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赤い瞳の冥府の王は白き乙女を手放せない  作者: なかな


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19/51

エンマ視点



「私はもう、駄目かもしれぬな……」


「はぁーっ?!どうなされましたっ、閻魔様っ」


「いや何でも無い。全て今更だ、分かっていた事だ」

 


 ◇



 マコモに「お父さんみたい」と言われてしまった。


 マコモの父親は既に亡くなっているし、なんなら冥府にたどりついた際に私と話もしている。


 彼女が特別な魂を持って生まれ、その為に幼い頃「魔の物」に襲われたが私が現世へ戻したのだと伝えると、マコモの父親は涙を零さんばかりに感謝をしていた。


 いやいや、マコモに命を授けてもらい感謝しているのは私の方だ。

 あの時は、マコモが私の伴侶になり得るという事情は伏せて話をした。マコモの父親には是非、知っておいて欲しいという思いはあったのだが……。

 まだ齢12の娘を持つ父親にそれを伝えるのはいかがなものか?と、私は流行る気持ちを抑え言葉を飲み込んだ。


 私はマコモの父親を困惑させた挙句、白い目で見られたい訳ではない。



「マコモを宜しくお願いします」


 マコモの父親が立ち去り際にそう言った時、私は思いっきり頷いてしまいたかったが、閻魔大王としての自覚でそれをセーブした。


「うむ。善処しよう」


 そう言うのみに留めた。


 ◇



 マコモが私と連絡を取り続けたいと思い、会えないと寂しいと感じていたのは、まさか私を父親と重ねていた故とは気付きもしなかった。


 考えてみると、私は幼いマコモと度々会っては時を共に過ごしていた。

 私に抱っこをせがみ愛くるしい笑顔を見せていたのは、正に父親へ向けるような態度であっただろう。


 そんなマコモに求められたなら、きっとそれは父親のような存在だからなのだと疑いようもないはずなのに、私は……何を勘違いしていたんだ?!


 マコモが私に好意を向けているのだと、そう思ってしまった過去の自分を軽く殴りたい。


 閻魔大王として200百年以上生きたとて、今の私は娘1人の言葉に振り回される只人だ。生きる気力さえ失ってしまう程に……


 まぁ放っておけば、私の命はもう200年は生きられるのだろうがな。


 だがその内にマコモの命も果て、いつかこの冥府の裁定の場を通るのであろう。


 その時私は何を思う?


 ただ1人の人間に、これ程肩入れするのが良くないのは分かっている。


 ただの1人の人間であればな。


 たった1人の伴侶であれば、寄り添い共に生きることさえ出来るのに。

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