第3章 (1)
再開してみました
そんなこんなでわたしの『和樹育成計画』は本格的に始動した。
2度目の実践練習にはもう少し時間を置こうと思うけど、初回の反省点について思い出させ、メッセで再テスト及び採点といったことを何度か行ってる。
意外にも、そこで和樹はさほどミスしなかった。疑問に思って尋ねると、過去にプレイしてきたギャルゲーの知識を援用してるのだという。
なんだそれふざけんな、とか怒ったりはしない。なぜってわたし的には、それを期待してのやり方でもあったのだから。
なんかこれ見落とされがちだけど、キャラの濃くない王道ヒロイン系を攻略する場合には、現実に即した選択肢が正解であることがわりと多い。
もちろん所詮はエンタメ、当てに出来るとまで言わない。ヒロインの攻略手順が存在すること自体ファンタジーだし、いわゆるただしイケメンに限るとかイケメン関係なくセクハラじゃね?みたいな場面も普通にある。
ただヒントというか、少なくとも明らかにアウトな言動とその傾向ぐらい参考に出来るだろう、と考えてたのだ。なのであの日の体たらくには参った。
といって、最初からそうしろよとは言わない。代わりに〈次回はそれをリアルで出来るといいね〉とだけレスしたところ、〈気をつける〉と戻ってきた。頼りない返事でも、文句じゃないだけ和樹にしてはマシなのだ、きっと。
「てなわけでさ。やっぱ否定から入っちゃだめなんだって」
これはネットの聞きかじりでしかないものの、態度の卑屈な奴ってのは一般に、自分を肯定する感覚が薄いものらしい。
まぁ和樹にしろかつての虎次郎兄ちゃんにしろ、学業(お兄ちゃんは芸術方面もだけど)以外の部分で褒められることはめったになかったと思うし、妬み混じりの人格否定ばかりを真に受けちゃうのはわかる気もする。
拗ねた態度を取れば周りはさらに叩きたくなるのが普通なわけで、そんな自分を守るつもりで意固地になるのかもしれない。てな具合の悪循環を何周もした結果があの性格で。
「ケチつけるより先に、なんつーか……まず存在を認めてあげる、っていうか」
対応を誤ると、善意のアドバイスも悪意をもって解釈されてしまう。
「いろいろ問題があるのは相手のほうでもさ、話も聞いてもらえないのは、たぶん半分ぐらいこっちのせいなんだよ」
小学生の頃にこれが出来てればだいぶ違ったんだろうな、と思いながらわたしは紅茶に口をつけ、アイリの反応を窺った。
今回わたしたちがいるのは国立の静かな喫茶店。普段はまずわたしが吉祥寺か、あるいは都内まで出るのでこれは珍しかったりする。
その珍しいことになってるわけは、今日アイリはわたしより、本来お兄ちゃんに用事があるため。というかあいつが呼び出したのだ。
依頼を受けた『Flower of Fortune』の別ヴァージョンがほぼ完成して、仕上げ前にクライアントの意見を聞きたいらしい。
もともとサプライズの予定だった曲で、どう変わったのかわたしは知らないし、今日も聴くつもりがない。お兄ちゃんの部屋でふたりきりにするのは少し気になるものの、それは言いっこなしってもんだろう。
ともかく、せっかくアイリが来るのなら、とお兄ちゃんを差し置いて駅で迎え、こないだの埋め合わせがてら家へ案内する前に誘ったのが現在。
どうせ帰ればわたしのぶんまでお茶の用意が待ってるのはわかってるんだけど、やっぱり電話やメッセでのフォローじゃ気分的に物足りないので、先に落ち着いてふたりで話したかったからだ。
ほんのり上品に、アイリが息をつく。
「かりん、ずいぶんあれの肩持つんだね」
それからすっかり他人事みたいな顔で、たっぷり間を使い優雅にティーカップを手に取った。
関係ないけどそのミルク多めのアッサムには砂糖がふたつ入ってる。コーヒーはブラック砂糖なしでも、紅茶ではストレートなら砂糖ひとつ、ミルクティのときはふたつという謎のこだわりがあるらしい。
「……そういうわけじゃないんだけどさ」
自分でも甘いとは思う。もしわたし自身の策でなかったら「お前には向上心ってものがないのか!」と襟元掴んで揺さぶりたくなるところだ。
ただこれは、隠した動機をごまかしてるわけじゃない。無論こないだのアイリを責めてるわけでもない。
「やっぱ、始めた以上は責任持たないと」
肩をすくめるわたしに、好きにすれば、とアイリは呆れ混じりに微笑んだ。もう義理は果たした、と言うように。
「わたしは降りるよ。あとは頑張って」
「はいはい。こういうやり方は好きじゃない、でしょ」
この件を提案した段階で、協力はする、との前提であらかじめ言われてたのだ。あんな終わり方でなかったとしても、引き留めることは出来ない。
わたしが想いをカミングアウトしたその場で堂々と宣戦布告してきたアイリだ、こっそり落とし穴を掘るような真似がふさわしくないのは確かなんだけど。
「自分だって今日子さんの『こういうやり方』に助けられたくせに」
