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第265話「近づく影」
午後。
外壁上。
観測班。
風。
双眼鏡。
白い息。
全員が北を見ていた。
その時。
影が現れる。
昨日より早い。
そして。
少しだけ大きい。
遠い。
それでも分かる。
近づいている。
誰かが息を呑む。
悠真が双眼鏡を握る。
影は動かない。
だが。
位置が違う。
昨日より。
近い。
その事実だけで十分だった。
白峰 蓮が記録を見る。
「反応上昇継続」
短く。
「速度増加」
沈黙。
玲奈が肩を震わせる。
「……近い」
小さい声。
昨日より。
さらに明確だった。
その時。
雪面が揺れる。
長い。
広い。
まるで。
地下に海があるみたいだった。
誰も喋らない。
風だけが吹く。
そして。
遠く。
黒い影が。
ほんの少しだけ。
動いた。
その瞬間。
全員の背筋が凍った。
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