夢見の森
私とメルは、アルカナを旅立ち、その者の見たい夢を見せるという、夢見の森を、ウルガルに向かうために訪れる。
ベルとメルは、アルカナを旅立ち、山岳都市ウルガルへと続く道を歩いていた。
ウルガルに向かうまでの道のりは、まず夢見の森という、入ると最も見たい夢を見てしまうという噂のある森があり、その後は神龍の遺跡という、古代の人々が龍を祀り、簡単に殺された、邪教と呼ばれた宗教の神殿があり、そこを抜けると山岳都市ウルガルにたどり着く・
「結構遠いんだね~」
「うん、でも王都に行くなら一番近道なんだよね~」
「ほへ~、それでさ、夢見の森って、どんな森なの?」
「えっとね、見たい夢を見させて、そのまま眠った生物を養分にして殺しちゃうんだってさ」
「ヒぇ!」
夢見の森の木々は全て魔獣の一種らしく、木から生物を眠らせる花粉を放出しているらしい。
魔獣なので成長速度が凄まじく、一定の量に留めるのが限界だそうだ。
そんな感じで夢見の森の話をしている間に、二人は夢見の森にたどり着いた。
「夢見の森の花粉は一回しか効果がないらしくて、一回かかると一日の間はもう一回眠ることがないんだってさ、だから寝ちゃったらどうにかして起きれば、あとは楽々攻略できるはずだよ」
「なるほど!わかった!」
そんな会話をして、森に一歩踏み入れると、二人は眠りに落ちた。
ベルは、見覚えのある場所で目を覚ます。
「ん?あれ……ここは、ベルナ村?」
「ベル~!ご飯できたわよ~!」
「早く食べないとパパが全部食べちゃうぞ~!」
「あ!待ってよ!私も食べる!!」
ベルはジェラルにご飯をすべて食べられる前に家に向かって走った。
家のテーブルの上には、普段では食べないようなごちそうが大量に置いてあった。
「わぁ!お母さんこんなにどうしたの!?」
「ふふ、パパがおっきな魔獣を狩ってきたから、今日はごちそうなのよ」
「どうだ~!パパすごいだろ~!」
「うん!お父さんすごい!!」
景色がいつの間にか変わった。
ベルはいつの間にか外に立っており、ラントとセラ、ベルの三人で走り回っていた。
明らかにおかしい状況、それでもベルは疑問にすら思わない。
「二人とも運動がたりないんじゃな~い?」
「べ、ベルが異常なんだよ!!」
「わ、私たちが追いつけるわけないじゃん!」
そんな、幸せな夢が、長く、長く続く。
大好きな母と一緒に眠り、大好きな父とトレーニングをする。
そして、新しい家族が生まれた。
「ベル、実はね、ママのお腹にベルの弟か妹がいるの」
「ベルはお姉ちゃんになるんだぞ!」
「ほんとに!?私、お姉ちゃんになるんだ!」
ベルの望んだ、幸せな二度目の人生、もう手に入らない、幸せな人生。
夢見の森は人生に絶望し、自ら命を捨てようとする者も来る、自殺スポットとして、有名な場所……それは、死ぬ前に自分が望んだ幸せな夢を見れるから。
「こんな……『人生』を送りたかったな……」
「ベル?どうしたの?」
「元気がないみたいだが……熱でもあるのか?」
「……っ、お母さん、お父さん、大好き!」
そう言って、ベルは自らの腕に、フォークを突き刺した。
その衝撃で、夢から覚める。ベルの体の周りには夢見の木の根がじりじりと近づいてきていた。
おそらくはもう少し眠っていれば、根に体を覆われ、栄養源にされ、そのまま死んでいただろう。
といっても龍の血のせいでおそらく死にはしないだろうが。
「さてと、メルを起こさないと」
「むにゃむにゃ、ママがいっぱい、大好き♡」
「ふふ、どんな夢見てるんだろ、私にはもうメルがいるもんね」
「ママのおっ〇い美味しっ」
「起きなさい……」
なんかいやらしい夢を見ていたので、おでこにデコピンして起こした。
ここまでマザコンだとさすがに困るのだが……よく考えたらメルはまだ生後数か月だった。
となると、これが正常なのだろうか?