「だから、そういう先輩が相手じゃなかったら付き合わなかったよ」
皮肉を予期してたかのように、アイリはすかさず返してきた。
「こっちは大変なんだってば。あなたたちの面倒な関係のせいで」
……うん、そうだよね。
「……ごめん」
これは言い返しようがなく、わたしは上目遣いで小さくなる。
お兄ちゃんと今日子さんと、顔を突き合わせて「とりあえずぜんぶ水に流して」とでも言えばいいのかもしれないけど、却って藪蛇になりかねない気もする。
――かりんのお姉さんになってくれる、というなら話は違うけどね。
冗談であったとしても、あの言葉が持つ意味は重い。
「謝らなくていいよ。アンフェアだったのはわたしもだから」
あらゆる意味でとばっちり、立場的に不可抗力とさえ言えることをアイリはまだ気にしてるようだ。正直かなり申し訳ない。
その義理堅い性格からして、この状況はもどかしいに決まってる。
「みんな、アイリみたいだったら簡単なのにね」
だから自分を棚に上げて言ったのは嘘じゃない。
「バカ。なに言ってるのよ」
「いや、だってさ……」
ほんとバカでごめん、と心のなかでまた謝るわたしを、アイリは少しだけ睨む。わざとらしいほど大きなため息をつき、続けざま目元をほころばせた。
「それじゃ、かりんと親友になれなかったじゃない」
つまらないよそんなの、と笑われ、一瞬ぽかんとする。
「あーあ。忘れちゃったんだかりん、残念。わたしは覚えてるのにな、『アイリに憧れてはいるけど――』」
そこでアイリは小首を傾げて溜めを作った。それって……。
あ。思い出した。
――真似だけしても追いつけないから。
「――アイリになりたいとは思ってない、か。言ったね、そんなこと」
そいやそうだった、とつられてわたしも笑う。
まだ読モ駆け出しの頃だ。確か説教混じりのアドバイスを受けながら、精一杯の強がりで言ったわたしのなにがツボだったのか、なぜかそれ以後アイリはわたしにプライベート含めよく構ってくれるようになった。
まぁそれからも説教はたびたびされるんだけど、出来るだけ素直に受け止めた。いつしか『アイリのライバル候補』とまで呼ばれるようになったのは、ぶっちゃけまさにそのアイリのおかげだったりする。
そういうことだよ、と見せる天使の笑顔は、一緒に事務所の契約を決めたときと同じもの。なんかわたしより喜んでたんだよな。
「そうだね」
やれやれ、あんたも充分女たらしじゃん。わたし限定で。
いつまでも待ちぼうけを食らわせるわけにもいかず、話をそこそこに切り上げてわたしたちは店を出た。
これから帰る、とお兄ちゃんにメールを送り、10分ほど歩いて帰宅。
アイリがうちに来るのはこれが初めて。以前にも遊びに来たいと言われたことはあったけど、その頃は家庭環境……というかお兄ちゃんたちにまつわるもろもろを話す気になれなくて、やんわり断ってたのだ。
バッグから鍵を取り出してると、けっこう家大きいね、とアイリは呟いた。
「グランドピアノがあるっていうし、予想はしてたけど」
「あんたが想像してるようなのと違うよ。エレクトリックだから」
つっても場所を取るって意味では大差ないか。普通にそんなのがリビングに鎮座出来てる以上、一般的に見て大きい部類の家なのは確かだ。
1階の一部はお婆ちゃんの暮らしてた1DK(2世帯住宅なのだ)がそのままになってるし、龍一兄ちゃんが使うはずだった部屋は最初から空きっぱなし。3人で住むにも広いのに、虎次郎兄ちゃんが帰ってくるまではお母さんとふたりきりで、地味に掃除が大変だったりした。
「それでも、あんたのとこの半分もないけどね」
「そういう自慢したかったわけじゃないってば」
わたしだって皮肉のつもりとかないし。
つーか比べるのもアホらしい。2度ばかりお邪魔したアイリの家は豪邸と呼ぶにふさわしく、建物の敷地面積だけでうちの土地全体を上回る。そこに家屋より広い庭が付き、駐車スペースには高級外車が3台。
なかに入れば家族それぞれの寝室(当然うちの部屋よりだいぶ大きい)のほか、書庫だのリスニングルームだのに加え、鏡張りのバレエ練習部屋まであって本気で度肝を抜かれた。
リビングの広さもそこそこのカフェぐらいはありそうで落ち着かなかったけど、なかでも一番びびったのは、20畳近くありそうな部屋ひとつ丸ごと母親と兼用のウォークインクローゼットとして使ってたこと。
衣装ダンスひとつ取ってもスケールが違うわ、と思い出しつつ玄関扉を開ける。
「ま、とりあえず入ってよ」
「お帰りかりん。アイリも」
言った矢先、構えてたように優男顔が出迎えた。
「……ただいま」
いやこいつだし、たぶん実際待ち構えてたんだろうな……。
やや返事が遅れたのはお兄ちゃんの登場の仕方より、その服装のせい。しっかり着替えてんじゃん、とは言わないでおく。
ロスでわりとおしゃれになってきたとはいっても、実は家での虎次郎兄ちゃんは昔とあまり大差ない。外出時に着れないような日焼けで色あせたパンツや首周りの伸びたTシャツのほか、着古したジャージでいることも多い。
