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【10000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【第3章まで 完結済み/最終章 更新中】  作者: 誰時 じゃむ
最終章 - 第7話 全てを終わらせる『願い』

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7-4 禁書円卓会議

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 白い空間。


 何もない。

 時間の流れもなく、おそらく空腹というものも置いというものもない。


 何もないが、自分がある。魔力もある。魔力は感情で、自分自身だから。



 そんな空間で、カロは目覚める。



 立ったまま、まるで白昼夢を見ていたかのように目覚める。


 こっちが本当の自分で今まで生きてきた全てが夢だったかのように、人生を1度生まれ変わったかのように目を覚ます。


「おそらく、あの紋章の中ってことでいいんだよな……?」 


 開口一番、辺りを見回してカロはそう呟いた。


 不思議な浮遊感が体を満たしていて、それは現実味がまるでなかった。



 すると、白い空間の中にカロの足元からペンで落書きをしたようなまるで毛糸みたいにぐちゃぐちゃに絡み合った黒い線が伸び上がってくる。



 と、目も口も顔もないそれと目が合った時、カロは、



「そうだよ、カロ。――――ここは、禁書の中。誰も触れない、君だけの世界」



 と、言われたような()()()()



 気がした、というのは、それが実際に声を発したわけではなかったからだった。


 しかし、まるで心の中で相手の声を想像しただけのように声というには実態を持たなすぎるその感覚とも呼ぶべき呼びかけに、


「お前、アイポニーか?」


 と、カロは問いかける。



 すると、次の瞬間、それはぐるぐると1つの渦になって、それからアイポニー――――禁書《盲信(アイポニー)》の悪魔の姿になってみせた。



「おー! よく分かったね、カロ! さすが、アイたちの絆って感じ♪」


 褐色肌と、お団子に纏められた薄ピンクの髪。

 相変わらずの黒基調のフリフリのドレスから溢れた尻尾をぴょこんと跳ねさせて、アイポニーはそう笑った。


 実体化に伴って、その声もはっきりと聞こえるようになる。と、カロは、


「……えっと、お前だけ?」


 と、アイポニーに尋ねた。


「えー、アイだけじゃ不満?」


 むすっとした顔になる、アイポニー。


 そんなアイポニーに、カロは、


「……いやいや、願いを叶えるのに必要なんじゃねえの?」


 と、言った。


「む。確かに、そうだね。――――そっちが本題だもんね♪」


 すると、それに納得してかアイポニーは、


「アイは、カロが認識してくれたから生まれたんだよ♪ この世界でね♪」


 と、答えた。


「……そういうことか」


 それからカロは徐に、


「《嫉妬(サラ)》《虚栄(ヴァイオレット)》《臆病(サンズ)》《依存(キュルソン)》《支配(ヴァーテル)》《無情(チャリオット)》――――」


 と、禁書の悪魔の名前を呼ぶ。


 と、アイポニーの時と同じようにカロの足元から黒い線が伸び上がってきて、それぞれの悪魔が顕現するのだった。


「ひとえに、禁書円卓会議ってところかな?」


 その光景をぐるりと見回して、アイポニーがそう口にする。と、カロは、


「会議?」


 と、聞き返した。


 すると、それに6本指を持つ6つの腕の老人――――サンズ(臆病の悪魔)が、


「そうです。あなた様の願いを極めるための、会議でございます」


 と、答えた。


「いや、俺の願いは決まって――――」


 そう、カロの腹は決まっていた。



 だから、サンズの言葉にそう返しかけた時――――しかし、気づけばカロは()()()()にいた。



「――――へ?」


 そして、そんなカロの頭上には大きな大きな影が覆い被さる。


 それは、“クラーケン”の触手の影だった。


「……なぁあああああああああああああッ!?」


 直後、カロはそれに押し潰される。


 しかし、少しの時間を置いて触手がずるっと動くと、その影からは潰されるどころかまるで先ほどと変わらない立ち姿のままのカロが現れた。


「す、すり抜けた……?」


「あははっ! そんなに驚くことないでしょ!」


 すると、目を丸くしたカロの前に、アイポニーが腹を抱えて笑いながら現れる。


 そして、自身をきっと睨むカロと目が合うと、アイポニーは、


「ごめん、ごめん。今のアイたちには、何も効かないんだよ。だって今、アイたちは思念体なんだから」


 と、説明した。


「思念体?」


「まあ簡単に言えば、幽体離脱みたいな。――――あ、ほら」


 説明途中でアイポニーはカロを指差すと、カロの中をシズクが後退りしながら通り抜けていった。


 そんなシズクと、目が合う。と、続いて、シズクを追いかけて“デュラハン”たちがカロの体を駆け抜けていった。


「なっ――――」


 頭では理解しているが、感情が追いついてこない。


 そんな状況の中、アイポニーはさらに、


「それに、そこにもあそこにも……」


 と、遠くの方を指差した。


 カロが顔を上げた先、そこにいたのは“クラーケン”を操る文壱やそんなシズクたちに指示を飛ばしつつ“デュラハン”から逃げるアザミの姿だった。


「今、これは遺跡の外で起こっていることなんだよ。みんな必死で、君が答えを出すのを待っている」


「……」


 そう言われると、カロはその光景をじっと見つめざるを得なかった。――――しかし、それはその後すぐに場所を変えてしまう。



 次にカロが訪れたのは、遺跡の通路だった。

 そこには飛鳥が良月を治療し終わった後で、壁にもたれ、休んでいるところが確認できた。


「カロと別れた後で、あんなにボロボロになって……。でも、やっぱり彼らも君を待っている。君の出す答えを――――」



 そうして、最後にカロは再びあの真っ白な空間に戻ってくる。


 と、アイポニーは、


「確か君の願いは――――禁書を破壊すること、だったよね?」


 と、唐突に尋ねた。


 そして、


「――――そんなの、僕らが了承すると思う?」


 と、並んだ禁書の悪魔と共に、カロを見つめるのだった。


「了承だと……!?」


「そりゃそうでしょ。願いを叶えるのは禁書の力。そして、そこに宿る力はアイたちそのもの。――――なら、叶える権利があるのはカロじゃない。アイたちだ」


「そんな……!」


 ここにきて、ここまできて……。と、カロは肩を落とす。


 すると、アイポニーはニヤリと笑って言った。


「だけど、朗報だってあるんだよ」


「……朗報?」



「玉砂シズクとの幸せな未来――――それは、叶えてあげられる」

 






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