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【6000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【第1章・第2章・第3章 完結済み/最終章 5・25~】  作者: 誰時 じゃむ
3章 - 第8話 空の”宝珠”【第3章(最終章前編) 完結】

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8-7 情報のパズル

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「薬草はクスリ、〇〇から来たは大体〇〇人とか〇〇製って感じで、◯年や◯本はその単位。探偵は捜索で追加は、街に刺客を放ったから協力しろって意味で……。興味のある方は、ってのは何か知ってるやつはって意味で……」


 アラン諸島。


 体を縛られ、かつてシズクたちが縛られていた処刑場で銃を持った自警団に囲まれる中、解説を始める浮浪者の男。


 それを、アザミと良月とシズク――――そして、眠りから覚めたカロが見下す。と、さらにそこから離れたところで、それをブルースが見つめていた。


 そんなブルースの横に、飛鳥が並ぶ。と、


「どうして、あの男を?」


 と、尋ねた。


「いや、急に話しかけられたんだ。――――あんた、“デュラハン“の仲間か客人なんだろ? でないと、あのバーを出入りできるわけねえ――――って」


「ああ。あの現場を見ていましたの……」


「で、“デュラハン”の行方と自分が“デュラハン”に入れるよう手引きしてくれないかって言われてな。とりあえず、捕まえたわけだ」


 ブルースの見つめる先では、アザミが浮浪者にスマホを向けていた。


 そこには、深刻そうな顔をしている文壱が映っていた。


「伝承とか噂は、それに纏わる情報を集めてる……。ならば、『この地方の遺跡に伝承に出てくる、秘密の酒。その魅力は、嘘か真か。一度寄って話と共にその情景に想いを馳せてみては、ぜひ“ティル・ナ・ノーグ“まで』という記事からも、遺跡を探していたことは間違いないみたいですね。しかし、これじゃあ何を得たまでかは……」


「あの……。それなんだが……」


 すると、浮浪者の男が割って入る。 


「奴らは、特にこの辺りの海を調査してたみたいでございやしたぜ。一方で、地上ではニューグレンジやストーンヘンジを中心に捜査していたようでございやす。あっしら末端のもんには、遺跡に行かせるというよりはとにかくそういう遺跡に関連がありそうな情報を集めさせてやしたね」


 その急に従順になった様子に、ピンク頭の荒くれ者アンドリューが、


「ずいぶん、あっさり吐くなぁ! おい! 何が狙いだ!?」


 と、喰ってかかった。


「ひ、ひぃいいいいいい……!! ね、狙いなんて滅相も! ただ、“デュラハン”が壊滅したと聞いて、この情報に価値がなくなったもんでございますから!」


 浮浪者の男は両手を上げ、怯えた様子でアンドリューに言い返す。と、そんな情けない姿でありながら、


「だ、だからその代わり、少しでいいんで金を恵んでいただけますかね……?」


 と、切り出した。


「あ!?」


「いいい、いいんでございやすか!? 金はいくらでも変わりが聞きやすが、情報はおいらの中にしかないんでございますよ!! つまり、おいらを殺してしまったら、それは手に入らないんでごぜえやすよ!!」


「こいつ……!! そうかよ! なら、てめえの根性と金。どっちが重いか、試してやるよ!!」


 銃を構える、アンドリュー。


 しかし、それを飛鳥は、


「やめなさい。払いますわ、それくらい」


 と、静止した。


「おぉ! 女神様!!」


 飛鳥を見てその姿を崇める、浮浪者の男。


 一方で、アンドリューはまだイライラとした様子で、


「いいのかよ」


 と、尋ねた。


「ええ。――――ただし、その情報に価値があれば、だけれど」


 飛鳥とアンドリューに睨まれて、浮浪者の男はビクッと体を跳ねさせる。と、それから、


「へ、へへっ、それじゃあ」


 と、語り始めた。


「知ってやすか? あの2つとも古代から存在する遺跡なんでごぜえやすよ!」


 浮浪者の男は、ドヤ顔をする。


 しかし、それを一同は「知ってる」とバッサリ。


 それに焦って、浮浪者の男は、


「じゃ、じゃあ! (そら)の“宝珠”の話は!!」


 と、別の情報を出してきた。


「知ってる」


 またも一同は返す。――――が、文壱だけが、


「……って、ちょっと待ってください。今、『そら』の宝珠って言いました?」


 と、その話に食いついた。


「え? ああ。そうでございます。確か、海の中から引き上げた石板にそう刻まれてたって……」


 すると、今度はアンドリューが、


「石板……。うちの島の遺跡か……!」


 と、虚を睨んで呟いた。と、そこでカロが、


「そういえば、ストーンヘンジのほうはアーサー王の物語に登場するって言われてたんだけど、それってその“宝珠“ってやつに関係あったりするのか?」


 と、尋ねた。


 それを聞くと、シズクが、


「こっちは妖精の塚だった」


 と、答える。


 そこへ、浮浪者の男は、


「そういえば、アーサー王にエクスカリバーなる2本目の剣を授けたのも、湖の妖精だったと聞きますね。まあ、あれは湖でございますが。しかし、もしかしたら塚――――つまりは墓というくらいですから、その妖精の墓とも言えるのかもしれません!」


 と、情報を捕捉した。


 その情報が、文壱を、


「確かに……。遺跡の中央には空の皿……。あれは、湖を表していた……? いや、言い過ぎか……。しかし、遠い目で見れば、どちらもアーサー王の伝説に関わっている……?」


 と、さらに悩ませる。

 と、自分の情報に価値があったと思ったのか、浮浪者の男はだんだんと調子が良くなり、


「しかし、すごい推理! 頭空っぽの連中なら、こうはいきませんよ!!」


 と、文壱の真剣な横顔をおだてた。


「おい、あんま調子に乗るんじゃねえ!」


 その様に、アンドリューがキレる。と、その様子を呆れた目で眺めながらアザミがカロに、


「他には?」


 と、聞いた。


「あとは……。あ、太陽信仰だっけか」


「太陽信仰?」


「そう。夏至の日の出のタイミングで、遺跡の真ん中にあるヒーリーングストーンと出入り口が一直線で繋がるんだよ。で、確か太陽が1つに見えるって……。あれ違ったかな……」


「へえ、奇遇だな。こっちは、日の出の光と共に太陽が差し込むとか。まあ、今は数分ズレてるとかなんとか……」


 すると、再び文壱が、


「……それを偶然で片付けるには、あまりにも近すぎますよ」


 と、深刻そうな顔で言う。

 そして、再度、


「確か、言い伝えって……」


 と、確認しようとした。


 すると、それに反応したのは、飛鳥だった。

 飛鳥はその場で何も見ずに、


「不変的にそこになく、しかし、不変的にそこにあり。いかなる時も、姿を現すものではなく。目には見えぬ、(から)の“宝珠“。それを、満ちた器に掲げよ。さすれば、道導は満たされ、扉が全てを招くだろう」


 と、暗唱してみせる。


 そこで、文壱は、


「そうか!」


 と、目を丸くして体を起こした。そして、それから画面の向こうで、起き上がった反動で痛む足を押さえた。


「何か分かったのかしら?」


 飛鳥が尋ねると、文壱は苦悶の表情を浮かべながら、


「……ええ。僕ら、全てを間違えていたんです」


 と、答えた。

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