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【10000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【第3章まで 完結済み/最終章 更新中】  作者: 誰時 じゃむ
最終章 - 第6話 禁書の収まる『場所』

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6-end 願いをかなえる資格

※注意※


6-6 ( 旧 6-end ) が、7月28日の15時に改定されています!!


読まれていない方は、そちらから読むことをお勧めします!!

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「俺は、禁書を破壊する」


 遺跡の前。

 カロは”禁特”の面々を前に、そう宣言する。


「これがあったから、全ては始まったんだ。だから、これを破壊する。こんなもの、存在していない方がいい」


 普通であれば、禁書を手にした者はそれを手放したくないと思うだろう。

 すべての魔術士の頂点に君臨し、思うが儘に振舞える。



 しかし、カロの答えは真逆だった。



 それを誰もが手に出来ないようにする。



 そんな答えを、一同が飲み込めないでいた。



 しかし、


「――――全員! 避けろ!!」



 カロのその叫びの後でハッとみんなは意識を取り戻すと、”デュラハン”たちが襲い掛かってきた。



 ”禁特”の面々はバラバラになる。



 すると、その場を救ったのは――――文壱だった。



「《色即真空(しきそくしんくう)》――――」


 文壱がそう口にした次の瞬間――――文壱の魔術により横たわっている”クラーケン”の触手が持ち上がって、追ってきていた”デュラハン”たちをひと薙ぎに払ってしまった。



 そして、少しの間を挟んで、


「カロ! 遺跡の中へ行け!!」


 というアザミの声が、あたりに響き渡った。


「ここは、魔力がないとダメなシズクとあたしで食い止める。だから、良月たちはカロを」



 その指示に、カロたちは頷く。と、カロはその流れでポケットからシズクのコアと繋がっている魔石を取り出し、


「アザミ、こいつを……」


 と、アザミに渡そうとした。



 しかし、シズクが、


「いま、私、なんともない。――――だから、カロが持ってて。魔力は補充しなくても、まだ保つ。この遺跡が魔力を向こうにするだけで奪うわけじゃないなら、カロが持ってても大丈夫。持ってて、欲しい」

 

 と、それを拒否してみせる。と、アザミも、


「あんたが持っときな。それが、何があっても帰ってくる理由にもなるだろ」


 と、続けた。


「……分かった」


 カロが、魔石をしまう。と、そこで文壱が、


「僕もここに残ります」


 と、宣言した。


「文壱が?」


 そのアザミの問いに、


「僕はこんな体なので、魔術が使えないと意味ないんです。遺跡の中に行っても、きっと足手まといになります。けれど、ここでならさっきみたいに”クラーケン”を利用して戦えますから」


 と、文壱は答えた。


 その意志の宿った瞳を見て、アザミは小さく頷く。と、改めて、


「なら、遺跡に入るのはカロ、飛鳥、良月。ここに残るのは、あたし、シズク、文壱でいいな」


 と、“禁特”に指示を出すのだった。



   ▼ ▼ ▼ ▼



 遺跡の中は、薄暗いが道筋には遺跡の外と同じように魔石の光が点々と置いてあった。


 さらに良月が文壱から託された“宝珠”を取り出すと、それもその光の道筋と同じ方向を示していた。


「確かに、この先で合っているようですね」


 良月が言うと、カロたちは徐に歩き出す。


 しかし、決して走りはしなかった。

 何があるか分からなかったからだった。


 飛鳥を先頭にして、カロ、良月と続く。と、そんな中で、不意に良月が、


「しかし、どうして魔力が使えないんでしょう? この中は……」


 と、口にした。


「おそらく、殺せるようにじゃないですか?」


 その疑問に、カロはそう答える。


「殺す?」


「きっと、ここが最後の止めどころというか……。もし、悪意のある人間が願いを叶えようとしていたら、ここで殺せるようにしてるんだと思います。ここなら、本当に力のある人間が魔力のある人間に簡単に勝つことができますから」


 カロの答えに、良月は、


「たとえば、赤木天日のような……?」


 と、確かめる。


 それをカロは黙って頷き、肯定した。


 すると、今度は飛鳥が、


「それにしても、よく勝てましたわね。あの赤木天日に」


 と、言った。


「……ああ。まあ、いろいろな力を借りて」


「あの白い魔力もですの?」


「そう、ですね。これは、その結晶みたいなものっていうか……。俺1人じゃ絶対に手に入れられなかったもので……」


「1人じゃって……。他に協力者でもいたんですの?」


「知ってるかもしれないけど、親が、いたんです。敵に」


「敵に……」


「敵に。それでずっと恨んでたんですけど、でも最後は協力してくれて。それで、今は感情がよく分からなくなっちゃって……」


「親……」


 そのワードに、飛鳥も良月も表情が暗くなる。しかし、一方でカロは清々しい表情で、


「でも、分からないことはとりあえず考えないことにしました。時間が経てばいつか分かるかもしれないし、分からないままでもきっとそれはそれでいいんだろうって思うんです」