というか今日は平日。学校が終わってさほど経ってないこのぐらいの時間だと、晩ご飯の支度を始めるまでは制服のままでいることが大半なのだ。
それがいまは、ほぼ新品に近いサマーニットにストレッチ素材のスキニーパンツ(どちらもいつぞやの原宿で買ったやつだった)を合わせ、日本へ戻ってきた日に着けてたシルバーネックレスまで飾ってる。
つられて視線を留めると、ニットのボートネックから覗いた鎖骨のラインにまで作為があるような気がしてきた。
ただまぁ一応お部屋デートとも言えるし、ちゃんとしてるのは当然か。
「こんにちわ虎次郎さん。お招きいただけて嬉しいです」
アイリはと言えばもちろん完全デート仕様だ。ドレープの入った白いトップスにチョコレートブラウンの膝丈タイトスカート、その上に黒のロングカーディガンを羽織った大人っぽくも甘めのコーディネート。
さらにはハーフアップにした後ろ髪を、ややゆるめのフィッシュボーンに編んでサイドから垂らすという念の入れよう。よくそんなのやる時間あったな。
なんか互いのこういう姿見てると、女と男もまた戦いなのかなーとか変なことを考えてしまった。
かしこまった挨拶を受け、お兄ちゃんが意外そうな顔を返す。
「あれ、ずいぶん他人行儀なんだな」
「そうですか? それなら」
と言ってアイリはショートブーツを丁寧に脱ぎ揃え、床に上がって一瞬わたしに視線を送る。
それからお兄ちゃんに抱きついた。
「ただいま帰りましたお兄様、って言ったほうがいいですか?」
お兄ちゃんも当然のように腕を背中に回し、左右のほっぺに軽くちゅー。
「そこまでは求めてないな。でもアイリにそう呼ばれるのは悪くない」
…………やるかもなーと思ったよね。ニセ外人たちめ。
やり取りを黙殺しつつ、わたしも靴を脱いで上がった。
ふたりの横を抜けてさっさとリビングに向かおうとしたところで、お兄ちゃんが呼び止めてくる。
「ところでかりん」
「やらんわ。うちは日本」
これまた思った通り、毎回こうなんだよ、とお兄ちゃんはつまらなそうに言い、アイリは肩をすくめて笑った。
やれやれ、って言いたいのはこっちだっつーの。ばかたれが。
そりゃ内心、平静とは言い難いよ。けど腹を立てるまで行かないのは、わたしもその気になればいつでも出来るし、望まれてるのもわかってるから。
といってやればまた前みたいに感情があふれてしまいそうで怖い。そこで抑えが効くぐらいなら、初めからこんな気持ちにはならなかったと思うのだ。
立ち話してないで、とふたりを促して奥へ。
お兄ちゃんがお茶を淹れるためにキッチンへ引っ込んでる間、わたしはアイリを案内する。ふたつのソファに挟まれたローテーブルには予想した通り、あらかじめ3人分のお菓子が用意されてた。
それからしばしのご歓談。お茶請けがお兄ちゃんの手作りプリンだったことにはアイリが若干の白い目を向けてきたものの、「今日のはアイリのためなのにな」と言われたらあっさり機嫌を直した。
なお前回がガトーショコラだったことについては黙っておくことにした。秋口に入った頃から、お兄ちゃんは料理に続いてお菓子作りを始めたのだ。もうこいつがどこへ行こうとしてるのかわからない。
なにげにスタイル維持に必要な運動量が増えてるんだけど、いつも美味しいから文句は言いたくないし。とりあえずアイリみたいにちちが増えてくんねぇかな、と思いながら今回も綺麗に平らげておく。
その間、お兄ちゃんはきちんとアイリをもてなした。
わたしを無視することはなくとも、プールのときみたいに、あんたいったい誰とデートしてるつもりなんだみたいな扱いとはぜんぜん違った。
「いつも綺麗だけど、今日は一段と似合ってる」
「ふふ。虎次郎さんこそいつもそういうこと言って」
「誰にでもは言わないよ。アイリだから」
「かりんにも、でしょ。どうせ毎日」
「それは否定出来ないな。でもかりんと並んで目を奪われる子なんて、アイリしかいないのは本当だよ」
……とかそんな感じ。なお実際毎日なのでそこはスルー。妹そんな褒めてなにが面白いんだか、と言っても「美人を褒めてるんだよ」と返してくるんだからもはや諦めた。
それはともかく、いまの気分はかなり複雑。必ずしも悪い意味でなく。
というのも以前まで、笑わせてもらった反面、お兄ちゃんがアイリをぞんざいに扱うのがわたしはちょっと不愉快でもあったからだ。
たまたま同じひとを好きになってしまっただけで、親友が真面目に思いを寄せる相手から適当なおもちゃにされることは嬉しく思えない。
わたし(今日子さんもか)みたいに昔から慣らされてるならともかく、アイリはお兄ちゃんの紙一重ないたずらのことは知らなかったわけで、いきなりあんなのをやられて楽しめるわけがない。矛盾のようでもこれは本音だ。
「さっきはため息が出た。気づいた?」
