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【10000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【第3章まで 完結済み/最終章 更新中】  作者: 誰時 じゃむ
最終章 - 第5話 仇なす者たち

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5-3 あの手この手の復讐劇

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「――――《銀牙万咬(ぎんがばんこう)》」


「しまっ――――」


 リトリーの構える刀の先で、コインに押し上げられたアザミは不恰好な形で浮いていた。



 しかし、タダでやられるわけにもいかない。



「いけるか……!?」


 アザミは体勢をなんとか立て直すと、リトリーに向かって両手を蝶が羽開いたように合わせて構える。


 そして、ニューグレンジの入り口で飛鳥とともに放ってみせた《深紅ノ栄華(ソルフェリーノ)》を思い出すと、


「圧縮して、放つ……。圧縮して、放つ……」


 と、ぶつぶつ唱え、次の瞬間、



「――――《赤蝶番(ロゼ・フラッタ)》」



 と、蝶のように羽開く炎に背を支えられたアザミは――――紅蓮渦巻く光線を放ってみせた。



 直後――――リトリーが刀を振るう。



 すると、今まで全てを噛み砕いてきたその斬撃は――――やや押し込み気味ながらもアザミの光線とぶつかると止まり、立ち消えた。



 先ほどのとぐろを巻く炎であったり今の光線であったり、かつてハンマーを小さく圧縮してみせたりと、戦場でアドリブに魔術を進化させていく姿はさすが赤木家次期当主の才能といったところだった。



 しかし、直後、目の前の結果に対してアザミは歯軋りする。


「ああ、くそ……!!」


 と、次にその口から出てきたのは、


「なんで、あの(お姉ちゃんの)時じゃなくて、今なんだ! ――――今日ここにきて、あたしは調子がいい!!」


 という言葉だった。



 アザミがキッと睨むように目を細めると、


「それともあんたと会うと、あの時の怒りを思い出すからか……!?」


 と、リトリーに言う。



 そんな視線の先では、リトリーも静かに悔しさを噛み締めていた。


「まさか、ここで魔術的恍惚感(ビヨンド)に……! これだから嫌いなんだ、魔術士ってやつは……!!」


 魔術的恍惚感(ビヨンド)

 それは、魔術士におけるランナーズハイのようなものであり、普段よりも魔力的に高まっている状態のこと。



 そんなものにアザミが突入してしまえば、確かに魔術においてリトリーに勝ち目はない。



 しかし、戦闘経験ならどうだろうか。



「――――《アルト》」



 そこでリトリーが放ったのは、盲点の魔術。――――コインの発光であった。


「ぐっ――――」


 不意の閃光に目を潰される、アザミ。



 その機を、リトリーが逃すはずもなかった。


 不恰好に着地をしたアザミに、リトリーは突進する。


 そして、周囲を不規則に爆破して瞬間的な攻撃を回避しようとしたアザミの背後に回り込むと刀を掲げた。



「アザミ、後ろ――――」



 その時、シズクが叫ぶ。――――と、アザミは自身の胸に手を当て、そして、


「――――《聖痕火葬(せいこんかそう)》ッ!!」


 と、()()()()、ハンマーの持ち手のような長い棒をズドンと伸び上がるように出現させた。



「くっ、余計なことを……!!」


 その棒に額を掠めながらも体を捻ってそれを回避し距離を取る、リトリー。


 すると、ようやく視界も元に戻ったようで、アザミは背中の棒がパラパラと崩れ去ると、


「魔術は感情と想像力次第とはよく言ったもんだ。ポイントを意識すれば、こんなこともできるのか……」


 と、自分の力に驚きながら立ち上がった。



 一方、その様子に気を取られていたシズクにも、レンという脅威が迫っていた。



「余裕だな、よそ見とは」


 レンはトンファーを構えて、今まさにシズクを殴ろうとする。――――しかし、その時だった。



 シズクの体が、白く輝いた。



 直後、シズクは目を見開く。――――と、レンの攻撃を回避する術を持っていないシズクは、それに拳を合わせた。


「また力比べなら、望むところだ……!!」


 拳とトンファーがぶつかると、拮抗した力の中でレンの持つオレンジの魔力が沸る。



 そして、前回と同じようにシズクの拳をグググッと押し込む。――――はずだった。



「次こそは! その腕、砕いてやるよ!!」


 しかし、そのレンの言葉とは裏腹にシズクの腕は押し込めない。


 どころか、僅かに自分の腕が押し戻されていく。


「な、なんだこの……ッ、白い魔力……ッ!!」


 そして、遂にはレンのトンファーを押し返し弾き飛ばすと、続けてその場でくるっと回りレンの腹を殴り飛ばした。 


「シズク、その力は……!?」


 その光景に、向き合っていたアザミとリトリーも思わず目を奪われる。



「……懐かしい。これ、たぶんカロの魔力。前に繋がってた時に似てる」


 白い光に包まれた姿でぐっと拳を握る、シズク。



 すると、リトリーが、


「何かまずい……! レン、早くそいつを……!! もう命はどうだっていい!!」


 と、声をかけた。


「……っ!」


 珍しく声を荒げるリトリーの姿に、さすがのレンも危機感を覚えて、


「《砕雷》+《狂嵐(きょうらん)》――――」


 と、全力で殴りかかる。


 すると、トンファーには先ほどまでの力強さに加えて、シズクを吹き飛ばしたあの暴風の力が纏わりつく。



 そして、それを振り上げると、レンは、



「2つ合わせて――――《砕雷狂嵐(サラキラ)》だッ!!」



 と、それをシズクに叩きつけた。



「――――シズク!」

 


 アザミが叫ぶその先で、シズクは静かに拳を引く。と、次の瞬間、



「めがとん・くらっしゅ――――」



 そう言って、それを拳で迎え撃った。



 ズゴォドンッ――――拳のぶつけ合いとは思えない衝撃音が辺りに響く。



 次の瞬間、2人とも互いの後方に向かって土煙の中から飛び出す。と、煙が晴れた先で、2人は見つめあった。



「カロから送られてくる魔力。温かい。――――温かくて、心強い。これなら、やり合える」



 ガシャンッと拳を合わせる、シズク。


 すると、その姿を見てレンは、


「良いねぇ、テンション上がってきたぜ……!」


 と、笑った。



 その様子を見て安心したのか、アザミも再びリトリーと向き合う。と、


「さあ、やろうか。第2回戦」


 と、顔を(しか)めるリトリーに向かってハンマーを構えた。



 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


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