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第106話
海の魔力が増大する。
実際に星の目の前にいる海の身にまとっている雰囲気は尋常なものではない。
「……どうして追ってくるの!! どうして、『私の願い通りに』、森から出て行ってくれないの!!!」
海は叫ぶ。(身をくねらせて、本当に切実な感情を乗せて全力で叫ぶ)
ものすごい声量だ。
そんな海の声を聞くことはもちろん、星は初めてだった。
星は思わず自分の両耳を手で塞ごうとして、途中でやめる。その声を聞く義務が自分にはあると、星は思う。
空中に舞っている落ち葉が、その海の叫びに反応するように吹き飛ばされる。海の声には確かに魔力が込められている。
『星。大丈夫?』
「大丈夫。問題ないわ」星は言う。本当はあんまり大丈夫じゃない。
その言葉のあとで、少しして星はがくんと膝から崩れるようにして、その場にしゃがみ込んでしまった。
『星!?』
「……大丈夫。ちょっとびっくりしただけよ」
星の呼吸は荒い。(体力が回復しない)ちょっと頑張りすぎたみたいだ。
疲労もピークに達しているみたい。……魚の言う通り、部屋の散策なんてしてないで、ちょっとでも椅子の上で目をつぶって、澄くんの家で休んでおけばよかったかな?
星は思う。そして少しだけ笑った。