「そうでしたね。本物かはわからなかったけど」
「そんな失礼な芝居はしないよ」
さんざんやらかしといていまさら、ともツッコまない。共感、と簡単に言うのはそれこそ失礼だろうけど、アイリがそうだったように、きっとお兄ちゃんもミタ中文化祭で聞いた話に感じ入るところがあったのだろう。
「じゃそろそろ、わたしは部屋に戻るよ」
これもまた複雑な気持ちになる一因で、かつて龍一兄ちゃんと仲良くしてるのを見て疎外感を覚えたように、いまも近いものがあるのだった。
「あれかりん、忙しいの?」
「そういうわけじゃないけど」
その一方で、すごく安心もしてる。積極的に加わらないのだって、別に拗ねてるわけじゃない。
きょうわたしはまだ制服姿。顔も眉を描いたほかは学校用の目立たないグロスを塗ったぐらいで、アイリと会うにはぶっちゃけ手抜き。
寂しくないと言えば嘘になるけど、これでお兄ちゃんがわたしばかり褒めるようだったらどうしてくれようかと思ってたのだ。
「邪魔するつもりないし。なんかあったら呼んで」
だからここで出した笑顔は営業用じゃなくて本物。アイリには伝わるよね。
自分の部屋に戻ってわたしも着替える。お兄ちゃんとの原宿で買ったクロップドパンツに、アイリと揃えてロングカーディガンを羽織った。なかは制服ブラウスのまま、といってもこっそり学校指定じゃないやつ。ラインが洗練されてるおかげでプライベートのキレイめファッションにも使えて地味に便利。
枕を背もたれ代わりにベッドへ腰掛け、スマホを立ち上げる。グルチャを一通りチェックしてからわたし個人宛て……お、来てるじゃん。
〈女はとにかくかわいいとかおしゃれとかが好きだから〉
あ。うーん……間違いじゃないけどこの場合は的外れだわ。女にだってラーメン食べたいとか牛丼屋に入ってみたいとか思うときあるし、そういった店がかわいくなくても構わない。もちろん見た目に不潔なのはアウトな……
……と、いきなり解説を始めちゃったいまのは今朝出した課題への、和樹からの返信メッセ。アイリにも話した疑似デートの反省テストで、問題文は〈『どうして飯食う店にまでオサレ感を求めんの?』の解答を求めよ〉だ。
これまで○×問題とか三択問題とかだったのを、試しに記述式にしてみた今回、和樹にはまだ難易度が高かったらしい。
仕方ない、と隣の部屋をいったん忘れ、模範解答を送る。
〈デートの行き先ってのはさ、テーマパークのアトラクションみたいなものなの。遊園地とかで建物や乗り物がしょぼかったらがっかりでしょ? それと一緒〉
つまりその場がアトラクティブな空間であるかどうか、ってこと。
そこを踏まえた上でなら、先の和樹の回答でも及第点ぐらいはあげるんだけど。ここでのおしゃれとかは単に『定番の選択肢』でしかない。それこそテーマパークや映画館がデートコースとして定番であるのと同様に。
でもテーマパークでどのアトラクションを回るか、映画館でどの映画を見るのがアトラクティブであるかは、互いの性格や関係性、タイミングによるわけで。
もっと言えば、例えばスタバだって好きなら充分アトラクションになり得るし、なんならラーメン屋ですらそうだ。実際チャレンジ気分でアイリとふたり、行列の出来る店に並んだことがある。食べてるときの注目度が苦笑いレベルだったので、それ以来自重してるけど。ちなみに普通に美味しかった。
まぁあまり複雑な話をしても消化出来ないだろうし、とりあえずこれで。あとは次回、実地で解説したほうがいいでしょ、と思ったら返信来た。
〈だったら最初からテーマパーク行けばよくね?〉
頭痛ぇ。
〈例 え 話 だから。もう一度よく考えて〉
こっちも返信。読解力、つーかテストなのに脊髄反射まじやめろ。気が短いのはわたしもだけど、誰のための勉強だと思ってんだ。
もう少し説明がないと腑に落ちないのか、そのまま会話になった。
〈でも街中とテーマパークは別物だろ。内政系ラノベやゲームみたいにコンセプト立てて街造りしてるわけじゃねぇんだし〉
〈だから普通は事前にデートプラン立てるよ。『デート』自体がテーマで、どんなデートにしたいか、ってのがコンセプト、それに従って行き先決めるわけ〉
言ってみればそこにあるものから選んで、自分と相手のキャラや相性を考慮したオリジナルのテーマパークをその都度演出する、みたいなこと、らしい。
らしいってのはこれがアイリの受け売りだから。とはいえ女子どうしでも本気のお出かけのときは近いものがあると思うし、ならこれがわたしの知ったかぶりってことにはならんだろ。はいはい続き。
〈こないだは高嶺たちが入る店決めてたじゃん。おれ聞いてねえし。それでおれがダメ出しされるのおかしくね?〉
〈ダメ出しはわたしたちが選んだ店に文句つけたことに対して、だよ〉
〈じゃなくてさ、そっちが勝手に選んだ店におれがダメ出しする権利ねぇの?〉
そこからか。んー、なんて言ったものか……こうかな?
