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【10000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【第3章まで 完結済み/最終章 更新中】  作者: 誰時 じゃむ
最終章 - 第5話 仇なす者たち

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5-2 似た者同士

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 雲に隠れていた月が再び姿を現した時――――遺跡のその前で、アザミとリトリー、シズクとレンがぶつかり合った。


「《ランドリー》――――」


 まず、リトリーがすでに3枚に増やしていたコインをアザミに襲い掛からせる。――――と、そのコインの軌道は今までの直線的なものとは違い、蜂のようにブンブンとアザミの周りを舞いながら変幻自在に飛び回った。



 そんなコインの姿を見て、アザミは、


「しゃらくさい!」


 と、一周し、その中に突っ込んでいく。


 そして、


「やってみるか!」


 と、ある種の覚悟を固めると、アザミは走ったまま槌の部分を地面にガリガリと引きずってそれからぐるっとターンをしつつそれを振り上げた。



 次の瞬間、アザミ描いたの軌道に合わせて――――炎がトグロを巻いてアザミを包む。



 すると、そこに突撃してきたコインたちはその炎に勢いをふわりと緩和されて、止められてしまった。


「おおっ! できた!」


「……っ、3つに分裂し、威力が下がったせいで貫けないのか……!!」


 アザミは自身の力に驚き、リトリーは歯軋りする。――――と、アザミは自身の足元を爆発し、その推進力でリトリーの眼前に向かって一気に迫った。



 急に迫ってきたアザミに、リトリーは反射的に、


「《銀牙万(ぎんがばん)――――」


 と、魔石具の力を使おうとする。



 しかし、


(いや――――今は切り時ではない!)


 と、決断をすると、アザミのハンマーを刀で受け止めたのだった。



   ▼ ▼ ▼ ▼



 一方で、シズクとレンは攻撃的な魔術の使えぬ者同士。


 2人は、拳とトンファーのぶつけ合いに突入していた。

 高速で放ち合うその打撃の応酬は、まるで竜巻のようだった。



 しかし、その力は均衡しているというわけではない。



 戦況は、レンの優勢だった。


「どうした土人形! これじゃあ、サンドバッグと変わりねえぜ!!」


「……っ、強い……!!」


 力と力の衝突であれば、レンの方が僅かに上だった。


 そして、その僅かな差は税金のようにじわじわとのしかかり、徐々にシズクを不利に追い込んでいく。



 だが、シズクは戦いの中でじっとレンの動きを観察していた。

 レンは、殴る前にこちらの動きを見てからシズクの拳に合わせて攻撃を繰り出していたのだ。



 だから、シズクはそれを利用する。



 拳とトンファーがかち合う直前、シズクは軌道を少しずらし拳とトンファーをすれ違わせる。


 そして、


「お?」


 と、困惑するレンの腹にあいさつ程度の膝蹴りを入れると、そのまま魔石具のグローブをはめている手を祈るように組み合わせて、


「くらっしゅ――――」


 と、思い切りレンの背中に向かって振り下ろした。



「――――《砕雷(さいらい)》ッ!!」


 しかし、レンはレンで空振ったままの勢いを殺さずむしろその場で素早くくるっと回ってみせると、魔石をオレンジに光らせながらシズクの拳に合わせて裏拳をかました。



 2つの魔石具がぶつかる。



 組まれた拳と片手のトンファー、正面からの攻撃と裏拳。


 必然、シズクの方が攻撃を押し込む。



 が、レンの魔力はオレンジ。――――つまりは、強ければ強いほど燃え上がる。



「――――いいねぇ!! 見くびってたよ!!」


 レンは力に押され、自身の足が地面を削ってもなおその攻撃から逃げず踏ん張る。そして、


「ここで張り合ってもいいが、今は勝たなきゃならないんでな……!!」


 と、口にすると、レンは空いていたほうの手のひらをシズクの攻撃を防いでいる腕の下から覗かせた。



「《狂嵐(きょうらん)》……!」



 次の瞬間――――レンの体から暴風が生まれ、あたりを吹き飛ばす。



 そして、レンの袖の下から姿を表したのは、ブレスレット型の魔石具だった。



「新しい、魔石具……!?」


「あの日、負けた時、工場から持ち出したのさ。――――持ってきたのは、もしもの時に俺たちも海の中へ向かうためだがな」


「! なんで、海のこと先に知って……!」


「それが知りたかったら、口を割らせてみろ」


 すると、さらにシズクたちの遠くの方で青の光が明滅する。


 そこにあったのは、リトリーに迫るアザミに向かって飛んでいくコイン。それを再びハンマーに纏ったとぐろの炎で防ぐ、アザミ。



 そして、そんなアザミに向かって手を伸ばすリトリーと――――その右手の中指で輝く青い指輪だった。



「《哀時雨(あいしぐれ)》」



 次の瞬間――――リトリーの手の周りの空気が震え出す。



 と、その手の先で共鳴したコインたちが一斉に震え始めた。


「これは――――」


 アザミが目を丸くするもの無理はない。


 それは、かつてリトリーやレンとともに岩手紫衣羽(しえば)の反乱に加担した少女――――ルイスの持っていた魔石具の力に他ならなかったからだった。


「そんな炎など、押し潰せ……!! ルイス!!」



 そのリトリーの言葉に従うようにコインは螺旋回転を始め、やがてアザミの生み出した炎の壁を貫く。――――と、コインはそのままアザミの体に食い込み、宙にアザミを放り上げた。



「――――《銀牙万咬(ぎんがばんこう)》」


「しまっ――――」


 リトリーが刀を構え、魔石を赤く光らせる。


 その先で、アザミは不恰好な形で浮いていた。





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