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【10000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【第3章まで 完結済み/最終章 更新中】  作者: 誰時 じゃむ
最終章 - 第2話 影の大戦

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2-7 互いの目的

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)



「何を狙ってやがる……! ――――“デュラハン“ッ!!」


 アザミが“デュラハン”のボス格の男――――エレミヤを睨む。 


 その顔は鉄仮面のように動かなくて、宙に浮かぶニューグレンジの頂点に位置する祭壇の部屋の中で“デュラハン”から逃げ回るアザミたちをじっと見つめていた。



(魔術の効かない“デュラハン”という存在。――――それを本来なら戦場に解き放てば、ロンドンマフィア側がかなりの優位を握れるはずだ。しかし、あの男はそれをしない。――――つまり、この遺跡の中にその目的がある。やっぱり、空の“宝珠”なのか……!?)



 アザミは、祭壇の器から月の光を吸い集める空の“宝珠”を覗き見る。それは、まだ満たされ切ってはいないようだった。


(さっきも触れられなかったし、満タンになるまでは触れないのか? なら、1度ここを出るって手も……)


 すると、その時、空の“宝珠“に気を取られていたアザミの横顔を“デュラハン”の爪が掠めた。


 アザミがそれを避け、”デュラハン”の腕を掴んで壁に叩きつける。――――が、しかし、“デュラハン“は無傷のようで、もう1度アザミの顔を狙って腕を振るった。


 それを転んで回避したアザミに、エレミヤは、


「今日は、周辺の人間にこいつらの姿を隠す必要もない。もう、お前たちは逃げられない」


 と、告げる。


「仲間も全て奪われた俺たちに、残ったのは――――復讐だけだ」


 そして、胸に埋め込まれた魔石を煌々と輝かせると、大きな爪のついた魔石具で自身と戦っていた良月を殴り飛ばした。


「……! そうか、今回は霧って制限時間が――――」 


 アザミはエレミヤを睨んで、そう呟きかける。しかし、そこで気がついた。


「霧が、ない――――」


 すると、アザミは徐に、


「――――《爆花爆々(ばっかばくばく)》ッ!」


 と、“デュラハン”を狙うでもなく、何もいない宙を爆破した。


「何を……!?」


 エレミヤが、驚いてようやく表情を崩す。と、アザミは構わず、


「こんなんじゃダメか……! ――――飛鳥! 茨をばら撒いてくれ! シズクは、飛鳥を守れ!!」


 と、指示を飛ばした。


「……っ、分かりましたわ!」


「分かった」


 アザミに名前を呼ばれた2人は理由も聞かずにそれに応じると、シズクが素早く飛鳥に迫り、


「なんですの!?」


 と、戸惑う飛鳥をそのまま担いで走り出した。


「飛鳥、集中」


 シズクの言葉に、


「言われなくても!」


 と、飛鳥は部屋中に《茨衣封吾(シイフウア)》」の弾をばら撒き始める。


 すると、今度はエレミヤが、


「何をしているか知らないが……。感じた違和感は、排除する……!」


 と、その行為をやめさせようと動き出した。



「《弌平死ノ太刀》――――《風雷(ふうらい)雌雄(しゆう)》」



 しかし、それを止めたのは良月だった。



 良月は自身の大剣を2つに分離させると、その片方をエレミヤに向かって投げつけた。


 大剣の片割れが、ブーメランのようにクルクルと回転しながらエレミヤを襲う。――――しかし、エレミヤもそれを「ふんッ!」と振り返って足蹴にすると、今度はその背後をアザミが《聖痕火葬(せいこんかそう)》で呼び出したハンマーで殴りかかった。


