第122話 「初対応戦」
外。
静かすぎる。
風がない。
音がない。
侵食の気配も。
消えている。
「……来るぞ」
悠真が言う。
短く。
全員が構える。
さっきのやつ。
あれは。
もう一度来る。
確信がある。
その時。
空間が歪む。
ほんの少し。
だが。
確実に。
「……見えた」
白峰 蓮が言う。
その一点。
視線が集まる。
次の瞬間。
“そこにいる”。
また。
現れる。
あの存在。
輪郭が揺れる。
形が定まらない。
見ていると。
ズレる。
「……いくぞ」
悠真が言う。
前に出る。
だが。
突っ込まない。
距離を保つ。
対策。
すでに始まっている。
「……右!」
白峰 蓮が言う。
歪みが動く。
位置がズレる。
その瞬間。
悠真が回避する。
ギリギリ。
触れない。
「……読める!」
蓮斗が言う。
少しだけ笑う。
だが。
その瞬間。
それが止まる。
そして。
ズレる。
予測と違う位置へ。
「……っ!」
白峰 蓮が止まる。
読みが外れる。
その時。
それが一瞬で距離を詰める。
蓮斗の前。
「っ……!」
蓮斗が反応する。
ギリギリ。
腕をかすめる。
その瞬間。
感覚が消える。
「……くそっ!」
蓮斗が後退する。
腕。
動きが鈍い。
完全じゃない。
だが。
削られている。
「ぴー!!」
ぴーちゃんが回復をかける。
だが。
遅い。
戻りきらない。
「……無理に近づくな!」
悠真が言う。
全員が距離を取る。
その時。
それがまた動く。
だが。
今度は。
追ってこない。
止まる。
見ている。
観察している。
その視線。
明確に。
“学習している”。
「……こっち見てるぞ」
蓮斗が言う。
低く。
その時。
白峰 蓮が言う。
「……試されてるな」
短く。
だが。
確信。
その通りだった。
これは戦いじゃない。
“観測”。
その時。
悠真が言う。
「……下がる」
即断。
全員が動く。
深追いしない。
今は。
勝つ必要がない。
情報を取る。
それが優先。
その時。
それが少しだけ動く。
距離を詰める。
だが。
途中で止まる。
それ以上は来ない。
まるで。
“範囲がある”かのように。
「……そこか」
悠真が言う。
理解する。
行動範囲。
制限がある。
完全自由じゃない。
その情報。
大きい。
その時。
それがゆっくりと消える。
歪みの中へ。
何も残さず。
静寂。
全員が止まる。
誰も喋らない。
その時。
蓮斗が言う。
「……勝てねぇな」
正直に。
だが。
その通り。
その時。
悠真が言う。
「……今はな」
短く。
だが。
確実に。
否定しない。
逃げない。
その時。
白峰 蓮が言う。
「……情報は取れた」
整理する。
「距離制限あり」
「完全予測不可」
「回復無効」
「接触で干渉」
短く。
だが。
十分。
戦える材料。
その時。
悠真が小さく言う。
「……次は対処する」
短く。
だが。
確実に。
理解できない敵。
だが。
対処はできる。
その段階へ。
進む。
初対応は終わった。
だが。
戦いは、これからが本番だ。




