ナーガ討伐…そのはずが
ベルとメルは、メルの暇を解消するためにナーガ討伐の依頼を受け、ナーガの生息する蛇の森を歩いていた、だが、ある強敵と出会うことになる。
ベルとメルは、蛇の森に到着し、森の中を進んでいた。
「ねえママ〜、ナーガはどこら辺にいるの?」
「うーん、ナーガは洞窟とか水辺に現れるって書いてあるから、川とか洞窟、池辺りにいるんじゃないかな?」
ナーガの習性は、湿度の高い場所を好むらしい。そのため、湿度の高い川や池、洞窟を探すと、大抵いると依頼書や昔勉強した魔獣の本に書いてあった。
ちなみに、もう森の中に入って人に見られる心配がないため、メルは影から出てきた。
「それにしても、蛇系の魔獣が多いからって、多すぎじゃない?」
「もう六体も倒しちゃった、メル強いから!」
「そうだね~、メルはとっても強いもんね~」
そんな微笑ましい会話をしているところに、三首の大蛇が現れた
「わぁ、首が三つある~!」
「あ~、ヒドラだね、毒はいてくるから警戒して」
「わかった!」
ベルとメルの目の前に現れた魔獣はヒドラ。三つの首があり、斬っても斬っても再生するらしい。
神話だとヘラクレスが傷口を焼いて、細胞の再生を止めたらしい、なので使う魔法は火の魔術、好都合なことに、ワイバーンであるメルは火魔術が得意、ベルも火魔術が得意、なのでこれは勝ち戦である。
「メル、火魔術で戦うよ」
「は~い!」
「『鎌鼬、火纏い!』」
ベルが行ったのは、『鎌鼬』と火魔術の応用技だ。風と共に炎を纏い、斬った瞬間に傷口を焼けるようにしたのだ。メルの方は、喉に魔力を集め、依然戦ったワイバーン達の行ったわざと同じ、ブレスを吐く準備を行っていた。
「メル!準備はいい?」
「準備万端!!」
ベルとメルの準備が終わった瞬間に、ヒドラはこちらに向かって、毒の塊を吐き出した、ベルはそれをメルに当たらないように真っ二つに斬り、道を切り開く。メルはベルの背中を使い、前方に飛び出し、ヒドラに向かって、炎のブレスを吐き出した。
「ナイス!メル!!」
「えへへ~!」
「それじゃあ私は、その首貰い!!!」
ブレスを三つある首の一つに受け、痛みで隙を晒している間に、首を一つ斬り落とした。その痛みで冷静になったヒドラが残った二つの首で、ベルの両腕に嚙みついた。
「イッタ…およ?あ…龍の血で毒は効果ないんだ…えい!」
「わぁ、ママ容赦ない…」
噛みついてきていた二つの首を斬り落とし、ヒドラは三つの首が無くなり、再生能力が使えなくなったため、その命が尽き、地面に倒れた。
「ふぅ、…ん?あ、毒回ってら」
「ホントだ〜」
ベルがヒドラに噛まれた部分を見ると、毒が血管のように広がり、腕を蝕んでいた、だがそらを龍の血が治し続けるという、イタチごっこ状態になっている。
命には問題はないのだろうが、長引くと龍化が進んでしまうため、早急に解毒薬を飲んで治療した。
「ふぅ、これで安心」
「この蛇さんは強くて楽しかった!」
「ふふ、まあナーガが目的と言うより、この森に出てくる魔獣で暇つぶしだしね」
そう、ベル達の実力だと、B級上位で丁度いいぐらいの実力があるのだ、ヒドラはB級程度の実力、ナーガはCランクなので、そこまで楽しくはないだろう。
なので、ベルは森に住むナーガとは別の魔獣で暇を潰そうと考えたのだ。
「ねえママ、次はどんな魔獣が出てくるかな~」
「強い魔獣だと嬉しいね~」
「………メル、ちょっとストップ、何か来る」
ベルは、驚異的な野生の感で、相手が来るより早く気が付いた。
ベルが声をあげた数十秒後、木が倒れる重たい音が森に響く、その直後に、地面を這う大きな音が鳴り、ベルとメルの目の前に、大きな、白い鱗を身にまとった、大蛇が現れた。
「なっ!ホワイトサーペント!?」
「ホワイトサーペントって強いの?なら戦いたい!」
「……メル、今すぐ影に隠れて、ママでも、逃げるだけで精一杯」
「え?でも、メルとママが戦ったら最強だよ?」
「ううん、あいつには、ママ達でも勝てない、今すぐアルカナに戻らないと」
メルを急いで影に押し込み、ホワイトサーペントに背を向けて逃げ出す、だが…走り出した瞬間に右足に激痛が走り、バランスを崩してこける。
「グっ!」
(ママ!!)
