英雄の足跡、水龍村
ベルは、ついに森を抜け、水龍村を訪れる、出身は隠しながらも、前世で見知った調味料や、ワイバーン達の素材を売りに向かう、そこで出会ったのは美女だらけの百合ハーレムパーティーだった
ベルは水龍村に足を踏み入れた、するとある老婆と目が合う、顔中皺だらけの百歳超えているんじゃないかと思うほどの老婆がベルに近づき声をかけてくる
「おや、こんな子供で…お父さんとお母さんはどうしたんだい?」
「一人で旅してるの、お父さんとお母さんはいなくなっちゃった…」
なんとも気まずい話題をこの老婆は振ってきた、親どころか、友人も、お隣さんすらも今や土の養分になってしまったのだから…
「そ、そうなのかい?お嬢ちゃん、今何歳か分かる?」
「うん、この前五歳になったの」
「五歳で…一人でこの村に来たのかい?いったいどこから…」
村の場所を言うわけにはいかないだろう、あの白銀の龍、あれには幾つも傷がついていた、そして騎士団があの村にやってきたと、白銀の龍が無関係というのは考えにくいだろう。となると大森林近くのこの村になにかされているやもしれない、一応村の事は言わない方がいいだろう
「遠くから来たの、お父さんとお母さんから魔術とか剣術教わってたから、魔獣倒しながら旅して、この村に宿とかある?できれば少し休みたいの、お金は魔獣の素材売るから大丈夫」
「魔獣!?お嬢ちゃんが狩ったのかい!?で、でも粘獣なんかの素材じゃ宿には…」
粘獣…確かスライムだったかとベルは思う、なんともややこしい、何故そんな呼び方にするのだか、スライムでいいじゃないか…それにしても、やはり五歳だからか、狩った魔獣が粘獣だと思われているらしい、まあワイバーンなのだが…
「大丈夫、これだから」
「これ?」
魔術袋から、切り取ったワイバーンキングの角や羽、尻尾、ワイバーンの角、羽、尻尾、オーガの角を取り出し、おばあさんに見せる
「これならお金になるでしょ?」
「な、なんの素材だい?で、でも、確実に強い魔獣の素材だね…お嬢ちゃん、いったい何者なんだい?」
「…ただと~~っても強いお父さんとお母さんの子供ってだけだよ、それと、これってどこで売れるの?」
「ああ、それなら、そこの冒険者組合で売るといいよ、あと、素材は冒険者組合以外に売らない方がいいよ、他の場所だと、お嬢ちゃんだからって、お金をちょろまかしてくるからね」
確かに、こんな幼女だったら簡単にカモに出来そうだ…気を付けよう
「うん!ありがとうおばあちゃん!」
「えぇ、気を付けるんじゃよ?」
そうして、おばあちゃんに言われた、冒険者組合に足を運んだ、大きな扉を押し開けると、屈強な男達が…なんて事はなく、まさかの美女パーティーが居た
「あら?こんな子供がこんなところに用?」
「うん、魔獣の素材売りに来たの」
「あらあら、初めて?だったらわからないわよね、お姉ちゃんが教えてあげる!」
「でたよ、ハーラの幼女好き…」
「ま、まあ手は出さないから…いいんじゃない?」
幼女好きという不穏な言葉を聞きながら、ベルは豪勢な鎧と綺麗な茶髪の女に付いていき、素材売り場のカウンターに向かった
「…届かない、んっぐぐぐ!」
「あらら、と、届かないの?♡な、ならお姉ちゃんが抱っこしてあげる!」
「ん?お願いします…」
ベルはハーラに抱っこされ、カウンターに何とか顔を出した、なかなか屈辱的な体勢である、抱っこされないとカウンターに届かないなんて
「あ、って、ハーラさん、パーティーの人達じゃ飽き足らず、こんな子供にも手を出したんですか…?」
「し、失礼ね!用があるのは私じゃなくてこの子よ!この子が届かないから私が抱っこしてあげてるの~♡」
「それにしては顔が蕩けまくってますよ?」
「なっ!し、失礼ねシルエッタ!」
余りにも話が長引きそうになっていたので、長引く前にベルが口をはさむ
「えっと、素材売りに来たんだけど…」
「あ!ご、ごめんね!えっとスライムかな?」
またスライムだと思われている、この世界では子供がよくスライムを狩ってくるのだろうか?
「スライムじゃない、そんな子供がとってくるの?」
「そうね、村周辺で粘獣がたまに出るから、子供達がお小遣い稼ぎでとってくるの」
と、シルエッタが教えてくれた、それにしても、子供のうちから生物を殺してお小遣いを稼ぐというのは少し残酷な気がする、まあ、粘獣はポーションになるから冒険者組合的には助かるのだろうが…
「これ、今日売りたいのはこれ」
「「へ?」」
ベルが魔術袋から素材を出すと、二人の情けない声が同時に発せられた、当たり前だろう、幼女が取ってきていい代物ではないのだから
「こ、これ!ワイバーンキングの尻尾ですよ!?こっちはオーガ!この量が多いのは全部ワイバーンの素材!?」
「こ、これほんとにあなたが狩ったの!?」
「う、うん、全部私が狩って剝ぎ取ったよ?」
「は、はぁ♡はぁ♡」
耳元に生暖かい吐息がかかる、何故かベルを抱いていたハーラが興奮していた
「え、な、なんで?」
「え、えっと、ハーラさんって、幼女と強い女性が好きなんです、それで多分、えっと、お名前は?」
「べ、ベルだけど…」
「ベルちゃん!!!!ベルちゃんっていうのね!!!今すぐ私のパーティーに入らない?!?!♡」
凄まじい勢いでパーティーに勧誘される、だが、それを受けるわけにはいかない、あの男に復讐しなければならないからだ、なので丁重に断ろう
「えっと、誘いは嬉しいけど、やらないといけない事があるから、遠慮します」
「そ、そんなぁ~!」
「お、おいおい、リーダ、なにデカい声出してんだよ」
「聞いてよランカ~!ベルちゃんに勧誘断られたの~!!」
「おま!こんな幼女に手を出そうとしたのかよ!ほら行くぞ!!!」
ベルはハーラの胸から降ろされ、ハーラは仲間の、ランカという人に連行されていった、あのまま了承したら…なにされたのだろうか…それと、降ろされたことによりカウンターに届かなくなってしまった
「あ、届かなくなっちゃったね、ちょっと待ってて!今そっちに行くから!」
「ありがと」
なんて優しいのだろうか、身長が小さくてカウンターに届かない幼女の元に自ら来てくれるなんて…
「それじゃあ、あれ全部で買い取りでいいんだね?」
「うん、それでお願い」
「はーい、それじゃ、これがあれ全部の合計金貨五十枚!」
「金貨五十枚ってどれぐらい?」
「そうねぇ~、お家二個は建てられるかな」
家が二個!?そ、そんな大金になるとは…とりあえず隠しておこう、知られるとまずいかもしれない…
「ありがと、お姉さん!それじゃあ宿探さないとだからもう行くね!!」
「ええ、気を付けてね!ベルちゃん!!」
そうしてベルは大金を魔術袋に入れ、冒険者組合を足早に去った