〈あるよ。でも『相手の思惑を想像して』ってあのときルールにもあったじゃん。それなら代案出してくれないと。わたしたちが納得出来る形で〉
さっきの例で言うなら、ランチの店におしゃれカフェを選ぶことは和樹にとってアトラクティブじゃなかった、ってことなんだろう。
〈あの場で言ったらおれの意見通ったのか?〉
〈それは和樹の案とプレゼン次第だね〉
であれば『互いに』不満のなさそうな店を代わりに提示してもらわないと困る。もちろん実際にはアイリのテンションがあの時点でもうやばかったから、よほどの説得力がない限り通らなかっただろうけど。ここでは言わない。
にしてもカースト上下関係じゃあるまいし、『和樹の意見だから』って却下とかしないのに……うーん、まさかそこから認識に違いがあるのかね……。
これはこっちの課題なのかも、と思うことにした。正直なところこのやり取り、わたしもけっこう勉強になってるのだ。
感情的なダメ出しより、冷静な『こうしたほうが良い』って提案のほうが円滑に話が進むのは考えてみれば当たり前で、結果お互いの思惑も判断しやすくなる気がしてるんだよね。
通話でなくメッセなのもそれが理由。勢いケンカ腰にならずに済むだけでなく、記録として残せるという意味もある。
なんてことを考えてるうちに、返信が止まってることに気づく。ふむ。じっくり考え込む必要を感じてくれたなら助かる。
ならわたしもここで小休止、というわけでお茶でも淹れることにした。
1階へと降りる前に、せっかくだからアイリとお兄ちゃんのぶんもどうかな、と思って向こうの部屋をノックする。そこそこ時間も経ってるし、用事を思えばもうリビングから移動してるだろう。
すると今度も待ち受けてたかのように、すぐ扉が開く。
「あ、かりん。ちょうど良かった、コーヒーでも淹れるけど飲む?」
これまた用意してたセリフみたいに言われた。あんたもかよ、な偶然体質発動。ただこのパターンは、わりと良くある日常だったりもする。
「いや、わたしがやろうかって訊くつもりだったんだけど」
「おれがやるってば。どうせそろそろ呼びに行こうと思ってたし、こっちの部屋でアイリと一緒に待ってて」
確かにきょうのホストはお兄ちゃんに違いない。けどわたしがコーヒー用意して持ってきたって同じじゃね?と返す間もなく、お兄ちゃんはわたしの髪をさらっと撫でて階段を下った。
先を越されちゃった以上、大人しく部屋へ入る。おじゃましまーす、とアイリに声をかけ、空いてるベッドに腰掛けた。
しかしわかってたとはいえ、かつ親友だとはいえ、この部屋にわたし以外の女がいるってのはやっぱくるものがあるな。
なお当然、アイリの視線がわたしに固定されっぱなしなのは気づいてる。
「……ねぇかりん、いつもそんなところ座ってるの?」
あ、やっぱツッコんじゃう?
