表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【10000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【完結】  作者: 誰時 じゃむ
最終章 - 第7話 全てを終わらせる『願い』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
235/239

7-7 封者たちの証明

【お知らせ】

今日2本、明日3本投稿あります!

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 カロが父を呼んだ時、その胸に白い光が灯る。と、カロは、


「そうか――――」


 と、何かを閃いたようにハッとした。


「……ずっと、不思議だった。あの無限の白い魔力はどこからやってくるのか、封者(ふうじゃ)という存在が現れると、なぜ悪魔たちは出てこなくなるのか」



 カロの語りは、たった1つの結論に向かって進んでいく。


「――――お前たち悪魔は、封者という存在に勝てない。支配されているんだ魔力すら」


そう口にしたカロを眺める悪魔たちは皆、怯えたように顔を引き攣らせていた。


「それで、なんだっていうの?」


 そう食い下がったのは、ヴァ―テル(支配の悪魔)だった。


「たとえ、それに気づいたからってどうにかなるものでもない。でしょ?」


「その通り!」


 ヴァ―テル(支配の悪魔)ヴァイオレット(虚栄の悪魔)もそう続く。


 しかし、カロは、


「どうかな。心の中にあった白いこの光がこの世界に存在するなら、封者だって呼び出せるかもしれねえ」


 と返すと、悪魔たちが制止するよりも早く、


「なら、試すまでだ。出てきてくれ。――――《尊重(ウェズーリ)》、《行動(サーズ)》、《寛容(フライ)》、《素直(サンタニア)》、《理解(サタ)》、《行動(サーズ)》、《自立(マンデラ)》、《愛情(チュズスキン)》」


 と、その白い空間の中に呼びかけるのだった。



「――――よくぞ、私たちの名前を呼びましたね」



 それから、少しのしんとした間の後で、そんな声が響き渡る。――――と、ずっとそこにあったのか、白い空間の中でキラキラとした何かが揺れた。


 目を凝らすと、それは悪魔たちを構成する黒い線とは対をなすような、意識しなければ見ることもできないようなキラキラとした白い線だった。



 白い線は、それから形を持ってカロを囲う悪魔たちの背後に現れる。と、


アイポニー(妄信の悪魔)、惜しかったですね。あなたたちの負けです」


 と、禁書《妄信》の封者であり《尊重》の名を冠するウェズーリは言った。


「負けってなんだよ……!!」


 アイポニー(妄信の悪魔)は、ウェズーリを睨む。しかし、ウェズーリはあくまで諭すような態度で、


「私たちは、禁書を持つ者が真に正しい心を持たなければ出会えない存在。そして、出会ったところで、それを忘れてしまっては見逃されてしまう存在。――――ですが、この者はそれを最後まで忘れなかった。今までの出会いが、簡単な欲望からこの者を引き止め、私たちを呼び出すに至らしめたのです。――――あなたたちは私たちを望まぬようですが、それまでに無理矢理にでも誘導して願いを叶えさせられなかった。それが、あなたたちの負けでなくてなんだというのですか」


「……!」


 苦虫を噛み潰したような顔になる、アイポニー(妄信の悪魔)


 しかし、一方でサンズ(臆病の悪魔)は、


「だが、それが本当にその者の幸せとは限らない」


 と、食い下がるのだった。


 すると、ウェズーリはカロの方を振り返って尋ねた。


「――――カロ、あなたの願いは?」


 それに、カロはまっすぐと見つめ返して答える。


「禁書を、破壊することだ」


 その言葉を聞き、その目を見て、ウェズーリはにっこりと笑った。


「あなたの願い、叶えて差し上げましょう。――――しかし」


「しかし?」


「この者たちの意見を、最後にもう1度聞くのです。そうして、あなたの心残りを払い、決断の意思の強さと正しさを証明してみせましょう」


「……分かった」


 カロはウェズーリの言葉に頷くと、改めて悪魔たちと向き合う。



 すると、まず口を開いたのは、《支配》の名を冠するヴァ―テル(支配の悪魔)だった。


「そもそも、私を殺すと玉砂シズクも死んでしまうかもね。なんせ、私の力で彼女はこの世に顕現したのだし」


 いつかカロに言ったことを、同じように繰り返す。しかし、それに《支配》の封者であるサタ(理解)は、


「ならば、特魔で貴様が封印されていた時、なぜ玉砂シズクは平気だった? この世に召喚し、定着した魂は、むしろ貴様の管轄を離れているのでは?」


 と、返してみせた。


「……!」


 動揺する、ヴァ―テル(支配の悪魔)



