ラトルとの別れ
ベルは、鉱山の一件を終え、ゲルに事情聴取をされる。そして、目的であった防具を受け取り、ラトルを後にする準備を始める
ベルは鉱山の一件を終え、宿で眠っていた、巨大な金色の龍を倒し、そのまま疲れ果てベッドにダイブしたのだ。
「んぅ…朝…あ、今日事情聴取あるんだっけ、えっと、今は…」
以前、鉱山に潜る前に買っておいた、魔術時計で時間を確認する。魔術時計とは真ん中に丸い、惑星が書かれており、その周りを太陽が回り、今が何時かを表す時計だ、どうやら中には太陽の位置によって光る特殊な魔法石が入っているらしいが、さすがによくわからない
「あ…五時間遅刻しちゃった…今行ったら怒られるし、忘れて寝よ…」
時計を見ると、約束の八時から五時間が過ぎ、十三時になっていた、ベルは今行けば確実に怒られると考え、もう一度ベッドに潜り込もうとすると、宿の部屋が勢いよく開き、紫髪の魔女服を着た女が慌てて入ってきた
「ベルちゃん!!!!ゲル組合長が頭の血管が破裂するぐらい怒ってるよ!早く起きて!!!!」
「ん~、おはよう、メルア~、でもまだ眠いから寝る」
「やめて~~~!!起きてベルちゃん!!ほんとに殺されちゃうよ!!!」
メルアの必死の説得で、一時間後、何とか起きたベルが、メルアの背中でおんぶされながら冒険者組合に向かった。その最中、メルアはもう死刑宣告された人の顔ってこんな感じなのかな?という表情をしていた、冒険者組合に着いたらしく、床に降ろされた、目の前には、筋骨隆々の大男が腕を組んで仁王立ちしていた
「ん?着いたぁ?」
「おお、着いたぞベル…」
「あ、ゲル…だっけ?頭が血まみれだけど大丈夫?」
「お前のせいでな…一つ言わせてもらうぞ、六時間遅刻ってどういう事だこのクソガキ!!!!!!!!!」
ゲルの声で、冒険者組合が、比喩ではなく、ほんとに揺れた、ベルはそれでも、半目でうとうとしていた
「だって、疲れたんだもん」
「おお、まあそうだろうな…とりあえず目ぇ覚ませ、話にならん」
「うん、わかった『水弾』」
「ん?お、おい、待て、何で真上に…まさか!」
ベルは自分の真上に『水弾』を出し、自分の頭に落とした。体中びしょぬれになったが、犬のように体をブルブルと揺らし、水を吹き飛ばし、目を覚ました
「ん、目覚めた、おはよ、ゲル」
「おはよじゃねえよ、俺の体びしょびしょだわ!!!」
「…ごめん、それで、どんな質問するの?」
「…まあいい、それじゃ、事情聴取を始める、まず、鉱山はどうだった」
「…キモかった」
「き、キモかった?な、何がだ」
「虫がいっぱいだった、あとアシッドスラッグ」
「そ、そうか、それじゃあ次だ、出てきた魔獣を教えろ」
「えっとね、アシッドスラッグと、ウェーブバット、ジャイアントピード、サンドスコーピオン、ゴーレムとか、いっぱい」
「なるほど、次だ、鉱山内の環境は」
「なんかね、魔力がいっぱいで、植物がいっぱい育ってた」
「ふむ、それじゃあ最後の質問だ、鉱山が魔獣でいっぱいになった理由は」
とうとう来たか、この質問、来るとは思って、龍と戦う前に考えていたが、龍との戦いが楽しすぎて記憶が飛んだ…いったいどうすれば…アーティファクト!これなら説明できる!!
