第100話 「境界の先にあるもの」
静かだった。
拠点。
だが。
全員が分かっている。
今までと違う。
外は。
変わった。
境界。
それは。
“守られていた線”。
だが。
今は違う。
越えられる。
侵食される。
壊れる。
「……状況整理する」
白峰 蓮が言う。
全員が集まる。
中央。
「境界は固定ではない」
「侵食体によって変化する」
「さらに」
「重殻個体が起点となり」
「こちら側へ侵食を広げる」
短く。
だが。
正確に。
「……つまり」
蓮斗が言う。
「もう安全じゃねぇってことか」
その通りだった。
今までの前提。
それが。
崩れた。
「ぴー……」
ぴーちゃんが小さく鳴く。
「回復届くけど……」
「場所が減ってる……」
重要な問題。
安全圏。
それ自体が。
削られている。
その時。
「……止めないと」
美月が言う。
静かに。
でも。
はっきりと。
「広がるよね」
その一言。
全員が理解する。
放置すれば。
終わる。
その時。
黒崎 恒一が言う。
「守るとは」
全員が見る。
「奪われないことだ」
短く。
だが。
核心。
「押されるだけでは守れん」
その言葉。
重い。
だが。
正しい。
その時。
悠真が言う。
「……やることは一つだな」
全員が見る。
「侵食を止める」
シンプル。
だが。
難しい。
「どうやってだよ」
蓮斗が言う。
当然の疑問。
その時。
白峰 蓮が言う。
「起点を叩く」
全員が理解する。
重殻。
あの個体。
「……あれか」
蓮斗が言う。
少しだけ笑う。
「やっと殴れる相手来たな」
だが。
悠真は首を横に振る。
「……まだ無理だ」
短く言う。
確信。
「今行けば崩れる」
白峰 蓮も頷く。
「同意する」
「準備不足」
つまり。
まだ。
届かない。
その時。
蒼月が言う。
「……それでも」
全員が見る。
「止めないと」
短く。
だが。
強く。
その言葉。
全員に刺さる。
止める必要がある。
だが。
今は無理。
その矛盾。
その時。
悠真が言う。
「……段階上げる」
全員が見る。
「守るだけじゃない」
「削るだけでもない」
「止めるために動く」
次の段階。
戦いの質が変わる。
その時。
ぴーちゃんが小さく言う。
「……それ、危ないやつ」
分かっている。
全員が。
だが。
止まれない。
その時。
悠真が外を見る。
ダンジョン。
黒い穴。
その奥。
見えない。
だが。
確実に。
“何か”がいる。
「……行くぞ」
小さく言う。
次の段階へ。
この戦いは。
もう。
後戻りできない。
境界は壊れ始めた。
そして。
その先にあるものが、姿を見せ始める。