「クッソ!!」
龍の血が、一瞬で飛んで行った足を引っ付け、再び走り出す。
その最中も、ホワイトスネークが毒の弾丸を吐き、ベルの腹や太ももに風穴を開けていく。それでも龍の血がすぐに修復し続けていた。
「メル!絶対に影から出ちゃダメだからね!!」
(う…うんっ…)
メルは、母親が傷つく姿を目の前で見ているせいか、今すぐにでも泣き出しそうな声で答えてきた。痛みに耐えながら逃げるために走っていると、頭の中に声が聞こえてきた
(助けてやろうか?)
「うっさい!」
(ま、ママ?)
「あ!な、何でもないよ、メルは耳塞いでてくれる?」
「う…うん」
ベルの頭には、未だに声が聞こえていた
(お前ならまだしも、かわいい愛娘まで死んじまうぜ?俺だってメルには死んでほしくない)
「黙れって!!お前には力を借りない!!!」
(連れねぇな~)
そう言って、声が聞こえなくなった。ベルはそんな事を気にする暇もなく、逃げ続ける、その最中にも、ベルは時折ホワイトサーペントに向かって魔法を放つが、全く効果がなかった。
「これでもくらえ!!『爆炎弾』!!」
ホワイトサーペントに『爆炎弾』を放つも、少し鬱陶しそうにする程度で、ほとんど効果がなく、逆に、速度を上げてベルを追いかけてくる
「クソが!!『岩針山』!!」
ベルが放った『岩針山』は、地面から鋭い岩の針山が飛び出してくる魔術だ、『岩針山』は、ホワイトサーペントの硬い鱗を貫くことは叶わずとも、ホワイトサーペントの体をひっくり返し、一時的に動きを封じることに成功した。
「よし!!」
ベルはガッツポーズをしたい欲を抑え、さらに速度を上げ走り出す、その後ろを、体勢を立て直したホワイトサーペントが追いかけてくる、何度も毒を吐いたせいか、ホワイトサーペントじゃ毒を吐いてこなくなった。
「あと少し!!あと少しでアルカナの東門に着く!!」
アルカナには、魔獣避けの強力な結界が張られている。あのホワイトサーペントですら、近寄ることは叶わないだろう。ベルが結界に入ろうとしたその瞬間に、ホワイトサーペントが喉に魔力を集中させ、超圧縮した毒を、ベルに向かって吐いてきた。
「クッソ!!!!!!」
ベルは全力で腕と足を魔力で強化し、溶けないように、『鎌鼬』で岩を腕に纏い、強酸性の毒の玉を迎え撃ち、はじき返した。その衝撃で、ベルは壁に吹き飛ばされ、結界の中に逃げ延びることに成功した。
ホワイトサーペントが放った毒の弾丸は、ベルにより弾き飛ばされ、壁の一部を溶かしていた、ベルに直撃すればどうなっていたことか…。
「ゲホッ、はぁ、はぁ…」
「お、おい!嬢ちゃん大丈夫か!?」
「あ、おっちゃん、ごめんね、門近くまで魔獣連れてきちゃって」
「い、いや、いいんだが、傷は…無いな…」
ベルに話しかけてきたのは、東門から出る際に話しかけて、取り調べしてきた衛兵さんだった。
「ふぅ、とりあえず、すぐにでも組合長に伝えないと…」
「な、なんでだ?蛇系の魔獣なんて別に珍しくもないが…」
「あれはね、ホワイトサーペント、あいつ単体でもA級下位、そして、あいつが現れると必ず対となるブラックサーペントが出てくるの…アイツらが融合する前に討伐しないと…」
そう衛兵のおっちゃんに伝え、ベルは冒険者組合まで急いで走り出した。
ブックマークなどをしてくだされば、作者のモチベーションが上がって泣いて喜びます!お願いします!!