「はっ!あれ?ママがいない!」
「ここにいるよ、てかどんな夢見てたの……」
「えっとね、ママがいっぱいいて、ハグしてくれたり~、キスしてくれたり~、ママと結婚したり~、おっぱっ」
「それ以上はやめようね~」
下ネタがそこまで得意じゃないので、メルの口を咄嗟に塞いだ。
生後数か月なので正常なのだろうが、このまま大人になってもママと結婚する的なことを言ってきたらどうしようか……。
「さてと、とりあえずは、森を抜けようか」
「は~い」
夢見の森はこの花粉であふれているため、弱い魔獣は眠って二度と起きれないのでほとんど出てこない。
ただ、強い魔獣はまれに眠りから覚めるため、出会うとしたら、C級以上の魔獣が現れるだろう。
まあつまりは、この森は大抵安全ということだ。
なので、レルゲンさんに渡された、魔獣の等級を整理することにした。
どうやら、S~Fまでだった等級が、S~Iまで追加されたらしい。
I級はスライムなど、子供でも倒せる。
H級はスモールバットなど、武器を持てば子供でも倒せる。
G級はスモールゴブリンなど、一般人の大人で余裕。
F級はゴブリンなど、F級以上の冒険者なら余裕で倒せるほど。
E級はホブゴブリンなど、E級冒険者以上なら倒せるほど。
D級はオーガなど、この級になると、村などに現れれば、最悪滅ぶほど。
C級はアイスサーペントなど、小さな街なら滅ぶ可能性があるほど。
B級はホワイトサーペントなど、頑丈な壁に囲まれたラトルでも滅ぶほど。
A級はモノクロスなど、アルカナですら滅ぶ可能性が高い。
S級はフェンリルやケルベロス、フェニックスや麒麟、九尾など、神話に出てくる魔獣がS級に認定されたらしい。
「まあ、この世界ならこんな細かく設定していいんだろうな~」
「ねえねえ!S級の魔獣ってどれくらい強いの?!」
メルがキラキラと、興味津々な顔でベルに聞いてくる。
おそらくは戦ってみたいのだろう、だが……
「ん~、ママでもメルでも、今の実力なら出会った瞬間に死んじゃうかな」
「そんなに強いの!?」
「まあ、全部封印されてたり永い眠りについてるからそうそう出てこないけどね」
「へ~、いつか勝てるように頑張る!」
「ふふ、そうだね、頑張らなきゃ」
S級魔獣は、七英雄ですら多少は手間取る実力を持つ、魔獣たちだ。
つまりは、S級魔獣に勝てなければ、パウムスなど夢のまた夢、さらには、今のベルでは到底太刀打ちできないだろう。
だからこそ、王都に着くまでの間に、装備や魔術をそろえ、パウムスを倒す準備を整えなければならない。
「てか、七英雄が全員集まって相手しないと、倒せない龍ってほんとこの世界のバグなんだな~」
「龍ってそんなに強いんだ~」
「そうだよ~、ちなみにね、ママ一回だけ龍を見たことあるんだよ」
「そうなの!?強そうだった?」
「めっちゃ強そうだった、アレには勝てないね、今は」
「そんなに強いんだ~!」
神龍の森で出会ったサーヴァル、確かにあれを見れば、七英雄が全員集まらないと倒せないわけだ。
一目見ただけで、あれの強さを思い知らされてしまったのだから。
そんなこんなしているうちに、夢見の森の中心部、夢見の大樹までたどり着いた。
夢見の大樹は夢見の木の特殊個体と言われており。
その大きさは苗木の時点で雲を突き抜け、龍の巣になるとすら言われる、伝説の大樹だ。
住み着いた龍が死ねば、その死体をさらに養分として、大きくなるとか。
龍を養分にするとは、とんでもない木である。
「それにしても、でっかいね~、これでまだ苗木だっていうんだから…」
「これで苗木なの!?」
「そうだよ~、これがおっきくなると、世界樹って言われる木になるの、そのてっぺんはほかの世界につながってるとか言われるけど、どうなんだろうね」
ベルとメルは観光を終え、再び冒険を再開する。
次の目的地は神龍の遺跡、龍の残滓が残る地と呼ばれている。
面白かったら、ブックマークなどお願いします!!
作者が泣いて喜びます!!




