第109話 「崩れる均衡」
外周。
流れは、動いている。
侵食体。
壁に当たり。
曲がり。
分断され。
再び流れる。
だが。
完全ではない。
「……維持できてるな」
白峰 蓮が言う。
冷静に。
流れは乱れている。
だが。
まだ持っている。
その時。
「ぴー……」
ぴーちゃんが言う。
「ちょっとずつ押してる」
確かに。
重殻の位置。
昨日より。
前。
境界に近い。
「……効いてるな」
悠真が言う。
確信。
その時。
重殻が動く。
ゆっくりと。
だが。
今までより。
明確に。
前へ。
「……来たぞ」
蓮斗が言う。
少しだけ。
構える。
その瞬間。
侵食体が乱れる。
流れが崩れる。
バラバラに。
分断されていたものが。
ぶつかる。
干渉する。
「……っ!」
白峰 蓮が言う。
「負荷が来ている」
つまり。
限界が近い。
その時。
壁。
一本。
崩れる。
「っ!?」
蓮斗が声を上げる。
木材が砕ける。
侵食体が。
一気に流れ込む。
「ぴー!広がる!」
ぴーちゃんが叫ぶ。
回復範囲が。
削られる。
「……まずいな」
悠真が言う。
即座に。
その時。
重殻が動く。
一歩。
さらに前。
境界。
ほぼ。
踏み越える。
「……来るぞ」
白峰 蓮が言う。
その瞬間。
屍影が動く。
一斉に。
だが。
今までと違う。
流れが不安定。
統制が揺れる。
「……まだ崩しきれてねぇ!」
蓮斗が言う。
その通り。
完全じゃない。
中途半端。
その時。
黒崎 恒一が言う。
「戻せ」
短く。
だが。
強い。
全員が動く。
崩れた壁。
すぐに修復。
応急。
だが。
間に合う。
侵食体が止まる。
流れが。
再び分断される。
「……持ち直したな」
白峰 蓮が言う。
冷静に。
だが。
ギリギリ。
その時。
重殻が止まる。
境界ギリギリ。
それ以上は来ない。
だが。
確実に。
近い。
「……ここまでか」
悠真が言う。
小さく。
だが。
納得。
完全に崩すには。
まだ足りない。
だが。
ここまで来た。
その事実。
大きい。
その時。
ぴーちゃんが言う。
「……あとちょっと」
小さく。
だが。
確かに。
その一言。
全員が前を見る。
重殻。
あの個体。
確実に。
“外に近づいている”。
その事実。
変わらない。
その時。
悠真が言う。
「……もう一回だな」
短く。
だが。
確実に。
あと一押し。
それで。
届く。
その確信。
全員が共有する。
その時。
黒崎 恒一が言う。
「油断するな」
短く。
だが。
強い。
「崩れるのは一瞬だ」
その言葉。
全員が引き締まる。
ここが。
分岐点。
その理解。
重い。
だが。
進む。
止まらない。
その時。
悠真が外を見る。
重殻。
あの個体。
確実に。
“境界の外側”に近づいている。
その瞬間。
戦いは。
次の段階へ。
均衡は崩れた。
だが。
まだ勝ってはいない。




