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【6000PV 感謝】カロ - 黒魔術の子 と 人形少女 - 【第1章・第2章・第3章 完結済み/最終章 5・25~】  作者: 誰時 じゃむ
3章 - 第8話 空の”宝珠”【第3章(最終章前編) 完結】

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8-end 始めから仕組まれた決戦【第3章(最終章前編) 完結】【最終章は5/25~】

第3章完結?です!

最終章前半なので完結とは言えませんが、2週間だけ休みます!

5/25から4章開始です!!


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「不変的にそこになく、しかし、不変的にそこにあり。いかなる時も、姿を現すものではなく。目には見えぬ、(から)の“宝珠“。それを、満ちた器に掲げよ。さすれば、道導は満たされ、扉が全てを招くだろう」


 言い伝えをさらっと暗唱してみせる、飛鳥。


 そこで、文壱は、


「そうか!」


 と、目を丸くして体を起こした。そして、それから画面の向こうで、起き上がった反動で痛む足を押さえた。


「何か分かったのかしら?」


 飛鳥が尋ねると、文壱は苦悶の表情を浮かべながら、


「……ええ。僕ら、全てを間違えていたんです」


 と、答えた。


「全て?」


 カロの問いかけに頷くと、文壱は、


「まず、“宝珠”。――――それは、『から』ではなく『そら』だったんです。つまり、そこの情報屋さんの言う方が正しかったんですよ。『から』というのは誤訳です。さっき『頭空っぽの人たち』というワードを聞いて気づきました。『頭空っぽ』を英語で『Aithead』と言ったりもするんです。『Air』――――つまり、“(そら)“」


 と、解説した。さらに、


「『目には見えぬ、空の“宝珠“』――――それを、“デュラハン”たちは魔力の塊だと思っていた。だけど、それが今『そら』だと分かったことで、それが何を指すのか。もう分かるんじゃないですか?」


 と、続けた。


 そこで、飛鳥は鋭い目をして、


「月、ですわね。それも、まんまるに満ちた月」


 と、答える。と、それを聞いた良月が、


「満月……! そうか、禁書に必要な『時間』!!」


 と、自分の出した答えに驚いた。


「『それを、満ちた器に捧げよ。さすれば、道導は満たされ、扉が全てを招くだろう』――――僕らがニューグレンジを訪れ、器のあった中央の部屋で電気を消されたあの時、月の光を模した灯は確かに皿を満たしていました。そして、道導とは――――」


「――――あの道の上にか細く通るとされている、月光」


 アザミの推理と自分の推理が同じだったのか、文壱は「ええ」と相槌を打つと、


「つまり、あの遺跡たちは太陽信仰をしているのではない。月の光を一直線に通す、ある種の月夜(つくよ)信仰のために生み出されたんです」


 と、結論づけた。


 しかし、それを早くも良月が、


「けれど、待ってください! 互いの遺跡の向きも違うし、こっちは日の出の時間まで4分もズレてるんですよ。一斉に揃うことはないはずです」


 と、否定する。


 そこで、カロはそれをも否定するある結論に至った。


「大陸移動説か……!」


 そうしてカロはアザミを見ると、アザミは今の世界が描かれた地図を広げる。


 そして、の前にしゃがみ込むと、地図にシワを作りながらアイルランド島とイングランド島の窪みを寄せ合わせた。


 イングランド島が少しだけ左に傾く。と、それらは綺麗にくっついた。


 すると、さらにそれを見て飛鳥が、


「待って。お互い、一直線になった光の線を書いてくださいまし」


 と、命じた。


 アザミはペンを取り、ニューグレンジがある場所に線を引っ張ると、唾を飲み込みながらカロにペンを差し出す。と、カロも同じようにストーンヘンジの上に線を引いた。


 それから、シズクが、


「がっちゃんこ」


 と言って、地図を先ほどと同じように合わせる。


 と、それらは、アラン諸島も含めて一直線に――――。


「――――繋がった」


 全ての島が、1つの島に。まさか、本当にそうなってしまうなんて。


 そう言いたげに、文壱が呟いた。


「これなら、おそらく半欠けの遺跡も復活すれば、今あるアイルランド島西のくぼみも埋まるでしょう」


 すると、アザミは思い出したかのようにハイ・ブラジルの乗っている古地図を広げ、


「この窪み……。ハイ・ブラジルの形と一致する……!!」


 と、気づきを口にした。


 カロは口に手を当てながら、


「これなら、4分の日の出のズレも説明がつく。そして、もしこれがそうだとするなら……」


 と、言い淀む。すると、その結論をシズクが、


「……この島が、ハイブラジル」


 シズクが躊躇なく言ってみせた。


 しかし、だとすると、問題があった。それは、さっきまでの理論的なものとは違い、もっと物理的なことだった。


「でも、これって今はどうやって再現するんですか……? 魔術といえども、とてもこれは……」


 良月の疑問は、当然のものだった。


「――――いや、できる。できてしまう」


 それを解決したのは、カロだった。


「禁書の中に”時間に干渉する”能力を持つものがある」


「ドイツに封印されていた禁書《無情(チャリオット)》ですわね」


 飛鳥の言葉に頷く、カロ。


「それ単体なら、自分と周囲の時間くらいしか戻せないかもしれない。――――だけど、禁書には共鳴効果がある」


「共鳴?」


「禁書は、近くにいればいるほど。集めれば集めるほど、その力を増していく。天日が持っている禁書《依存(キュルソン)》の”五感に干渉する力”も、初めは自分、次に物、周囲の人間の目……と、その効果範囲や内容が変化していっていた」


