第121話 「解析開始」
拠点。
全員が集まっている。
さっきの存在。
あれは。
無視できない。
「……整理する」
白峰 蓮が言う。
いつも通り。
冷静に。
だが。
今回は。
少しだけ遅い。
それだけで分かる。
“未知”。
その重さ。
「……まず前提」
「侵食体ではない」
確定。
「魔王系でもない」
これも確定。
「既存の分類に当てはまらない」
その一言。
場が静まる。
分類できない。
それが。
一番厄介。
「……ぴー」
ぴーちゃんが言う。
少し不安そうに。
「回復……効かなかった……」
重要情報。
今まで。
例外はない。
だが。
今回は。
違う。
「……干渉系か」
白峰 恒一が言う。
小さく。
だが。
核心に近い。
「……物理じゃない」
「状態そのものに触れている」
全員が理解する。
ダメージじゃない。
“存在のズレ”。
その時。
「……だから当たっても効かねぇのか」
蓮斗が言う。
納得する。
あの感触。
おかしかった。
その時。
悠真が腕を見る。
もう動く。
だが。
違和感が残っている。
「……完全には戻ってないな」
短く言う。
その言葉。
重い。
残る。
影響が。
その時。
白峰 蓮が言う。
「……時間差干渉」
小さく。
「もしくは」
「存在遅延」
専門的。
だが。
完全には当てはまらない。
その時。
白峰 恒一が首を振る。
「違うな」
短く。
「説明できていない」
その通りだった。
言葉にできない。
それが。
問題。
「……なんだよそれ」
蓮斗が言う。
苛立つ。
理解できないもの。
一番嫌いなタイプ。
その時。
黒崎 恒一が言う。
「理解するな」
短く。
だが。
強い。
全員が見る。
「対応しろ」
その一言。
空気が変わる。
その通りだった。
理解できないなら。
理解しようとするな。
対処だけ考えろ。
その時。
悠真が言う。
「……距離だな」
短く。
その時。
「近づいた時だけ干渉してきた」
事実。
全員が頷く。
「……なら」
白峰 蓮が言う。
「距離を維持すれば被害は減る」
対策。
一つ。
だが。
「……追いつかれるぞ」
蓮斗が言う。
その通り。
あれは。
移動じゃない。
位置が変わる。
逃げられない。
その時。
白峰 恒一が言う。
「……観測できる」
小さく。
だが。
確信。
「完全にではないが」
「歪みは見える」
全員が思い出す。
あの空間のズレ。
わずかだが。
確かにあった。
「……予兆か」
悠真が言う。
理解する。
「……それを読む」
白峰 蓮が言う。
即座に。
対策が組まれる。
その時。
ぴーちゃんが言う。
「……ぴーは回復できない」
正直に。
だが。
重要。
その時。
悠真が言う。
「……いい」
短く。
だが。
優しく。
「無理に触るな」
その言葉。
ぴーちゃんが頷く。
役割を理解する。
その時。
全員が少しだけ静かになる。
理解した。
だが。
完全じゃない。
その時。
悠真が小さく言う。
「……もう一つあるな」
全員が見る。
「九条」
その名前。
空気が重くなる。
あれと。
これ。
似ている。
だが。
違う。
「……別だ」
白峰 蓮が言う。
即答。
「九条は理解できる」
「だがこれは違う」
その一言。
核心。
理解できる異常と。
理解できない異常。
その差。
大きい。
その時。
悠真が外を見る。
静か。
何もない。
だが。
分かる。
また来る。
その感覚。
消えない。
その時。
小さく言う。
「……準備する」
短く。
だが。
確実に。
戦いは。
次の段階へ。
ただの強さじゃない。
“理解できないもの”との戦い。
それが。
始まる。
解析は始まった。
だが。
答えには、まだ届かない。