「あ、アーティファクト!!」
「おぉ、急に大声出してどうした」
ピンチを乗り越えられる答えを出すと、大声が出てしまうもので、ベルもかなりの声量でアーティファクト!と叫んでしまい、少し耳を赤くした
「え…っとね、鉱山の奥にアーティファクトがあって、それが魔力を大量に放出してて、なんか攻撃してくるタイプで無力化も無理そうだったから…」
「ぶっ壊したと、ふむ、まあ説明はまともだな、よし、報告書にもそう書いておく、ちなみに、調査員からは何もなかったと報告があったが、消し炭にしたのか?」
「う…うん、ちょっと威力高すぎて塵も残らなかった…」
この説明で納得してくれたらしく、もう少し詳しく質問をされ、ベルは解放された。そして、ベルは鉱山が復旧したということで、ラトルに着いた時、初めて訪れた鍛冶屋を訪れた
「やっほ、おっちゃん、どう、鉱山復旧したでしょ」
「嬢ちゃん!!ほんとに強かったんだな!噂は聞いたぞ!」
「ふふん、そうでしょ」
ベルの噂は、ラトル全体に広がっていた。白髪赤目の小さな幼女が、洞窟に現れた魔獣を倒し、洞窟の最奥にあったアーティファクトを破壊し、ラトルを救った。という噂が、時々アーティファクトを残したら魔動科学が発展したんじゃないかという批判があるが、少数派過ぎてぶん殴られて黙らされているらしい
「あ、それとだな、鉱山で新種の鉱石が発掘されたんだ、クラオスって名前でな、なんでか鉱山の一部が凍っててな、そこから、冷気で変化したエレキメタルが発掘されたらしいんだ」
「あっ…」
ベルは記憶があった、鉱山の帰り道、何回もひっくり返った虫型魔獣がいて、あまりの気持ち悪さに、十数回か『絶対零度』を放ったのだが、それでエレキメタルが変化したらしい
「わしはよくわからん、ただ、そのクラオスはエレキメタルよりも、防御性能が高いってことはわかるんだ、数少ない貴重品だが、嬢ちゃんは大恩人だからな」
「う、うん!ありがと!!」
その後、寸法を測ったり、防具の見た目を言って、作るのに全力を注いでも、一日はかかるらしく、一旦帰った
「さてと、明日防具受け取ったら、ラトルを出ようかな、となると、お世話になった人達に挨拶に行こうかな」
そうして、まずはトニックスの元を訪れた
「うへぇ~~~~ん!ベルちゃん行かないで~~~」と、メルアに抱き着かれた
「コラ~、ベルちゃんが困ってるでしょ!」と、リュースが助けてくれた
「ありがと、リュース」
「それにしても、寂しくなるな~」ニックが言う
「そうだべな、オラ達の速さじゃ、ベルちゃんには追い付けねえべ」
「うん…ベルはすっごく強いから、あっという間にアルカナについちゃう」
そんな会話をして、トニックスの元を後にした
「それじゃ、五人ともまた明日ね」
「「「「「バイバーイ」」」」」
相変わらず相性のいい五人である。続いて、冒険者組合を訪れた
「ゲル~、明日村を出るから挨拶に来た」
「おぉ…ベル、そうか、明日村を出るのか」
「なんか、げっそりしたね」
ゲルは明らかにげっそりしていた、おそらく鉱山の一件で大変なのだろう
「やつれたね」
「おかげさまでな」
そんな会話をして、ベルは冒険者組合を出た、そして宿に戻り、いい時間だったので、荷物を整理した後、眠りについた。
翌朝
「んぅ…ふぅ、時間は…よし、丁度いいし、防具受け取りに行こうかな」
ベルは、鍛冶師のおじちゃんの店に向かった
「おじちゃんおはよ~」
「嬢ちゃん!丁度いいところに来た!ほれ!できたぞ~!」
「おぉ!キレイ!!」
おじちゃんが渡してきたのは、キレイな銀色の防具、うっすらと冷気を纏っていた
「なんかちょっと冷たいね」
「氷のエネルギーを吸ったから、冷たくなったんだろうな、普通のエレキメタルより魔力を吸ってるから、防御力がすげぇぞ!」
「えへへ、ありがとおじちゃん!」
「それはこっちのセリフじゃい!」
そうして、ベルは防具を受け取り、鍛冶屋を出た、一度宿に戻り、荷物を持って、ラトルを出る門に来た、すると
「「「「「ベル~!!」」」」」
「わぁ、みんな!」
トニックスの五人とゲル、そして鍛冶師達とボコられた冒険者達がお出迎えに来てくれていた
「お出迎えしてくれるんだ~」
「そりゃあな、ベルには助けられた」ゲルが言う
「ベルちゃんなら大丈夫だろうが、気をつけろよ!」ニックが代表して言った
「うん!みんな、またね!!」
そうして、ベルはラトル村を後にした、次の目的地は、魔動都市アルカナ