 そこで、今度は《依存》の名を冠するキュルソン(依存の悪魔)が、


「玉砂シズクのいない未来。そんなものを選ぶなどありえぬことは明白だ」


 と、強く断言してきた。


 しかし、《依存》の封者であるマンデラ(自立)は、


「そうだな。――――しかし、普通に考えりゃ、お前たちがいない未来にも玉砂シズクはいるはずだぜ」


 と、それを軽くいなしてみせた。



「まあ、あたしはどの未来を選んでもいいと思うわよ。……ただし 他の未来が良かったと嫉妬しないようにね♡」


 それから、《嫉妬》の名を冠するサラ(嫉妬の悪魔)がそう忠告するように言っても、


「他の未来が良かった。もっと選べたことが、出来たことがあったのではないか。そう思わないために、貴様らを破壊するのじゃ」


 と、《嫉妬》の封者であるフライ(寛容)は、それを肯定しつつ否定してみせる。



 そこで、《虚栄》の名を冠するヴァイオレット(虚栄の悪魔)は、


「自分というのは時に大きくみせることも大事であるが、今は意地を張る時ではない!! 自分の心に従うべきだ!!」


 と、いかにも正しいことを言っていると言わんばかりに声を張ったが、《虚栄》の封者であるサンタニア(素直)に、


「……意地を張っているのは、どちらかしら。それに、これは意地を張るのではなく、信念を貫くってことよ」


 と、静かに諭されてしまうのだった。


 ならばと、《無情》の名を冠するチャリオット(無情の悪魔)は、


「選択は、手に入る結果だけを見るべきでしょう。あなた自身に残るものが何か、それが重要なのです」


 と、今度はカロに冷静に諭すように言葉を語る。しかし、


「何かを得ようとして手に入るものと何かを取り除いて手に入るもの、どっちもあるよねぇ〜。だけど、カロは簡単な幸せよりも、世界から悲しみを取り除きたいって、今回はそっちの方が自分だけでなく周りの幸せも手に入ると知ってるんじゃないかな〜」


 と、《無情》の封者であるチュズスキン(愛情)には、むしろそれを利用されてカロの考えを肯定されてしまった。


「より確実なものを、確実な幸せを」


 《臆病》の名を冠するサンズ(臆病の悪魔)は、誰にも聞こえないような呟きをぼそりと漏らす。


 が、それが一抹の心残りとしてカロの心に毒針のように突き刺さって気になってしかたなくなる前に、


「そうだな! あたしたちが来たからには、安心だ!! 確実に願いを叶えてやれるぜ!!」


 と、《臆病》の封者であるサーズ(行動)は簡単に吹き飛ばした。



 そして、最後に残ったのは《妄信》の名を冠するアイポニー(妄信の悪魔)と、その封者であるウェズーリ(尊重)だった。


 アイポニー(妄信の悪魔)は珍しく焦った様子で、


「カロは、ここまで正しいことをしてきたんだ。出来うる限りの中で。だから、ここまで来られた。なら、今回もそうするべきだよ。カロ」


 と、言葉を放つ。と、それに言葉を返そうと、


「ここまでが、正しいことというのなら――――」


 と、ウェズーリが口を開いたその時だった。



 しかし、それをカロが止めた。


「自分で……。ということですね?」


 ウェズーリの問いかけに、カロは頷く。と、アイポニー(妄信の悪魔)に、


「俺のしてきたこととが、正しかったって?」


 と、尋ねた。


「そうだよ! カロ! だから、今回も騙されちゃいけない!! 禁書を破壊するなんてことに願いを使えば、君の幸せは手に入らないかもしれないよ!!」


 しかし、アイポニー(妄信の悪魔)は焦るあまり、それこそが今のカロを肯定することになっていることに気づけなかった。


「俺は今まで自分が正しいと思ってきたことを、できることをしてきたつもりだ」


「そうだよ! 玉砂シズクとの幸せな生活を手に入れるために、ここまでやってきたんじゃないか!!」


「そして、それが全て正しかったってんなら……」


「うんうん」


「だったら、今回も俺は自分の中の正しさに従って、お前たちを破壊する! それが、この俺の心の声だ!!」


「なっ――――」


 その宣言に、アイポニー(妄信の悪魔)は目を丸くする。


 そして、


「だ、だめだよ、カロ!! それじゃあ、玉砂シズクとの幸せは――――」


 と、必死に訴えかけた。


 しかし、カロはそんなアイポニー(妄信の悪魔)の口をガシッと手で掴む。と、次の瞬間、


「さっきから、うるせえんだよ。――――幸せにはなぁ、自分で、いや、シズクとなるんだよ! 2人でな!! それが、俺とあいつとの約束だ!!」


 そう、力強く言った。


 そして、最後に、


「余計なお世話だ。悪魔野郎」


 と、その顔に言い捨てると、そのままアイポニー(妄信の悪魔)を投げるように放すのだった。



 ウェズーリはそんなカロの姿を見て、母のように優しく笑う。そして、


「お見事。最後に、迷いは晴れましたか?」


「ああ。すっきりした」


「そうですか」


 と、そんなやり取りをした後で、


「それでは、『魂に誓って、宣言する』と」


 と、告げるのだった。



 カロは目を閉じて息を整え、再び目を開く。



「魂に誓って、宣言する」



 すると、そう口にしたカロの目の前には、バレーボールサイズほどのキラキラとした白い魔力の渦巻く塊が現れた。



 カロは、それを両手で受け止める。と、それに向かって、



「禁書を、この世界から消してくれ。もう誰も、悲劇に巻き込まれなくていいように」



 と、今度こそ願いを口にするのだった。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


 励みになりますので、良いと思ってくださった方は【☆】や【ブックマーク】をポチッとしていただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