「いつもじゃないよ。だって床に直接座るのやだし」
とりあえずそのジト目やめろし。言いたいことわかるけど、アイリがわたし用のクッションに座ってるからじゃん。そこも含めてわざとなのは否定しないにせよ、ときどきやってもお兄ちゃんなにも言ってこないしさ。
つーか兄妹じゃん。さすがに許可もなく変な手出しはしてこない(はずだ)し、このぐらいはそれを逆手に取った役得でしょ。
と自分を正当化してたら、アイリは冷たい笑顔で立ち上がった。
「じゃわたしが代わるよ。このクッションあなたのなんでしょ?」
「そうだけどそれおかしいだろ。あんたお客さんなんだし」
だめだよ? あんた妹扱いとはいえそういう目でも見られてるし。
「だってそっちのほうが好待遇だもん」
だからどいて?と迫るアイリは、どうやらわりと本気らしい。こいつ……。
微妙に理不尽を感じて、わたしはまだ抵抗をやめないことにする。
「主がいないからってぶっちゃけすぎだろ。だいたいなぜわたしがここにいるのにその待遇が受けられると思ったし」
「かりんこそ開き直ってるじゃない。わたしだってあなたがこの場にいるんだからそんな意味にならないってば」
「いやこの場ではならなくてもさ、あとでお兄ちゃんが気にするかもしれないし」
「それはそれでわたしは好都合だよ?」
「だからだめなんだよ?」
お互い首を傾げ、営業スマイルを交わすこと数秒。
「もう。意地悪」
こうすれば文句ないよね、と言ってアイリはわたしの隣に座った。ちぇ。
逆の立場ならそれが最適解かもなー、とは思ってた。場所がどうあれ、これなら一応は友達どうし並んでるだけになるわけだ。
あんたのほうが意地悪じゃん、とは言い返せず、といって自分から降りることも出来ない。所在なさげに取り残された赤いクッションを視界に入れながらわたしは肩をすくめ……あ、思いついた。
「やると思ったわ。もう」
こちらもあえての拗ね声で上体を倒し、そのまま横になった。
実は特別な意味を抜きにしても好待遇なんだよな。帰ってきてからお兄ちゃんが買い換えたベッドはマットレスの弾力もいい感じで、クッションより座ったときの足も楽ちん。
「……ねぇかりん、いつもそんなことしてるの?」
ついでに言うと、お兄ちゃんの外出中にこっそり試した寝心地も大変よろしい。サイズも大きめだし。まぁあいつがでかいしな。
「たまにね。アイリもやる?」
「そこまで図々しくなれないから」
にひひ。これはさすがに真似出来まい。
狙い通りわたしの勝手に出した許可も言質とは取らず、軽いふくれ面を見せつつアイリは引き下がった。
図々しいのは承知の上。ひとつ屋根の下にいるにもかかわらずここまでデートを邪魔しないであげたんだから、どころかその間こっちは和樹の相手してたんだし、ちょっとぐらいご褒美あってもいいでしょ。
お兄ちゃんが席外してるときぐらいわたしに構え、って遊びもあるけどね。
ときに曲のクライアントへのお披露目はもう済んで、細かい要望の打ち合わせも終わってるらしい。そろそろ夕食どきも近いし、アイリが帰る前にわたしも呼んでひと息つこう、という流れだったそうだ。
「そいやアイリさ、お兄ちゃんに訊いてない?」
「なにを?」
いまのうちに、少しデリケートな内容へ踏み込んでみる。
「今日子さんの思惑」
「訊けないってば、そんなこと」
と思ったら即答でだめだった。残念。
いや一見お兄ちゃんから聞くのは筋違いのようで、どうも今日子さんとふたり、どこか結託してる様子にも思える。
そんで見た通りアイリはお兄ちゃんとだいぶ近づいたし、なんだかんだで詳しい今日子さんを話題にすることもあるだろう。なのでわたしがいまだお茶を濁される話でも、ふたりとアイリとの距離感ならちょっとぐらい、と期待してたのだ。
当てが外れた、と寝返りを打つと半目を向けられた。
「かりん、あなたね……じゃ、ヒントになるかもわからないけど。先輩絡みなら、まだ言ってないことがあるよ」
「お、まじで?」
もうひとつ寝返って乱れた髪を直すと、今度はため息をつかれた。……別にもう煽ってるわけじゃないんだって。まぁいいや。
続く説明によると、プール帰りのカフェの時点でアイリはすでに、今日子さんがお兄ちゃんに対しても何事かあるかもしれないと勘ぐったそうだ。
中学時代、美女化後に言い寄ってきた相手のなかには当然、うちのバカほどじゃないにしてもイケメンだってそれなりにいたのだ。おふざけの口説き文句ごときであんなふうに慌てるのはらしくない、と。
その後わたしと立川で会った話を聞いて、確認が必要と思ったという。
「『昔の知り合いに似てたんだよね』とだけ教えてくれたよ。あの場はふたりともしらばっくれてたし、嘘ではないね。先輩らしい言い回しだけど」
感心しながら聞いてると、いじけたようにアイリは口を尖らせる。
「……あとから思えば、あれで見当ついたはずなのに。先輩の『勝ちたい相手』」
うーん……そっか。わたしの視点では難しい気もするけど。
なんて思いながら当の場面を脳裏に起こすと、つい無責任な笑みが浮かぶ。
