第147話 「防衛線」
群馬防衛線。
黒い群れが押し寄せる。
地面が揺れる。
数が多すぎる。
「左押されてる!」
叫び声。
壁が軋む。
以前の未分類個体とは違う。
止まらない。
流れ続ける。
波みたいに。
その時。
悠真が前へ出る。
「通路閉じろ!」
短く。
即座に壁が動く。
桐谷 恒一郎たちが組んだ防衛構造。
狭める。
流れを固定する。
群れが中央へ押し込まれる。
その瞬間。
蓮斗が飛び込む。
一撃。
前列が吹き飛ぶ。
だが。
すぐ後ろが埋める。
「キリねぇ!」
汗が飛ぶ。
息も荒い。
だが。
止まれない。
その時。
03が横を通る。
動きが違う。
無駄がない。
「……そこだ」
短く言う。
その瞬間。
空間が沈む。
群れの一部がズレる。
進行が崩れる。
その瞬間を。
白峰 蓮が逃さない。
「今、流せ!」
壁角度変更。
群れ同士をぶつける。
黒い影が潰れ合う。
狭い通路。
数が逆に邪魔になる。
「……いける!」
誰かが叫ぶ。
だが。
その時。
後方で異変が起きる。
群れが止まる。
そして。
横へ広がる。
「……散るぞ!」
白峰 蓮が叫ぶ。
統制されている。
学習している。
その瞬間。
防衛線の外側へ回り込み始める。
「くそっ!」
蓮斗が動こうとする。
だが。
03が止める。
「動くな」
短く。
その瞬間。
03が壁を見る。
「二重線に切り替えろ」
全員が止まる。
その時。
桐谷 恒一郎が理解する。
「……内側使うのか」
即座に動く。
後方壁。
閉鎖。
防衛線が二段階へ変わる。
外側を一度捨てる。
その瞬間。
群れが外壁を突破する。
木材が砕ける。
だが。
そこで止まる。
次の壁。
狭い。
さらに狭い。
群れが詰まる。
「……ハマった!」
蓮斗が笑う。
その瞬間。
悠真が踏み込む。
通路中央。
ギリギリの位置。
一撃。
前列を崩す。
そのまま。
蓮斗。
白峰 蓮。
連携。
崩す。
流す。
止める。
以前より動きが噛み合っている。
その時。
ぴーちゃんが後方で回復を飛ばす。
「右、疲労強い!」
小さい声。
だが。
正確。
戦場全体を見ている。
その時。
玲奈が突然言う。
「……来る」
全員が止まる。
次の瞬間。
後方。
黒い群れの奥。
巨大影が動く。
空気が変わる。
群れ全体が一斉に止まる。
「っ……!」
誰も動けない。
圧が違う。
その時。
03が初めて前へ出る。
完全に。
「……下がれ」
短く。
低い声。
悠真が聞く。
「何だあれ」
数秒。
沈黙。
そして。
03が答える。
「……指揮個体だ」
空気が凍る。
指揮。
つまり。
群れを動かしている存在。
その時。
巨大影が一歩出る。
その瞬間。
群れが一斉に動く。
今までと違う。
完全に統制されている。
一直線。
防衛線へ。
「来るぞ!!」
悠真が叫ぶ。
全員が構える。
その瞬間。
巨大影が腕を上げる。
群れが加速する。
壁が揺れる。
地面が軋む。
今までの比じゃない。
その時。
黒崎 恒一が低く言う。
「……ここからだな」
短く。
だが。
全員が理解する。
本番は。
今から始まる。
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