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第271話「見張り台の朝」
朝。
蒼月残存区域。
風が吹いていた。
外壁布が揺れる。
雪煙が流れる。
音がある。
それなのに。
誰も安心していなかった。
見張り台。
夜勤明けの兵たちが交代している。
目の下。
皆少し黒い。
眠れていない。
それでも。
持ち場へ向かう。
北海道では。
誰かが休めば。
誰かが埋める。
そうやって維持していた。
その時。
悠真が外壁へ上がる。
白い息。
北を見る。
黒い空。
遠い脈動。
まだ続いている。
そして。
影。
いる。
今日も。
遠く。
雪原の向こう。
立っていた。
昨日より近い。
そんな気がする。
でも。
確信は持てない。
その時。
白峰 蓮が記録紙を確認する。
「深部反応上昇」
短く。
「継続」
それだけ。
もう驚く者はいない。
皆。
分かっている。
近づいている。
玲奈が小さく言う。
「……起きてる」
短い声。
以前なら。
意味が分からなかった。
今は違う。
誰もが理解していた。
その言葉の重さを。
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