白蛇と黒蛇
ベルは急ぎ冒険者組合に向かい、ホワイトサーペントの出現を知らせる。
そして、A級魔獣討伐の為に、冒険者による討伐軍を結成し…
ベルは、ホワイトサーペントから命からがら逃げ延び、冒険者組合へ報告するために、走っていた。
ベルが宿泊している、アルカナの冒険者組合に着き、大きな両扉を押し開け、中に飛び込む、そのまま並んでいる冒険者達を無視して押しのけ、カウンターにいる受付嬢に話しかけた。
「ちょっと!順番は守ってください!」
「そうだぞガキ!!いくら子供だからって!」
「そんなことどうでもいいから!さっき、蛇の森で、ホワイトサーペントが出た」
「ホワイトサーペント!?」
「なんでA級の魔獣があの森にいるんだよ!」
「わかんない、でもホワイトサーペントが出たってことは、ブラックサーペントも現れる…」
「A級の魔獣が二体も現れたら…アルカナなんて簡単に滅んでしまいます!」受付嬢が叫んだ
「そう…だから組合長に今すぐ会わせて!」
冒険者組合は一時騒然となった。ベルが組合長と会う事を希望し、緊急事態だったため、すぐに組合長の部屋まで通された。
「君が…ホワイトサーペントを発見した冒険者ですか?」
「うん、私がホワイトサーペントを発見した」
「なるほど…ではまず挨拶から、アルカナ冒険者組合の組合長のレルゲンと申します、見ての通り、ハーフエルフです」
「私はベル、よろしく」
アルカナ冒険者組合の組合長、レルゲンは、長い金髪に緑の目、緑の服を身に纏い、長い耳の、エルフって感じの見た目だった。
レルゲンは書類に文字を書きながら、ベルに話しかけてくる。
「それで、ホワイトサーペントを見たのは確かですか?」
「うん、あの見た目だからね、衛兵さん達も見たはずだから、聞いたらいいよ」
「……そうですか、それにしても、なぜ……。あの森にA級の魔獣が出てくるなんてこと、今までなかったのに」
「魔獣の生態はほとんど解明されてないからね。どれぐらい眠るのかもわからない。だから、実は山で眠ってたのかも。」
この世界は魔獣に支配された世界だ。人間は魔獣達からしたら、アリと同じ。まだまだ魔獣のことを解明できていないのだから、突然現れてもおかしくない。
「なるほど…では、ベルさんの目で実際に見たホワイトサーペントを倒すには、何人の冒険者が必要ですか?」
「そうだね…A級冒険者が十人、B級冒険者が三十人は欲しい」
「それほどですか…わかりました、A級十人とB級三十人…集めましょう!」
「ありがと…レルゲン」
レルゲンの頑張りにより、冒険者が集められる事となった。
まずは、すでに冒険者組合の建物の中にいる冒険者達に声をかけた。
「皆さん!すでにご存じでしょうが、蛇の森にA級魔獣であるホワイトサーペントが出現しました、そして、ホワイトサーペントが現れると必ず現れる魔獣、ブラックサーペントも…どこかに潜んでいるはずです、もし奴らが出会ってしまえば、モノクロスが生まれてしまう…」
モノクロス…それは、ある伝説がある、白蛇と黒蛇が出会い、交わるとき、二匹の蛇は合わさり、国をも滅ぼす厄災となる。
そして実際に、ホワイトサーペントとブラックサーペントが出現し、二匹の合体を阻止できなかった国が、いくつも滅んだり、滅びかけたりした過去があった、しかも、滅ぶのは国単位、もしこのアルカナに現れてしまえば、一晩と経たないうちに、アルカナは廃墟と化すだろう。
「モノクロスが生まれたら、アルカナどころか、この国や周りの国にも被害が及ぶ、だから今討伐しないといけないの!」
「そういう事なら、私達も協力するわよ」
「ハーラ!」
冒険者組合に帰ってきたのは、水龍村で出会ったパーティー、棘の三人だった。
「それで、計画はあるのかしら」
「うん、冒険者はレルゲンさんが集めてくれる、あとは、森のどこかにいるホワイトサーペントとブラックサーペントを出来るだけ遠くに分断しないといけない」
「そうですね、二匹が少しでも近づくと危険です」
「となると、私の出番だな!」
「ランは何か出来るの?」
「ふっふっふ、ランはね、『挑発』って魔法で、魔獣の視線を一点に集めて、分断とかが出来るのよ」
「わぁ!今こそ出番じゃん!!」
