
「……探してる」
小さい声。
昨日と同じ。
でも。
今日はさらに確信が強い。
何を探しているのか。
分からない。
それが余計に怖かった。
下。
避難区画。
美月が子どもたちと話している。
笑い声。
小さい。
普通の朝。
その普通が。
今は何より大切だった。
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