「かりん? 笑ってる場合じゃないってば」
「あ、ごめん。だって」
あれ内心、わたしが気づかないようひたすら祈ってたよね、たぶん。
「唯さん以外、みんな間抜けだったんだなー、って」
「なかでもあなたが一番でしょ」
「うん。まぁね」
そこはまさにその通り。あの出来事にいろんな含みがありそうなのは予感してたとはいえ、まさかわたしの存在そのものが地雷だったとは。
「けどさ、今日子さんが面白すぎるって。あんなの絶対偶然じゃないもん」
もちろんあのとき、あそこで会ったのはほんとにたまたまだろう。ケンカ別れになったせいで、連絡先を伝えてなかったことは聞いてる。
「わたしが国立に住んでるって、アイリが今日子さんに言ったんだよね」
「そこまで覚えてないけど……言ったかもね。かりんとは何度か、こっちで会ったこともあるし」
さすがに将来に関わることをそれだけで、とまでは思わずとも、わたしと学校が近くなのはあえての仕業と考えるのが妥当。唯さんにわたしをスカウトさせたことだって、きっと無関係じゃないはずだ。
下手したら同じ街に住んでることさえも。もう少しはっきりするまで、本人には黙っておくつもりだけど。
「ってことはさ、再会は時間の問題だったんだよ。今日子さんにとっては」
ストーキング?……いやいや、そんな単純なひとじゃない。
わたしとお兄ちゃん、どちらと先に会うつもりだったかは不明ながら、わたしも今日子さんのターゲットだったことは確定してる。
ただ誤算もあったろう。ロスへ行ってたのは知らなかったようだし、問題の妹を搦め捕るより先に、その妹も同席の形でお兄ちゃんと出会ってしまった。その上、かわいがってた後輩が彼女になってると(いう冗談を)言われる始末。
強運か悪運かわからないけれど、様々な思惑と少しの偶然が奇跡的に絡み合った結果、あの馬鹿馬鹿しい腹芸祭りになったというわけで。
「こんなん笑うしかないじゃん」
お兄ちゃんの爆笑も、つまりそういうことだったのだ。
堪えるのは難しく、吹き出し半分に想像した背景を語って聞かせると、アイリは逆に苦い顔をした。
「笑えるかはともかく、偶然じゃないのは同意」
あんたも笑えばいいのに。その目的は謎のままだけど、わたしは充分楽しませてもらったよ。アイリ好き。
「それでか。最初から今日子さんを警戒してたの」
「そういうこと。……言えなくてずっと歯がゆかったんだから」
なるほど確かに。あの腹黒ヒロイン様を『頼れる清純派のお姉さん』扱いしてるわたしを見て、さぞひやひやしてたに違いない。
「でもいいの? 怖い先輩を裏切るような真似して」
「いいよ。この件、もともとずるいのは先輩だもん」
過去の負い目でわたしは言いづらくても、アイリにとってはそうなのか。
今日子さんが現在お兄ちゃんをどう思ってるにせよ、どうやら言葉を文字通りに受け取るのは依然注意が必要らしい。
無言で出し抜かれるほどの不義理はあるまい、との見解は一致してるとはいえ、こちらの狙いは一部を除きだだ漏れ。なのに向こうの企みはいつもの如く水面下に隠されたままでは、始まる前から勝負にならない。
これまでは今日子さんが、わたしをどう考えてるのか不透明だったから大人しく従ってたのを、昔話を機に情報公開へ踏み切ることにしたそうだ。
「こんな、二重スパイみたいな真似するはめになると思わなかったけど」
とうそぶくアイリは、言葉の割に困った顔をしてない。つーか似合うなそういう役回り。かおりさんみたいに女優目指したらいいんじゃね?
「でもあんた、楽しんでるじゃん」
ツッコんでやると、意を得たりといったふうに今度こそ笑った。
「ふふ。……ま、こないだのあれよりはね」
あれ? ……あれか。ちぇ。ほんと和樹のこと嫌いだなあんた。
ちょっと負けず嫌いが刺激されて、わたしはアイリを軽く睨みつける。さっきのメッセを思うと、まだ虚勢としか言えなくても。
「見とけよ。吠え面かかせてやるから」
「じゃ期待して待つよ。ミイラ取りがミイラにならないようにね?」
ん? それってどういう……あのなぁ。
「いや、ないわ」
だって和樹だもん。お兄ちゃんと一緒にすんなと。
そんな話をしてるうちに、お兄ちゃんも戻ってきた。
「おかえりー。ありがとね」
ちょっと遅かった気もするけど、ここはひとまずお礼。
するとお兄ちゃんはなぜか一度固まり、苦笑いで返される。
ん? こんぐらい普段から言って……とそこで、すっかりくつろいでベッド上にごろごろしてたことに気づく。
「どしたの? お揃いのカーディガンにでも見惚れた?」
いやまさかそんな意味じゃないよな、なんて思いながらごまかしを口にしつつ、なに食わぬ顔でわたしは身体を起こす。やべ油断してた。
お兄ちゃんはいったん視線を外し、コーヒーカップの載ったお盆をゆっくり床へ置く。それから今度は、例のいたずらっぽい笑顔をわたしたちに向けた。
「……アイリは確信犯だろうけど。かりんはその振る舞いが男からどう見えるか、もう少し自覚したほうがいい。ただまぁ、悪い気はしないよ」
……そのまさかを言いやがったこいつ! 妹に!