棘の三人の登場により、化け物であるホワイトサーペントとブラックサーペントの討伐が見えてきた。
おそらくホワイトサーペントとブラックサーペントは今接近しているだろう。
接触する前にランの『挑発』で分断し、一対二十の状況を生み出すことが出来るからだ。
「ベルさん!A級十人B級五十人準備出来ました!!」
「早!?え、てかB級五十人!?」
「まあ、アルカナは魔道都市だし、パウムス帝国の中でも結構大きな街だからね、冒険者もいっぱいいるのよ」
「な、なるほど…とりあえず、これで準備できた、出発の準備をしようか!」
レルゲンの頑張りにより、冒険者が余分なまでに準備が完了し、冒険者組合が準備した回復薬などを、冒険者達が魔動袋に詰め込み、蛇の森に進軍し始めた。
その道中、ハーラはホワイトサーペントの能力などをベルに聞いてきた。
「ベルちゃん、ホワイトサーペントはA級で、伝説的な存在だから、能力とかはまだあまり詳しくはわかってないの、ベルちゃんが見た範囲で能力を教えてくれる?」
「うん、見た範囲だと、硬い鱗と強力な毒を吐いてくる、強い魔法も鱗にはじかれた、毒は…岩とか溶かしてた」
「なるほど…それはかなり大変そうね…」
毒に関しては、ベルの腹まで貫いたが、さすがにそれを言ったら、周りの冒険者に驚かれるため、黙っておいた、まあ岩を溶かしたといえば脅威は伝わるから大丈夫だろう。
そうして、総勢六十人の冒険者が蛇の森の奥までたどり着いた。
「サエラ、ホワイトサーペントの魔力はある?」
「はい、ここから三百メートル先に……って、あ!ブラックサーペントがホワイトサーペントに近づいてます!!」
「ラン!『挑発』でこっちに来させて!!ベルちゃんはホワイトサーペントの相手をして、それと…」
ハーラはこっそりとベルに話した
「メルちゃんに『幻』をかけて、普通の冒険者に見えるようにしてあげるから、メルちゃんも参戦させて」
「でも…うん、わかった、メル出ておいで」
「メルも戦っていいの!?やった~!!」
ハーラが影から飛び出したメルに『幻』をかけ、羽や角を見えなくしてくれた。
「お~!羽と角が無くなった!」
「メルちゃん、ママを助けてあげてね。でも、危ないことはしちゃダメ」
「うん、ママを守る!」
「おいハーラ!!『挑発』を使うぞ!!」
「わかった!!ベルちゃん、メルちゃん、生きて会いましょうね」
「うん!」
そうして、ランが挑発を使った、すると遠くから勢いよく木々が倒れていく音が響き、黒い鱗に覆われた大蛇がこちらに向かってきた。
ブラックサーペントの後ろを、ホワイトサーペントが追ってきた。
そこで、ベルはホワイトサーペントに『灯火』を投げ、こちらに誘導した。
「ほら!!こっちに来い!!」
ベルはメルと二十九人の冒険者を引き連れ、ブラックサーペントとホワイトサーペントを出来るだけ離した。
少し開けた場所にたどり着き、ここで戦うこととなった。
「みんな!!ここで戦うよ!!」
「「「「「おーーーーーー!!!!!!!!」」」」」
冒険者達がホワイトサーペントに飛びかかった。だが、ホワイトサーペントはひるむこともなく、冒険者達を尻尾で吹き飛ばしていく、その隙をつき、ベルは…
「みんな離れて!!大地よ、我が敵を刺し殺せ!『岩針山』!!」
普段使っている省略詠唱をやめ、フルで詠唱を行った。その結果。
逃げているときとは比べものにならない威力の『岩針山』が放たれ、ホワイトサーペントの腹に少し傷をつけ、ひっくり返すことに成功した。
「みんな!腹を狙って!!!メル!上から『黒柱』を使って!!」
「わかった!!『黒柱』!!!」
メルが放った『黒柱』は、仰向けになったホワイトサーペントに突き刺さり、腹に大穴を開けることに成功した。
その隙を見逃さず、ホワイトサーペントの喉元に鎌の先端を突き刺す。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「ママ!危ない!!!」
「グぅ!?」
ホワイトサーペントの放った巨大な『猛毒針』がベルの片腕を吹き飛ばした。
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