「……なら、今3つ。いえ、骨喰安久良と合わせて4つ持っている状態でならば」


「何ができても、おかしくはない。あいつは、俺の前では絶対に禁書の力をすべて見せはしなかった。むしろ、わざと制限しているようだった」


 カロと飛鳥、その場にいた”禁特”全員が息をのむ。


 すると、電話の向こうで最後に文壱が、


「禁書に必要な『時間』――――満月の日、禁書の『場所』の扉が開かれる。そして、そのためには禁書の『力』を使う必要がある。……初めから、全て必要だったんだ。僕たちがいくら早く突き止めたところで、それらを解決するにはすべてがそろう必要があったんだ」


 と、結論を出した。


 「結局、俺と天日で決着をつけるしかないってことだな」


 カロの言葉に、もう反論はなかった。

 その答えは、この場にいる全員の総意だからだった。


「なら、この島の人には避難してもらいましょう。満月の日に」


 飛鳥は、アンドリューを見つめる。


「よく分かんねえけど、アラン諸島が戦場になるって認識でいいんだな?」


 飛鳥が頷くと、アンドリューは遠くにある港町を見つめ、


「どうせ、再建中だったんだ。思い切り壊して、1から建てるのも悪くねえ」


 と、呟いた。


 そして、今度はカロと向き合うと、


「その代わり、勝てよ。なんか分かんねえけど、あんたが人類代表なんだろ」


 と、その胸を叩く。


 カロはそれに、


「ああ。俺にとっても、勝たなきゃならないんでな」


 と、まっすぐ見つめ返した。


「――――で、あるならば、避難はロンドン支部に行わせるわ」


 その声に、全員が一斉に振り返る。

 そこに立っていたのは、芭月だった。


「お母様……!」


 そう驚くアザミに、芭月は資料を手渡す。

 そこに描かれていたのは、”デュラハン”と同じ半魚人のような見た目をした化け物だった。


「これは……?」


「”人魚の滴”。――――そう呼ばれた黒魔術で生み出された”対魔術。そして、対クラーケンように人の体を作り変えてしまう薬”によって変えられてしまった姿よ。滴に混ぜられた血を持つ人間の言うことに従う、兵士を作り上げるものでもあるわ」


「クラーケン……!?」


 そうアザミが見上げるも、芭月は顔を横に振る。


「ほかの資料を漁って出てきたのは、そう呼ばれる存在がこの島をゆうに超えるほどの巨大なイカであることが記されているぐらいだったわ。――――だけど、ここに記されているってことは魔術に関連しているってことで、それをあのマフィアたちが使っているってことは、それに関連した何かがこの遺跡には関わっているかもしれないってこと。それも、ロンドン支部の資料でしか発見できなかったってことは、このあたりに関わることってことよ」


 それを聞くと、良月は、


 ――――そういう境遇だから、俺たちは残されたものが幸せになればいいと考えている。だから、俺の仲間は自ら進んで“デュラハン”になったんだ。自分を捨て、ただ俺たちの命令を聞くだけの存在に。知能も、体も捨てて……。そして、目的のためなら、最後まで利用されることを厭わない、そんな怪物に。


 と、霧の中で自分を見下していた物静かな男の言葉を思い出した。


「自ら、血を混ぜたものの言うことを聞く怪物に……」


 そこへさらに、芭月は情報を投下する。


「それと、彼ら”デュラハン”を買い、裏で遺跡捜査の指示を出していたマフィアは、禁書災禍の生き残り――――つまりは、天日と岩手紫衣羽の祖父である福寿の同時攻撃に参加した黒魔術師や魔石具を持った戦闘員たちだったわ」


「つまり、この件には天日が関わっていたということですの……?」


「あるいは、その生き残りたちが団結しているのか別の勢力と手を組んでいるのか……。それは分からないわ。確かなのは、『禁書災禍の生き残りが、遺跡に関する情報を欲していた』ということだけね」


 禁書災禍、骨喰家と赤木家、岩手一族。

 いろんな情報が錯綜する中で、しかし、カロは堂々宣言した。


「関係ないですよ。俺が、天日を止めればいい。そうすれば、全部解決するんだ」


 その言葉に、芭月は、


「その通り。だからこそ、私たちはあなたを全力でサポートするわ」


 と答えたが、一方でシズクは、


「カロ……」


 と、アザミとともに心配そうにその横顔を見つめていた。


 

   ▼ ▼ ▼ ▼



 イニシュモア島、民宿。


 文壱は電話の切れた真っ暗な画面を見つめる瞳を手の甲で覆い、ベッドに倒れる。


「”デュラハン”に禁書災禍、か……」


 そして、そう呟くと自身の太ももをグッと握った。


「こんな時に、こんなざまで……! 何が見返すだ……!!」

 

 その無力感にと巻き込まれなかったことに少しだけ安堵している自分に、文壱は腹を立てる。


 が、それもそのうちに虚しくなって、文壱はだらんと腕をベッドに預けると、それから遠くにある島の遺跡のほうに目を移し、


「しかし、あの絵画は何だったんだろう。それに、ニューグレンジの文様も……」


 と、呟いた。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


 2週間(5/25から再開)休みますが、もう残るは最終決戦(……と、多少の過去回想)だけなので最後まで一緒に駆け抜けてくださると嬉しいです!


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