 と、答えた。


「いつか分かると……。分かり合えると、いいですね」


 それに良月がそう返すと、カロの表情が、


「分かり合える……。そうですね」


 と、少しだけ柔らかくなった。


「しかし、それでよくすぐに赤木アザミたちと合流できましたわね」


「ああ。それは、さっきの魔石のおかげで」


「魔石……。ああ、あの玉砂シズクのコアと繋がっている」


「そう。あれが、シズクの場所を教えてくれたんです。白い魔力を注ぎ込んで」


「注ぐと、どうなりますの?」


「糸が、伸びるんです。どこかにいるシズクに向かって、魔力の糸が。今までも、それはずっとそうでした。たとえ、白の魔力じゃなくても魔石から魔力を移したって、糸はシズクの元へ伸びていきました。だから、シズクと離れてる時も、俺は迷わずに済んだ」


「……どこからでも惚気てきそうですわね、この人」


 いつの間にか自分の世界に入りかけていたカロを、飛鳥がそう腐す。――――と、一行はやがて、道が左右に続く入り組んだ道にやってきた。


 しかし、何度分岐に出会ったとしても、カロたちには“宝珠”があった。


「これも、“宝珠”を持たず、偶然ここに入り込んだ人間が迷って道を間違えるようにしてるのかもしれないですね」


 カロがそう口にする。


 その言葉を肯定するように、先ほどまで足元を照らしていた魔石はどちらの道にも続いていた。



 そして、そんな中でただ1つ。



 良月の持つ“空の宝珠”だけは、真っ直ぐ1本の道をさし示していた。


「あっちには何があるんでしょう……」


 良月の疑問に、


「きっと、毒ガスとか針地獄とか……。罠ばかりでしょうね」


 と、飛鳥が脅すように答えた。


 そんなこんなで“宝珠”に従いながら会話を重ねているうちに、一行は遺跡の最奥――――円状の部屋に出た。


 そこは、それ以上に道が続いている様子はなく行き止まりで、中央には石の線が上に向かって捻れながらスカスカの繭みたいに絡み合っているモニュメントがあるだけだった。


「ともかく、行ってみますか」


 カロの言葉に続いて、飛鳥と良月は石のモニュメントの足元にたどり着く。――――と、良月の手に持っていた“宝珠”が1人でにそのモニュメントへの中心へと吸い込まれていった。



 そして、次の瞬間――――“宝珠“が、弾けた。



 ”宝珠”は身に宿していた月の光を辺りにばら撒き、その光は石のモニュメントに沿って地面に吸い込まれていく。と、石のモニュメントもそれに続いて地面にズズズと沈んでいき、それからカロたちのいる場所を囲うように宝珠の光を宿した台座が7つ、地面から現れた。


「これは……」


 カロが、台座のうちの1つに近づく。



 そこに合ったのは、長方形の窪みだった。



 それに向かって、カロは直感的に手を掲げる。


 すると、直後、その窪みに禁書《支配(ヴァ―テル)》が埋め込まれた。


 カロは確かに自分の中から何かが抜けた感覚を感じる。と、台座を巡って歩き始めた。


「これでいいのかな……」


 それから少しして、カロが飛鳥たちの元に戻ってくる。――――と、カロの背後で台座が光を放ち、カロたちの足元には14芒星に似た紋章が現れた。


「……ん? 何もない?」


 しかし、カロの呟いた通り、それはカロたちをどこかに連れて行くでもなくカロたちの願いを聞く魔神を呼び出すでもなく、ただ静かにそこにあるだけだった。


「もしかして、何か足りないんですかね……?」


 良月の言葉に、


「マジかよ……」


 と、カロは肩を落とす。


 が、そこで飛鳥が、


「お待ちくださいまし。心なしか、紋章が先ほどよりキラキラとし始めていますわ。今までの傾向からして、魔力が溜まっていっているのでしょう」 


 と、カロの足元の14芒星を指差した。


「……本当に?」


「そうですかね?」


 カロと良月が首を傾げると、飛鳥は自身の腰に手を当てて、


「これだから、些細な変化に気づけない人種は嫌ですわ」


 と、ため息を吐いた。


「きっと、これは猶予時間なのでしょう」


 そう続ける飛鳥に、カロが、


「猶予時間?」


 と尋ねると、飛鳥は、



「――――何を願うか、それを決めるための。あるいは先ほども言ったように、禁書を持つ者を殺すための」



 と、鋭い目つきを覗かせて、カロと良月をハッとさせた。



「……って、冗談ですわ」



 しかし、次の瞬間、飛鳥はいたずらっぽくふんと息を吐いて、



「あたくし、これでも信じていますのよ。骨喰特等のこと。骨喰特等の出した答えが、その答えを出せたということが。――――だって、だまして自分勝手に禁書を使うならあたくしたちのことなどあの場で殺してしまえばいいし、そもそももっとあたくしたちに都合がいいこと言いそうですもの」


 と、柔らかな表情に戻る。



 しかし、一方でカロたちの顔は驚いたままだった。


「え、ちょっと……。いつまで驚いてますの! もう終わりましてよ!?」 


 ぽかんと口を開けたカロたちに、呆れたように起こる飛鳥。



 すると、その口がようやく動く。


 だが、それから続いたカロの言葉に、飛鳥も目を見開ことになるのだった。



「――――“デュラハン”」



 カロの口から出てきたのは、その言葉だった。


「え……」


 飛鳥は、戸惑ったままカロの視線を辿って振り返る。――――と、そこにいたのは、確かに2体の“デュラハン“だった。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


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