第107話 「引き出すための罠」
拠点。
中央。
全員が集まっている。
さっきの一撃。
結果は明確。
“届かない”。
「……で、どうやって引きずり出す?」
蓮斗が言う。
単刀直入。
その通り。
方法が問題。
「……無理に引っ張るのは無理だな」
白峰 蓮が言う。
冷静に。
「重さが違う」
「力では動かない」
事実だった。
あの個体。
押してどうこうできる相手じゃない。
その時。
「……なら動かす」
悠真が言う。
全員が見る。
「自分から動かす」
つまり。
“誘導”。
「……どうやってだ?」
蓮斗が聞く。
その時。
白峰 恒一が言う。
「流れを作る」
短く。
だが。
核心。
「侵食体の流れ」
「それを操作する」
全員が理解する。
侵食体。
あれが。
戦場を作っている。
なら。
それを動かせばいい。
「……つまり」
白峰 蓮が言う。
「進行方向を限定する」
「逃げ場をなくす」
結果。
重殻の位置も。
変わる。
「……なるほどな」
蓮斗が言う。
「追い込むってことか」
その通り。
だが。
問題はある。
「……時間かかるな」
悠真が言う。
即座に。
理解する。
これは。
一瞬じゃ終わらない。
積み上げる作業。
だが。
「……やるしかねぇだろ」
蓮斗が言う。
笑う。
少しだけ。
楽しそうに。
「正面突破よりマシだ」
その時。
「ぴー!」
ぴーちゃんが言う。
「それなら回復も届く!」
重要なポイント。
安全圏を保ったまま。
誘導できる。
その時。
美月が言う。
「……でも」
全員が見る。
「向こうも気づくよね」
正しい。
当然。
その時。
黒崎 恒一が言う。
「気づかせればいい」
短く。
だが。
強い。
「動かすための罠だ」
その言葉。
全員が理解する。
気づかせる。
それも。
計算のうち。
その時。
悠真が言う。
「……じゃあやることは三つだな」
整理する。
「一つ」
「侵食体の流れを操作する」
「二つ」
「動線を限定する」
「三つ」
「重殻を誘導する」
シンプル。
だが。
難しい。
その時。
白峰 蓮が言う。
「成功率は低い」
正直に。
「だが」
「やる価値はある」
その通りだった。
他に手がない。
その時。
桐谷 恒一郎が言う。
「構造は任せろ」
壁を見る。
「流れを曲げるくらいならできる」
頼もしい言葉。
その時。
悠真が頷く。
「……頼む」
短く。
だが。
信頼がある。
その時。
ぴーちゃんが言う。
「ぴーも頑張る!」
回復役。
重要なポジション。
その時。
蓮斗が言う。
「……久々に戦ってる感じだな」
笑う。
少しだけ。
楽しそうに。
その時。
悠真が外を見る。
重殻。
あの個体。
動かない。
だが。
確実に。
こちらを見ている。
その視線。
重い。
だが。
逃げない。
その時。
悠真が小さく言う。
「……動かすぞ」
次の段階。
重殻。
あれを。
“外に出す”。
その戦い。
始まる。
罠は、仕掛けるためにある。
そして。
それにかかるかどうかは、敵次第だ。