「《爆花爆々》――――」


「――――《心臓喰い(デス・イーター)》」


 背中にハンマーを撃ち込まれてからハンマーが爆発するまでのコンマ数秒――――体に埋め込まれた魔石が輝くとエレミヤは加速し、爪でアザミのハンマーを弾く。

 と、それはエレミヤの体との間に僅かな空間を生んでから爆発し、エレミヤは寸前のところで直撃を避けた。


 そして、続け様、


「《心臓喰い》――――」


 と、再び魔石を光らせると、エレミヤは1人だけ加速したような動きでアザミを蹴り飛ばし、それから落ちていた大剣の片割れを拾って良月に投げ返した。


 直後、エレミヤは「ぐっ……!」と苦悶の表情を浮かべながら、強く脈打つ心臓を抑えその場に膝をつく。と、その時、飛鳥が、


「赤木アザミ! 終わりましたわ!」


 と、言った。


 それを聞いたアザミは、


「いい配置だ」


 と、祭壇全体を見つめると、転んだ先の近くに生えていた茨を掴んで、


「《爆花爆々》」


 と、口にした。



 次の瞬間――――茨をアザミの生み出した炎が伝って燃えていく。



「ちっ……! ダメか……!!」


 しかし、その炎の繋がりは間の空いた茨から茨へは伝わらず、途中で止まってしまうと、今度はアザミは、


「もう1回だ! 今度はもっと連鎖して燃え移るくらい密集に!!」


 と、要求した。


「今は霧がない。――――つまり、体液は補充されない! だから、部屋の湿度を減らす。魔術は“デュラハン”には通じなくても、空気には通じる。そして、自然現象なら奴らに通じる!」


「……! そういうことですの!」


 アザミの目的を飛鳥は遂に察すると、シズクに、


「ちゃんと支えてくださってよ!」


 と、言って、再び辺りに弾をばら撒き始めた。


 すると、それを聞いたエレミヤも、


「そういうことか……!! ――――“デュラハン”! その2人は最低限でいい! 赤髪の女を殺せ! やつを殺せば、発火はできない!!」


 と、対抗して指示を出す。


 その言葉にシズクが足を止めかけるが、アザミが、


「――――止まるな! 時間遅延も、奴らの狙いだ。目的を履き違えるな。あたしはなんとかなる……!!」


 と、立ち上がると、シズクは未だ自分たちを襲ってくる“デュラハン”に目を向けた。


 一方、アザミは自分を襲ってくる“デュラハン”を目にすると、


「はぁ……。また鬼ごっこか……」


 と、呟き、それから《魔術:強化》と《爆花爆々》で手のひらや足の裏を爆破することによって、急激に発進したり鋭角に進路を変えたりして“デュラハン”たちの中を抜けていく。


 そして、


「ま、今度はお前らが追い詰められる側だけどな」


 と、得意げに笑った。


 そんな横顔を、待ってましたと言わんばかりにエレミヤが襲おうとする。しかし、それを邪魔したのはまたしても、良月だった。


「お前……! 何度、俺の前に……!!」


「貢献できるなら、死んでも盾になる。――――それが、自分の生きる道ですから」


「……! お前みたいなの、殺したくて仕方がないんだよ……!!」


 エレミヤは顔を歪めて、まるで親の仇のように良月を睨む。



 しかし――――その時、エレミヤの動きが再び止まった。



 まるで心臓を握られて、無理やり止まることを強いられているかのように。


 しかし、それでもエレミヤは歯を食いしばる。と、良月の腹を、


「……ッ、らぁッ!!」


 と蹴って、距離を取るように宙返りした。


それ《(心臓喰い)》、あまり使わない方がいいですよ。死んでしまいますから」


「恵まれた側が説教してんじゃねえ! 俺たちの目的のためにはこれが必要なんだよ……!!」


 それから、エレミヤは体を起こし、《黒豹(くろひょう)》を改めて構える。そして、良月を睨んで、


「お前、確か家を見返すとかなんとかで悩んでたな……!! だったら、俺が殺してその悩みも人生も終わらせてやるよ……!!」


 そう、宣言した。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


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