ステーション味方に爆殺
「何事だね。」
ゆっくりと離陸する重装甲指揮車の中でケアルナアは聞いた。
「フレクスの傭兵部隊の攻撃だそうです。」
スタンレー補佐官が応える。
「ここにか」
「001ステーションが攻撃を受けて大破したそうです。」
「ここは大丈夫か」
「閣下、ここはノーザンの中枢です。いくら傭兵部隊とはいえ、ここまでは攻め込めませんよ」
「それもそうだな」
ノーザンの軍事ステーションは瀕死の状態だった。
最初の大型ミサイルの一撃が応えていた。
ステーションから飛び立った20機のモレル・アツはフレクスの傭兵部隊によって壊滅。
周りのステーションからも順次飛んでくるが、フレクス傭兵部隊の戦力は圧倒的だった。
「右舷、3機・モレルアツ」
「青い稲妻がやる」
バーレイの部隊が3機で襲い掛かる。
先頭の1機をバーレイが遠距離射撃で沈める。
残りの2機も左右の機動歩兵が次の瞬間に葬り去った。
ローヤルの青のイレブンも接近してくる巡洋艦を1撃でしとめた。
「ケーセ、第二作戦開始」
「了解しました。」
ケーセが次々とボタンを押していく。
ステーション001のイスワタ側で攻撃を受けていない、軌道修正用のバーニアが一部噴射を開始、
ゆっくりとステーションが回転し始めた。
「どうなっているんだ、」
思わずイスから放り出されたワシンゾ少将は叫んでいた。
「一部軌道修正用のエンジンが噴射」
「誰が指示を出した?」
「判りませんが、テロ部隊がやっているのでは無いですか。」
青くなってシンゾッバ軍曹が応えた。
そして、爆発したように、後部エンジンが次々に点火していく。
「どうなっている」
シンゾバッハは必死に計算していた。
「指令、ステーションは回転しながらイスワタへの落下軌道に入ったようです。」
「何だと、直ちに何とか修正しろ」
蒼白になってワシンゾは叫んでいた。
「一体全体、奴らはどこに隠れていたんだ。」
ノーザン連邦の宇宙軍本部ではホフマン元帥が叫んでいた。
「アスワン船籍の貨物船として登録されていて、それが攻撃を始めたものと思われます。」
「おのれアスワンめ。よくもたぶらかしてくれたな。」
地団駄踏んでホフマンは悔しがった。
「001ステーションは防衛能力をなくしたようです。付近の部隊も順次現場に向かっていますが、次々に音信不通になっています。」
「第5惑星から直ちに全艦をこちらに向かわせろ」
「それについて、第5惑星も攻撃を受けているようです」
「そんな大規模な戦力がテロ部隊にあるのか」
ホフマンは驚いて言った。
「それが、テロ部隊の妨害にあってか、状況が良くつかめていません。第五惑星への通信もほとんど遮断されている状況でして、」
「バカモン、こちらは主星だぞ、第五惑星以前に主星が壊滅してはどうにもならないだろう。直ちに全艦をこちらに向かわせろ。それと、近くにいる全部隊に001に救援に向かわせろ。時間稼ぎだ。」
「了解しました。」
そうは言ったものの、援軍が第五惑星から来るには4,5時間はかかるはずだった。
重力の大きい惑星の多い太陽系内ではワープは基本的には出来る所は限られていた。
ただ、敵の戦力も高々小型艇10隻と20機の機動歩兵と言われていた。
地上部隊と衛星に展開している部隊で何とかなるとは思われたが。
「どうなっているのかね」
突然通信スクリーンにケアル・ナア大統領が映し出された。
「これは大統領、」
ホフマンは慌てて姿勢を正した。
「フレクスのテロの残存部隊の奇襲攻撃を受けましたが、もうすぐ第5惑星から援軍が来る予定です。それで、フレクスも終わりです。」
「それなら良いがよろしく頼むぞ」
ケアルナアの乗った重装甲指揮車はゆっくりと旋回して100キロ離れた宇宙港を目指した。
「元帥大変です。001が軌道を修正してイスワタに落下しつつあります。」
「直ちに止めろ。止められない場合は爆破しろ」
「しかし、あのステーションには1万人も人間が乗っていますが・・・」
「バカモン、あれが落下したら、衝撃波でイスワタは壊滅するぞ」
ホフマンは叫んでいた。
「テロリストのせいにして破壊するんだ。」
「何とかならないのか」
ステーションではワシンゾが叫んでいた。
「もう少し待ってください。今、この管制を何とか取り戻せそうです。」
キーボードを次々に叩きながらシンゾバッハには少し光が見えてきた。
「よし、この暗号さえ何とか解ければ」
シンゾバッハはしかし、宇宙軍司令部からの信号が見えた。
「中心部、爆薬点火?」




