お泊まり会と魔道具ショップ
ベルとメル、ハーラにラン、サエラでお泊まり会をする事になった。
そして、お泊まり会を終えたベルは、アルカナに来た理由の一つ、魔道具ショップを訪れていた。
ベル達五人は、冒険者組合に設置されている宿の部屋を取った、ハーラ曰く、空いている部屋が一つしかないらしく、ハーラ達棘と同部屋で泊まることになった
「…なあ、ほんとに一部屋しか空いてなかったのか?」
「なんというか、すっごくガラガラな気がするんですけど」
「さ、さぁ?受付嬢が一部屋だけって言ってたわよ?多分、たしか」
「怪しい…」
まあおそらく、私達と泊まりたくて部屋が一部屋しかないと嘘をついたのだろう。
まあ何かあってもランとサエラがハーラを止めてくれるだろう、なので安心して泊まれるだろう。
そうして、ベル達五人は指定された部屋の扉を開け、部屋に入った。
「それで?ベルちゃんの子供って子は今どこにいるの?」
「あ、そうだね、メル~、出ておいで」
「っ…」
メルが影から出てきて、ベルの背中に抱き着き、ハーラ達から身を隠した、きっとベル以外とまともに話していなかったせいで、人見知りしているのだろう。
そんな事を考えていると、三人の開いた口が塞がらなくなっていた。
「どうしたの?三人とも」
「い、いや、今影からその子出てこなかったか?」
「ん?うん、影から出てきたよ?」
「どういうこと!?」
「シャドウワイバーンだから」とメルが答えた
「「「ワイバーン!?」」」
「ワイバーンじゃなくてシャドウワイバーンね」ベルが答えた
「なんでだよ!?なんで伝説のシャドウワイバーンの子供がいて、人間の姿してんだよ!?」
「私も知りたいよ、そんなの、でもまあ、ワイバーンの巣で卵パクった」
「ママにパクられちゃった~」
三人は開いた口が塞がらず、混乱していたのに相反して、ベルとメルに関してはあっけらかんとした態度で答えていた。
「ていうか!なんで誘拐された側のメル?がそんな態度なんだよ!」
「取られる方が悪いもん、それに、産んだママよりママの方が好き♡」
ベルは思った、ワイバーンの習性は、産んだ親より育ての親を優先するらしい。
そして、その親が殺された場合、その対象を必ず殺すとすら言われるほどの忠誠心を捧げるとか…なので、メルの今の状況は習性としては当たり前なのだろう。
「とりあえずベルちゃん、メルちゃんの事とか、水龍村からの後の事教えてくれる?」
「まあ、いいよ」
そうして、ベルは以前詳しく話せなかったベルナ村での出来事や、水龍村を出た後の事、ラトルでの鉱山事件などの事を、詳しく三人に話した
「というのが、水龍村を出た後の事だね」
「なんというか、飽きない生活してるな」
「そうね~、いろんな事件に巻き込まれて、解決しちゃうんだから」
「このままだと、簡単にA級に追いつかれちゃいそうですね~」
「ママはとっても強いんだもん!」
「そうだね~、ねえメルちゃん♡お姉さんのお膝に座らない?♡」
ハーラがそう誘うと、メルが不審者を見るような目をした後に無言でベルの膝の上に座ってきた。
ベルよりメルの方が今や身長が大きくなってしまったせいで、ベルが完全にメルの背中に隠れてしまった。
「なんというか…知らない人が見たらベルさんの方が妹みたいですね」
「そうね~、ワイバーンは成長速度が速いらしいから、そのせいかしらね」
「そうだね、生まれた時には私より一回り小さいぐらいだったから」
「ワイバーンってすごいのね~」
そんな感じで、ベルの冒険についての話を続けていると
「ねえみんな、お泊りするんだから、女子会しましょうよ!」
「お前な~、このメンバーですることか?生後一か月と五歳だぞ?」
「私達は毎日女子会ですしね~」
「た、確かに…な、なら!」
そういって、ハーラが部屋から飛び出し、一分ほどで戻ってきた
「おやつパーティーしましょ!!」
「お前どんだけパーティーしたいんだよ…」
「だって!こんなかわいい幼女が二人もいるのよ!?甘やかしたいじゃない!!」
「それなぁに?」と、メルが言った
「これ?」
メルがハーラが買ってきた大量のお菓子を指さした
「これはね~お菓子!とっても甘いのよ」
「蜂蜜より?」
「メルは森で過ごしたから、蜂蜜ぐらいしか甘い物食べたことないんだよね」
「あら!それなら食べてみて!はい、あ~ん!♡」
「…………はむ…っ♡!?んむぅ!!!」