「アホか! だから兄妹だろ!」
わたしだってわかってるっつーの!
「ぷくく……ごめんなさい虎次郎さん、かりんに釣られちゃいました」
アイリも笑うなし!
くっそ……いくら妹だからって、お兄ちゃんとふたりきりのときにこんなとこで寝転がるほど狂ってない。いまは隣にアイリがいるからなのに……ってもしかして逆効果だったのか? あと悪い気しないってどういう意味だ。
わからん。とりあえず勢いで殴るわけにもいかないので、ここはわたしが折れてふてくされるに留める。
その後はあまり時間もないし、と他愛のない雑談のうちにコーヒーも飲み終え、さすがに帰りはね、とお兄ちゃんがアイリを駅へと送っていった。
帰宅したお兄ちゃんと一緒に料理して、そのままふたりで晩ご飯。
再三にわたる説得というか説教の末、いまではわたしがご飯を作ることもある。それでもお兄ちゃんのほうが機会はやっぱり多く、せめて手伝いぐらいするから、と納得させたのだ。
「ところでさ、今日子さんのこと結局どう思ってるの?」
最近作り方を覚えた、ハーブ入りのコールスローサラダをつまみながら尋ねた。ふたりで料理するとき、こういうサラダや簡単な前菜はだいたいわたしの担当。
一方お兄ちゃんが作ってたのは、やはり最近覚えたという炊飯器で作れるチキンコンフィとやらにお得意のポモドーロで煮込んだ各種野菜を合わせた一皿。
それと玉ネギのコンソメスープに、ガーリックオイルを塗って焼いたバケットが今晩の献立。うちの食卓は変わらず着実な進化を続けてる。
「それこないだ言わなかったっけ?」
唐突な質問にやや怪訝な顔をするお兄ちゃんに、少し慌てて返す。
「じゃなくてさ。お兄ちゃんにとって今日子さんが特別なのはもうわかってるからいいよ。その上でいまどういう気持ちなの?ってこと」
今回のは前と意味が違う。昔のいきさつを知った上で、現在の恋愛的に、というニュアンス。アイリがふたりについてまだ訊けないなら、わたしのほうで少しでも探っておくのは無駄じゃないはず。
くどいかもしんないけど、と申し訳なく付け足すと、お兄ちゃんは眉尻を下げてかすかな息をついた。
「好きだよ。でも恋愛感情じゃないから安心して。少なくともいまはね」
意図は伝わったらしく、最初の4文字を口にしたのは今回が初めて。ただそれはいまさらなので、わたしも表情を変えない。
大事なのは後半のほう、なお安心しては余計な。
「ふーん。今後そうなる可能性はあるんだ」
「そこまで言ったら誰に対してもそうだよ」
軽い笑顔で応えたお兄ちゃんに、こっちも軽いトーンで返す。
「そりゃそっか。正論だわ」
じゃわたしはどうなんだよ、と言いたいのは我慢。
わたしを選んでくれなきゃいやだ、と思ってるわけじゃない。けど今日子さんの暗躍を未然に防ぐために、こっちは和樹まで巻き込んでアイリと共謀してるのだ。
これでお兄ちゃんさえもアンフェアというか『実はすでにそういう気持ち』だとしたら、それはいくらなんでも収拾が付かない。
なのでそこは確認したかった。今日子さんの名前を出しながら、アイリについて触れなかったことにもきっと気づいてるだろう。
「とりあえず誰に対しても、不誠実にならないようにしてよね」
シリアスにならないよう演技して、ここは食事の続きに戻る。わかってるよ、とお兄ちゃんもそうした。
ほんとはもう少し突っついてやりたいけど、今日のところはこんなもんでしょ。わたしだってご飯おいしく食べたいしね。
食事を終えて部屋に戻ると、スマホに和樹からの返信が届いてた。そいや地味に忙しかったせいで放置だったな……。
少しでも学習してるといいけど、なんてあまり期待もせずに文面をチェックしたところで、ひとり呟く。
「……ちょっと待て」
――和樹の案とプレゼン次第だね。
〈じゃ今度会うときは、おれがプラン立ててもいいか?〉
……いや不安しか感じねぇ。わたし断る権利ないの?




