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第274話「夜の確認」
夜。
診療区画。
灯り。
小さい。
白い。
ぴーちゃんが記録をまとめていた。
熱。
疲労。
睡眠不足。
侵食消耗。
数字だけ見れば。
良い状況ではない。
だが。
崩壊もしていない。
維持できている。
それが重要だった。
その時。
老人が入ってくる。
毛布を抱えている。
「眠れん」
短く。
ぴーちゃんが少し笑う。
「みんな同じ」
静かな声。
老人も苦笑する。
そして。
窓の外を見る。
風。
雪。
暗闇。
その向こう。
北。
「いるんだろうな」
掠れた声。
ぴーちゃんは答えない。
答える必要もなかった。
いる。
皆。
知っている。
その時。
遠く。
カァン。
鐘。
一回。
長い音。
老人が目を閉じる。
ぴーちゃんも外を見る。
影。
侵食。
魔王。
そんな言葉より先に。
守るべきものがある。
この灯り。
この人たち。
この生活。
それを残す。
それが今の仕事だった。
長い夜は。
まだ続いていた。
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