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【12000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【完結】  作者: 誰時 じゃむ
最終章 - 第8話 それぞれの道へ【完結】

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8-end 後日談③ これからたどり着く未来へ【完結】

 

 1年後。


 飛鳥の実家には、シズクの姿があった。


「玉砂さん。ここ1年で、素晴らしく成長なされましたね」


「ありがとうございます」


 使用人の責任者である白髪にメガネの渋い老人がそう告げると、シズクはモップを手にかつての無表情からは想起できない柔らかな笑顔で微笑んだ。


 そんなシズクの後ろには、ピカピカの廊下があった。



 そうして、シズクは掃除を終えて制服から私服に着替えると、帰りにスーパーに寄る。



 そして、食愛や日用品を両手に下げて、再び外に出た。――――その時だった。


「……雨?」


 空を見上げたシズクの言葉通り、頭上にはいつの間にか厚い雲が現れていた。


 そして、雨粒はシズクの帰宅を許さず、一瞬で強さを増していったのだった。


 少し待ってみても、その雨は止まなかった。

 そこで、シズクは前を見つめて決心する。この雨の中を、帰ろうと。



 しかし、その時だった。



「――――シズク!」


 雨音の中に、聞き馴染みのある声を感じた。


「カロ――――」


 その名前を呼ぶと、シズクの顔はパッと明るくなる。

 雨の中を歩いていたのは、傘を2本持ったカロだった。


「やー、急に降ってきたな。間に合って良かった」


 カロはそう言って笑うと、シズクから袋を1つ貰い受け、代わりに傘を手渡す。と、同じ時、その傍では、


「お待たせー」


「あ、パパ!」


「ありがとう。迎えにきてくれて」


 と、3人家族が同じように合流していた。


 父は、子供と母親を車に乗せて、子供が動揺の「あめふり」を歌い出したのに合わせて歌を歌いながらその場を後にする。


 それを、シズクはカロとのやり取りの最中に覗き見ていた。


 そして、


「行こうか」


 と、傘を広げるカロに、


「ねえ、カロ。将来、免許取ろうと思ってる?」


 と、シズクは尋ねた。


「うん? ああ……。まあ、取るかもな」


「そっか。――――じゃあ、その時もちゃんと迎えにきてね」


 シズクはそう言って、カロに笑いかける。


 すると、先ほどの親子を見ていないカロにはその真意が分からなかったが、しかし、それでもカロは、


「おう。任せろ」


 と、笑い返すのだった。


「それと、そうなったら海の夜をドライブとかもいいかもな」


「確かに。そしたら私、お弁当作ろうかな」


「いいねぇ。あと、花火も必須か。最後は海とか行って」


「その時は、写真もいっぱい撮ろうね」


「だな」


 雨音の中に、2人の背中が消えていく。


 仕事を終えた街には明かりが灯り始めて、カロたちもやがてその街の一部に溶け込んでいくのだった。



   ▼ ▼ ▼ ▼



「あれは……」


 そんなカロたちの背後では、スーパーから出てきた赤髪の女性がその見覚えのある後姿を見てふと足を止めていた。


「もう、大丈夫そうだな」


 それから赤髪の女性はその光景をじっと見つめた後で、優しくそう頬を緩ませる。――――と、その時、赤髪の女性のポケットでスマートフォンが揺れた。


「あ? もしもし……」


 赤髪の女性は、かかってきた電話に出る。と、開口一番だった。


「――――やっと出ましたわ!! 赤木アザミ! いったいどこにいますの!?」


 赤髪の女性――――アザミは、怒声を浴びさせられた。


「どこって、夜食のカップ味噌汁のストックが切れたからスーパーに……」


「な、なんでそんなところに!? これから30分後に、幹部会議が始まりましてよ!!」


「……そんな予定あったっけ」


「ありましたわ! しっかりしてくださいまし!!」


「だ、代理出席とかは……。ほら、文壱なら……」


「エレミヤたちによるイニシュモア島復興の進捗確認に、書類仕事と大量に抱えていますけれど」


「じゃ、じゃあ、良月は……」


「魔石具訓練のほうに顔を出していますわ」


「……飛鳥は?」


「……会議に向けた準備がある中で、こうしてあなたを探し回っているのですけど?」


「……」


 何も言えなくなる、アザミ。


 すると、飛鳥はついに堪忍袋の緒が切れたように、


「というか、原則的に出席できるなら幹部会議には幹部が出席するのが決まりですわ!! 分かったら、さっさと帰ってきてくださいまし!!」 


 と、電話越しにアザミを叱るのだった。


 勢いのままに電話が切られると、アザミは、


「まいったな……」


 と、困ったように頭をかく。


 しかし、その時、切ったスマホの画面に、カロ、シズク、アザミの3人で楽しそうに鍋を囲んでいる写真が浮かび上がってくると、もう1度カロたちの遠く遠く消えていく背中を見て、


「ま、頑張りますか。平和のために」


 と、袋を抱えながら、アザミは雨の中を特魔に向かって走り出すのだった。


 これにて、最終章完結です!

 ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました!


 今後は読み切りを中心に上げていきたいと思っていますので、その時はどうか興味を持っていただけたらまた読みに来ていただけると幸いです!!


 励みになりますので、良いと思ってくださった方は【☆】や【ブックマーク】をポチッとしていただけると嬉しいです!

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