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赤い瞳の冥府の王は白き乙女を手放せない  作者: なかな


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新たなエンマと私の関係は?5



 私がトキワ君を助ける為に思いついた計画をエンマに伝えると、エンマは凍りついたような顔になってしまった。

 マズイ。やはり突拍子も無い案だと思われただろうか?


「どんなに考え抜かれた計画だとしても、結果として上手くいくかどうかは分からない。その反面、思いつきのように初めた事が上手く行くことも、時に有る。マコモがそうしたいと思うなら、まず行動を起こすのが大事なのではないか?」


 エンマが私の発案内容には一切触れて来ない。それって多分、コメントに困る程には駄目な計画だったって事だよね?

 こんな気遣いをエンマにされるなんて、余計に情けなくなるんだけど?!


「とりあえず3人に状況を伝えて、協力してもらえるかを確認しますね。陽太さんはともかく、青木さんにとっては全く面識の無い相手を助ける訳になりますから。冬賀さんは……仕事でもないのに、そこまで関わってくれるかどうか」

 

「そうだな、そこが今回のスタート地点だ。もし皆がマコモの発案を聞く機会があるのなら、誰かがその甘い計画を補う案を持っているやもしれぬ。大事なのは、協力を得たいとマコモが真摯に伝えることではないか?」


 甘い計画って……やっぱりそう思ってたんじゃないかっ!


「でもですねエンマ様……私、もう冬賀さんの眉間に浮かんだ皺が見えるような気がするんです」


 私がこんな発案をしたら、冬賀さんは修正案を出すどころか頭を抱えて考え込んでしまうだろう。この数週間、一緒に過ごしてきたから、それくらいはもう予想が付いてしまう。


「……私の前で他の男の顔を思い浮かべるとは。マコモにはまだ、私の思いは伝わっていないのか?」

 

 エンマの口角は若干上がっているのに、私を見つめる瞳は鋭い。

 私はただ、冬賀さんの眉間の皺の話をしただけなのに、エンマは何を勘違いしているのだろう?


「私は単に、冬賀さんを困らせてしまうかもと思っただけですよ?そうでなくとも今日も、私とエンマ様の関係を心配してくれていたのに。冬賀さんってあれこれ気になるタイプらしくて大変そうなんです」


「マコモ……それは態となのか?そうやって私の気を引こうと……」


「そんな訳ないじゃないですか?どうしてそんな事?」


 どうしてそんな事を私がすると思うのだろう?私は別にエンマの思いを試したいとか思わないよ?


「けしからん……」


「へっ?なんで?!」


「自然体で他の男の事を思うのが、けしからんのだ……」


 エンマはそう言い私を引き寄せると、力いっぱいに抱きしめた。


「く、苦しい……離してくださいよっ!」


 さっき抱きしめてもらった時の安心感は、どこへ行ったのか?今はエンマの胸に顔を押し付けられて、息が苦しい。


「マコモが冬賀、冬賀とうるさいからだっ。やはり奴の所で働かせるのではなかった」


 エンマの胸と自分の顔の間に腕を差し入れ、どうにか隙間を作る。

 はぁーっ……やっと息が楽に出来るようになった。


「もしかしてエンマ様って、冬賀さんにヤキモチ妬いたから働くのは駄目って言ったんですか?」


「うっ……そうだ、何が悪い」


 これってエンマ様の発言だよね?子どもか?


「はぁーっ、ちょっとエンマ様の事、分かってきた気がします。いつもツンケンしてますけど、実は私の事、結構好きだったりします?」


「……今さらだ、今さら、そんなことを聞くのか?」


 確定だ。私はこの特別な生まれだからエンマ様に思われていた訳ではなく、もらっていた気持ちの方だって、しっかり特別だったんだ。


「私だけかと思ってましたよ」


「何がだ?」


「ここです、ここ」


 エンマの胸をグリグリと指で押す。


「ここにある好きの気持ちは、私だけなのかと思ってました。エンマ様も好きだったのなら、もっと早く言ってくださいよ。愛とか伴侶とかを先に言われたら、重すぎて困るじゃないですか」


「重っ……って、は?好き?私だけ……、そう言ったのか?」


「そうですよ。私の気持ちは長年の憧れも入ってますから、そんなに単純ではないですけど」


「それを言うなら私の思いは、慈しみ育てた愛も入っているからな、他の男には近寄らせたくないという思いは、凄まじいぞ」


 エンマの言葉はやっぱり重い。

 でも、そんな言葉も怯まずに受け止めようと決めたっけ。


「それじゃ、私は現世で普通に暮らせないじゃないですか?エンマ様はちょっと我慢でお願いしますね」


「あぁ、この世はしがらみが多いからな。少しくらいは仕方がない」


「そうですよ。私はまだまだ現世で生きていくつもりですからね」



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