冒険者としての仕事
ベルは、メルがアルカナに入ってから戦えず、暇していることに気づき、冒険者組合で依頼を受けることにした
夜
ベルは宿で、メルの長い髪のお手入れをしていた。
「ねえママ?街に入ってから戦いができてないからそろそろ戦いたいの」
「そっか、確かに前までは毎日魔獣と戦ってたもんね、それなら明日は依頼を受けようか」
「やった~!」
「あらベルちゃん、明日依頼を受けるの?」
「うん、メルが暇してるから」
「それなら私達も~」
「おい、私達はもう予定埋まってんだろ、それに、親子水入らずなんだ、じゃますんな」
「そうですよ、アルカナに来てから私達がいるせいでメルちゃんは、ベルちゃんに甘えられてないんですから、邪魔しちゃダメですよ!」
「うっ…確かに、はぁ、そうね、明日は我慢ね」
そうして、ベルは部屋を出て階段を下りた。メルは見られるとまずいので『影沼』で隠れてもらっている。
(メルはどんな魔獣と戦いたい?)
(メルはね~、強いの!)
(そっか~♡今日もメルは可愛いね~♡)
そうして、ベルは冒険者組合の掲示板を見に来た。ベルのランクではC級の依頼まで受けられる。本来は冒険者登録している者が二人いればB級の依頼まで受けられるのだが、メルは冒険者登録どころか、身分証持っていないので、C級までだ。
そして、掲示板のC級依頼の欄を見る。
あるのはオーガ討伐や、フォレストラプトル討伐、トレント討伐などだ。
(メルはこの中でどれを受けたい?)
(え~っとね、あ!ナーガって魔獣と戦ってみたい!)
(なるほどナーガか、天気を操るんだっけ…うん、それじゃあこれにしよっか)
(やった~!)
ベルは掲示板に張り付けられていた依頼書を剝がし、受付嬢の元に持っていく。
「これお願いします」
「え、あ、はい!ではまず冒険者証の提示をお願いします!」
これはあれだろうか、あまりにも若い見た目だったせいでコンビニで未成年と間違えられている的な、C級冒険者だと思われていないやつだろうか
「はい♪」
「え、本物!?あ、すいません…えっと、はい!受諾しました、お気を付けて!」
少し危うかったが、無事ベルとメルは依頼に出ることに成功した。
依頼を出る前に、解毒薬を購入することにした、ナーガは一撃で死に至らしめる毒を持っているらしいので、事前に飲んでおくタイプの解毒薬を買うため、薬屋さんに行くことにした。
「え~っと、どれが回復薬でどれが解毒薬かな…」
「おやお嬢ちゃん、なにかお探しかい?」
回復薬と解毒薬を探しているベルに、一人の老婆が話しかけてきた。おそらく、ベルが訪れているこの店の店主か何かだろう
「あ、えっと回復薬と解毒薬を探してて、ナーガ用の事前に飲んでおくタイプのを」
「あぁはいはい、それならこれだよ」
「わあ、ありがとうございます!えっと値段は…」
「さぁ?わしはこの店の店員でもないからわからんわい」
「えっ…?」
「それじゃあ、頑張るんだよ」
そう言って、老婆はベルの肩をポンと叩き、店を出ていった、親切な人なのだが、普通に店員だと思ってしまっていた。
(ねえママ、あの人店員さんじゃなかったんだね…)
(ほんとにね、完全に店員さんだと思ってた…とりあえず買おうか)
(は~い)
ベル達は、回復薬と解毒薬を購入に、魔動袋の中にしまい、薬屋を出た。
そして、メルを影に隠したまま、ナーガが生息しているらしい森に向かうために、アルカナの東門を訪れた。
「そこの者!身分証明の出来る物を出せ!」
「は~い、冒険者証でいいよね?」
「あぁ構わん…よし、確認した、頑張ってくれ」
「お兄さんもね♪」
兵隊に冒険者証を確認してもらい、アルカナの東門を出た。
ナーガが生息する森の名前は、蛇の森。蛇系の魔獣が多く生息する森らしい、そんな森の近くを歩いているため、案の定、魔獣が現れた。
ベル達の目の前に、氷を纏い、冷たい冷気を放つ鱗を持つ、アイスサーペントが現れた、ベルとメルの二人だけならよかったのだが、近くを馬車で移動していた行商人も巻き込まれてしまった。
「おいお前達!!せっかく高い金を払って雇ったのに、戦え!!」
「む、無理です!!アイスサーペントなんて、本来はこんなとこまで出てこない魔獣、僕達じゃ一瞬でやられる!!」
「……ねえおじさん。おじさんとこの冒険者さん、だいぶ頼りなさそうだね」
「あ、あなたは?」
「あいつ、私が倒していい?素材はもらうけど」
「だ、大丈夫なのですか!?あなたのような小柄な方で!」
「うん、大丈夫、だからあなた達はちょっと離れてて」
(ねえママ?私は?)
(メルは知らない人の前に出るとまずいから、我慢ね)
(は~~~~い…)
ベルは『鎌鼬』を使い、アイスサーペントに向かって構える、アイスサーペントは喉元から冷気を垂れ流し、明らかに『アイスブレス』を吐く準備をしていた。
「商人さんと冒険者さん!馬車の中に隠れといて!流れ弾が来ちゃうから!」
「「は、はいぃぃ!!」」
そう言い終えると、アイスサーペントが溜めを終え、ベルに向かってブレスを飛ばしてきた。当たれば、当たった部位が一瞬で凍ってしまうだろう。
「危な!馬車に当てないでよ!」
「す、すごい!」
ベルは飛んできたブレスを鎌で弾き、馬車や自分から離れた方向へそらした。そのまま、アイスサーペントが次のブレスの溜めを終える前に、近寄り、斬りかかる。
だが、カキン!と音が鳴り、鎌がはじかれてしまった
「硬っっっった!?……う~ん、纏ってる氷でさらに硬度が増してる。となれば狙うのは……目玉!!!!」
再びアイスサーペントに素早く近寄り、今度は、鎌の先端をアイスサーペントの目玉に突き刺す、今度は跳ね返ることなく、ブスリと突き刺さった、そのまま、目玉をえぐるように腕を動かす。
「キャハハハ!!!♡」
(いいな~、ママ楽しそう)
(後でナーガといっぱい戦わせてあげるからね!)
ベルがグサグサと目玉を何度も刺し続け、返り血を全身に浴びながらアイスサーペントに攻撃を加えていた、その有様は幼女がやったとは思えない地獄絵図だった。
「な、なんて戦い方なんだ…あんなの僕達じゃできない…」
「魔獣と一方的に戦えるなんて…」
「さぁさぁ!!これで、終わり!!!!」
目を突き刺し、そのまま、鎌の先端を奥まで進ませて、脳を狙う。
アイスサーペントは途絶え途絶えの断末魔を上げながら、その命が尽きた。
「ふぅ、ちょっと興奮しちゃった」
「す、すごい!!すごいです!僕達じゃあんな戦い方できなかった!」
「本当です!!助けてくださり、ありがとうございます!!」
「あ、えっと、どういたしまして」
「えぇ、名乗り遅れましたが、私はバントルと申します」
「えっと、僕はFランク冒険者のヴァールです!」
「う、うん、よろしくね」
「本当に、助けてくださりありがとうございます、この御恩はいつか必ず!」
「僕も、本当にありがとうございました!」
そうして、商人のバントルと冒険者のヴァ―ルに別れを告げ、ベルとメルは再び蛇の森に向かって歩き始めた。
二人はまだ気づいていない、アルカナ周辺で、異変が起きていることを。
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