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第111話 「割り込む存在」

 外周。



 空気が張り詰めている。



 重殻。



 境界の外。



 完全に。



 “こちら側”。



「……今だ」



 悠真が言う。



 短く。



 全員が動く。



 連携。



 準備はできている。



「ぴー!通る!」



 ぴーちゃんが叫ぶ。



 回復。



 問題なし。



 侵食体。



 遅れている。



 今なら。



 決められる。



「……終わらせる」



 悠真が踏み込む。



 重殻へ。



 一直線。



 その瞬間。



 ――音が消えた。



 風も。



 足音も。



 すべて。



 “切れた”。



「……っ?」



 違和感。



 ほんの一瞬。



 だが。



 確実に。



 空間がズレる。



 影が。



 遅れる。



 その時。



 ――そこにいた。



 誰も見ていないはずの場所。



 境界の内側。



 重殻と。



 悠真の“間”。



 立っている。



 黒。



 静か。



 存在感だけが。



 異常。



「……誰だ」



 蓮斗が言う。



 反射的に。



 構える。



 だが。



 その前に。



 そいつが動く。



 いや。



 動いていない。



 気づいた時には。



 距離がゼロ。



 悠真の目の前。



「――」



 言葉はない。



 ただ。



 指先が触れる。



 胸元に。



 一瞬。



 それだけ。



「……っ!?」



 悠真の動きが止まる。



 完全に。



 止まる。



 呼吸も。



 意識も。



 “切れる”。



「悠真!?」



 蓮斗が叫ぶ。



 だが。



 届かない。



 距離は近い。



 なのに。



 “遠い”。



 その瞬間。



 重殻が動く。



 腕を振る。



 直撃。



 悠真が吹き飛ぶ。



 地面を滑る。



「っ……!」



 蓮斗が駆ける。



 だが。



 侵食体が戻る。



 一気に。



 流れが復活する。



「ぴー!!まずい!!」



 ぴーちゃんが叫ぶ。



 回復が追いつかない。



 壁。



 崩れる。



 分断が壊れる。



 侵食が広がる。



「……くそっ!」



 蓮斗が叫ぶ。



 立て直す。



 だが。



 間に合わない。



 その時。



 そいつが立っている。



 何もしていない。



 ただ。



 見ている。



 全てを。



 戦いを。



 構造を。



 流れを。



 理解している目。



 その時。



 小さく。



 呟く。



「……遅いな」



 感情がない。



 評価だけ。



 その言葉。



 重い。



 だが。



 怒りすら湧かない。



 理解できないから。



 その時。



 白峰 蓮が言う。



「……下がれ!!」



 即断。



 全員が動く。



 撤退。



 これ以上は。



 無理。



 その瞬間。



 そいつが消える。



 最初からいなかったように。



 何も残さず。



 ただ。



 侵食だけが残る。



 重殻も。



 元の位置へ戻る。



 完全に。



 “崩れた”。



 静寂。



 誰も喋らない。



 その時。



 ぴーちゃんが小さく言う。



「……今の……なに……?」



 誰も答えない。



 答えられない。



 その時。



 悠真がゆっくり起き上がる。



 呼吸。



 戻る。



 だが。



 目が違う。



 理解している。



 さっきの一瞬。



 あれは。



 “敵じゃない”。



 もっと。



 別の何か。



 その時。



 悠真が小さく言う。



「……九条」



 名前。



 それだけが。



 確かだった。



 その瞬間。



 全員が理解する。



 この戦い。



 重殻だけじゃない。



 もう一つ。



 “越えてはいけない存在”がいる。



 その現実。



 重く。



 確実に。



 のしかかる。



 積み上げは、一瞬で壊される。


 それを。


 人の形をした何かが証明した。



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