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第101話 「守られている側」

 怖い。


 それが。


 最初の感情だった。


 外。


 黒いもの。


 動く影。


 音。


 気配。


 全部。


 怖い。


「……また来るのかな」


 小さな声。


 拠点の端。


 子ども。


 まだ小さい。


 守られている側。


「大丈夫だ」


 大人が言う。


 だが。


 その声も。


 少しだけ震えている。


 分かっている。


 完全じゃないことを。


 守りきれていないことを。


 その時。


 外から音がする。


 戦っている音。


 誰かが。


 前に出ている。


「……まただ」


 子どもが言う。


 少しだけ。


 顔を上げる。


「……あの人たち?」


 そう。


 悠真たち。


 戦っている。


 外で。


 見えない場所で。


 でも。


 分かる。


 守っている。


 その時。


 別の人が言う。


「……さっきより近い」


 空気が変わる。


 近い。


 つまり。


 外が。


 侵食されている。


「……大丈夫なの?」


 子どもが聞く。


 誰もすぐに答えない。


 その時。


「……大丈夫にする」


 声。


 黒崎 美月。


 静かに言う。


 優しく。


 でも。


 強く。


「絶対に」


 その言葉。


 周囲が少しだけ落ち着く。


 完全じゃない。


 でも。


 信じられる。


 その時。


「……なんで」


 子どもが聞く。


「なんで戦ってるの?」


 素直な疑問。


 難しい問い。


 その時。


 美月が少し考えて。


「……守りたいから」


 それだけ言う。


 シンプル。


 でも。


 十分だった。


 子どもが少しだけ頷く。


「……そっか」


 それだけで。


 納得する。


 その時。


 外。


 音が大きくなる。


 衝撃。


 地面が揺れる。


「っ!?」


 周囲がざわつく。


 不安。


 恐怖。


 その時。


 美月が言う。


「大丈夫」


 繰り返す。


 何度も。


「大丈夫」


 その声。


 少し震えている。


 でも。


 止まらない。


 その時。


 外。


 光が見える。


 一瞬だけ。


 強い光。


 そして。


 静かになる。


 少しだけ。


 間があって。


 足音。


 戻ってくる音。


「……帰ってきた」


 誰かが言う。


 空気が緩む。


 完全じゃない。


 でも。


 少しだけ。


 安心する。


 その時。


 子どもが小さく言う。


「……すごいね」


 純粋な言葉。


 その一言。


 美月は少しだけ笑う。


 でも。


 目は外を見る。


 分かっている。


 まだ終わっていないことを。


 まだ。


 守りきれていないことを。


 その時。


 小さく呟く。


「……もっと強くならないと」


 自分も。


 守る側として。


 その決意。


 静かに。


 でも。


 確実に。


 積み上がる。


 外で戦う者。


 中で守る者。


 どちらも。


 同じ戦いをしている。


 その理解。


 この場所に。


 少しずつ。


 広がっていく。


 守られている側も、戦っている。


 それが。


 この拠点の現実だった。


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