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第116話 「観測される異常(東京)」

東京。



 地下。



 光のない部屋。



 複数のモニター。



 無機質な空間。



 音はない。



 ただ。



 数値だけが動いている。



「……反応、低下」



 男が言う。



 静かに。



 記録するように。



「侵食濃度、減少」



 別の声。



 感情はない。



 ただの報告。



 その時。



 中央のモニター。



 黒が揺れる。



 そして。



 “消える”。



「……消失確認」



 一瞬。



 部屋が静まる。



 誰も動かない。



 だが。



 その意味は重い。



「……あり得ない」



 小さく。



 誰かが言う。



「初期個体クラスが……?」



 否定。



 だが。



 現実。



 その時。



 足音。



 静かに。



 だが。



 確実に。



 入ってくる。



 全員が振り向く。



 そこに。



 一人。



 立っている。



 神城 綾人。



 いや。



 神代 綾人。



 同一人物。



 ただ。



 呼び方が違うだけ。



 その存在。



 空気を変える。



「……報告」



 短く言う。



 全員が姿勢を正す。



「……対象エリア」



「侵食濃度、低下」



「重殻個体、消失」



 淡々と。



 報告する。



 その時。



 神代が小さく言う。



「……そうか」



 それだけ。



 驚きも。



 怒りもない。



 ただ。



 受け入れる。



 その時。



 別の者が言う。



「……想定外です」



 少しだけ。



 声に揺れがある。



「人間が……あの段階の個体を……」



 言い切れない。



 理解が追いつかない。



 その時。



 神代が言う。



「……想定内だ」



 短く。



 だが。



 断定。



 一瞬。



 空気が固まる。



「……?」



 理解できない。



 その時。



 神代がモニターを見る。



 黒が消えた場所。



 その座標。



 じっと。



 見つめる。



「……成長しただけだ」



 小さく。



 呟く。



 その言葉。



 重い。



 その時。



 別のモニター。



 波形が揺れる。



 微細な反応。



「……これは?」



 誰かが言う。



 その時。



 神代が目を細める。



「……別だな」



 短く。



 だが。



 わずかに。



 興味を持つ。



 その波形。



 侵食でもない。



 魔王でもない。



 “異質”。



 その時。



 神代が言う。



「……干渉があった」



 一瞬。



 全員が止まる。



「……誰のですか」



 慎重な声。



 その時。



 神代が答える。



「……不明」



 だが。



 一拍置いて。



 続ける。



「……だが」



 モニターを見たまま。



「同類だな」



 その一言。



 空気が変わる。



 同類。



 つまり。



 人間側。



 だが。



 普通じゃない。



 その時。



 神代が小さく言う。



「……面白い」



 初めて。



 感情が混じる。



 ほんの少しだけ。



 その時。



 振り返る。



 全員を見る。



「監視を強化しろ」



 短く。



 命令。



「対象」



 一瞬。



 間があって。



「……二つだ」



 その言葉。



 重い。



 一つは。



 悠真たち。



 もう一つは。



 九条。



 その存在。



 まだ名前は出ていない。



 だが。



 確実に。



 “認識された”。



 その時。



 神代が最後に言う。



「……世界は動く」



 静かに。



 だが。



 確実に。



 その言葉。



 現実になる。



 一つの戦いが終わった。


 だが。


 世界は、それを見逃さない。



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