ハーラの手から耐えるのに躊躇いながらも、ハーラの差し出したクッキーを口に入れ、咀嚼すると、メルはあまりの甘さとおいしさに飛び跳ねていた
「メル、美味しい?」
「ん、んむ、んくっ!おいしい!!これ好き!」
「はい、ベルちゃんもあ~ん♡」
「…あむ、あ!これおいしい!」
久々の甘味に頬を緩ませながら、モグモグしていると、ハーラの居た方向からバタンと音が鳴った。
「まずい!あまりのかわいさにハーラが倒れた!!サエラ回復魔法!」
「もう!ロリコンもほどほどにしてください!!」
「うっ…あ、あれは、完全に暴力よ…♡」
「ママ~、ハーラ気持ち悪いね」
「そうだね~」
今も悶えているハーラを横目に、メルと一緒にクッキーを食べた。
それから数時間後、宿にある大浴場に五人で入って、寝る時間になった。
ベルの胸の中で、メルがウトウトと舟をこいでいた。
「そろそろメルが限界そうだから寝ようかな」
「そうね、そろそろ寝ましょうか」
「…ねえ、なに当たり前のように一緒のベッドに入ってきてるの?」
「…ん?」
「は~い、あなたはこっちで私達と寝ましょうね~」
「お前が二人と一緒に寝るといつ手を出すかわかんねえからな、いつも通り私達と寝るぞ~」
「いやーーー!!二人と寝るの!抱きしめて寝るのーー!!!」
そんな騒がしい夜を過ごした翌日。
ベルとメルは、ハーラ達に教えてもらった、おすすめの魔道具ショップを訪れていた。
(ねえママ〜、ここで何買うの?)
(えっとね〜、『空間転移』っていう魔術の魔導書とか、他にも面白いものがあったら買おうと思うんだよね)
(ほへぇ〜、なるほど)
(『空間転移』を覚えられたら、行ったことある場所なら、一瞬で行けるから、楽だな〜って思ってさ)
『空間転移』とは、特定の場所を強くイメージし、そこに転移する技だ、なので、厳密に言えば行ったことのない場所でも行けるが、イメージが難しいので、行ったことがある場所のみなのだ。
それとは別に、目に見える範囲なら転移できる、空間の英雄パウムスの使っていた技も、『空間転移』である。
そうして魔道具ショップの魔術書置き場で、『空間転移』魔導書を探す
(『空間転移』の魔術書があったら教えてね、メル)
(はーい!)
魔導書を探し始めてから十分ほど経った
「…あ!あった!」
(ほんとだ!)
(やっと見つけられたね~!)
(それじゃあ次は好きな物見ようか)
(は~い)
ベルは魔道具ショップの魔道具置き場を歩き回っていた、そこには様々な魔道具が置いてあった。
例えば、この鉄の円盤に魔法陣が書かれているものは、元の世界で言うIHコンロ的な物らしい
(火魔術で出来るしいらないな~)
(ねえママ!あれ見て~!)
メルの指さした方向を見ると、どうやら筋トレ道具らしい、魔力を込めれば込めるほど重量が増す魔道具の様だ…今は絶対にいらないだろう。
前世の筋トレ狂いだった頃なら買っていたが、今は岩で代用できるし、森で飛び回っていれば全身筋トレが出来るからだ。
「う~ん、いいものが無いな~」
「おやお客様、何かお探しですか?」
おっと、声が出ていたらしい
「あっ…え~っと、何か使い道がある魔道具ないかな~って」
「使い道ですか~、それですと、これなんていかがでしょうか」
店主らしき男が渡してきたのは魔力の込められた宝石の埋め込まれた耳飾りだった。
「これは?」
「これはですね、『隠密の宝珠』と言います、これを着ければ、気配を消し、魔獣などに気づかれなくなるんです」
「へ~、なるほど、持ってて損はない感じだ、これいくら?」
「金貨十枚でございます」
「う~ん、結構値が張るね」
「そうですね、なかなか高価な品ですから、ですがお客様、かなりお金持ちと見ますよ?」
「よくお分かりで」
宿にチェックインする際に、ついでに狩ってた魔獣の素材を売っていたのだ、そのため、今ベルの所持金は聖金貨十枚がある、現世での円で例えると、大体十億ほどあるのだ、とんでもない金額だが、今までベルが戦ってきた魔獣は、それほどの相手だったのだろう。
「うん、これ買うよ、ついでにこの魔導書も」
「お目が高い!では、金貨十枚と銀貨一枚拝借いたします!」
そうして、ベルは『隠密の宝珠』と『空間転移の魔導書』を購入し、魔道具ショップを後にした
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