27 驚きの事実
「ちょっといいかな?侍女を呼んでくれる?」
今日のレオンハルト様も優しく話しかけてくれる。本当に素敵……って!侍女!?
「リリア。」
私が侍女を呼ぶと、すぐに私のそばにリリアが来てくれた。
「この髪留めをお茶会の終わりに外して、私の側近のノアに預けてくれないか?」
「それと、ノア!私のところにある、完成したアクセサリーを持ってきてくれないか?」
リリアはうなずいて、また後ろに下がっていった。
ノア様は、すぐに王宮の中に消えていった。
いったい何があったのだろう?気になった私は、すぐにレオンハルト様に聞いてみることにした。
「私の髪留めがどうかいたしましたか?まさか、やはり似合っていなかっ……」
私が言いかけた途端―――
レオンハルト様は、ゆっくりと私の髪を一房手に取り、優しく唇を寄せた。
「それは、違うよ。とても似合っているよ。私の瞳の色の宝石がついた私が贈った髪留めを着けてくれているんだ。これ以上嬉しいことはないんだよ。もちろん君は、何を着けていても美しいけれどね……」
「あうっ。」
あまりのことに、喉の奥から変な声が洩れてしまった。
「それでは、なぜ、この髪留めを預けなければならないのでしょうか?」
「それはね。私の技術がまだ未熟だから、少し手直ししたいところを見つけてしまったからなんだよ。本当にごめんね。もちろん、代わりに他に作ったものを用意したからいくつでも持っていって構わないから。」
レオンハルト様がおっしゃった言葉の中にある情報をすべて理解することは難しかった。私の技術が未熟?手直ししたい?作ったものを用意した?いくつでも?
「あの。確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろん!でも何を?」
「技術が未熟だからとおっしゃいましたが、私のこの髪留めはどなたが作られたものなのでしょう?」
「恥ずかしながら……私だよ。」
「ええっ!レオンハルト様が自らですか?どうやって?」
「兄上に一流の細工師を紹介してもらって、弟子のように教えてもらいながら、一から手作りしていったんだよ。なかなか上手に作れなくてね。どうにか納得のいくものができるまでにかなりの時間を使ってしまったよ。」
「弟子入りして一から手作りですか?この髪留めは、レオンハルト様が?本当に……?」
あまり見たことがない髪留めだと思っていたら、まさかの手作りだったなんて。完璧すぎないところに、温かみを感じると思っていた。手作りだったら尚更だ。レオンハルト様が私だけに……私のためだけに……
「あの時は、その前に宝石を探すのにも時間がかかってしまったからね。もっと技術を磨ける余地はあったけれども、ある程度のところで完成させてしまったんだよ。贈り物が準備できるまで、六か月もかかってしまったから。それ以上お茶会を伸ばすのは、私が嫌だったんだ。君のことも待たせてしまって申し訳なかったね。」
「あの、六か月の間にそんなことが……!それと、宝石も探してくださったのですか?」
もう、驚きすぎて私の頭は混乱し始めていた。だって、髪留めのような贈り物を手作りされた挙句、宝石も探しに行かれたなんて……
「ああ。私の瞳の色の宝石を身に着けてほしいという傲慢な願いで、宝石商のところを見て回ったんだよ。青といっても色々な色があるんだね。君にも似合う宝石をイメージしたら、透明なきれいな青にしたいと思ってね。地方にまで探しに行ったんだ。ようやくこの宝石に出会った時は、うれしかったよ。」
本当に私のことを考えて作ってくださったんだ。レオンハルト様の気持ちのこもった贈り物だったのだ。
「それなら、私はこのままでも構いませんわ。レオンハルト様の気持ちがこもっていますもの。」
「君への想いはより完璧なものにしておきたい。だから、次のお茶会の時まで預からせてほしい。デザインなどはこのままだから。それに、あの後、君のことを考えて作っていたものがあるんだ。見てくれないか?」
ノア様はいつの間に戻ってきたのだろうか?そこには、髪留めのほかに、ブローチやネックレス、イヤリングなどいろいろな宝飾品が並んでいた。どれも、一流の職人が作ったものと言われても納得してしまうほどの出来だった。
「素敵!これは、全てレオンハルト様がお作りになったのですか?」
「そうだよ。君のことを考えるといろいろと作りたくなってしまうんだ。気に入ったものがあればいいのだが……」
こんなに素晴らしい出来なのに、レオンハルト様は私の反応を窺うように心配そうに見つめている。
「全て素敵すぎて、私には選べません。」
私が正直にお話しすると……
「マリーベル嬢にそう言ってもらえると何よりうれしいよ。これは全部君のものだよ。何より、君以外に渡す予定のないものだからね。着けてもらえると嬉しい。」
優しそうな微笑みを浮かべて、私を見つめてくる。
レオンハルト様は、私にとって本当の意味での王子様だ。
こうして私は、レオンハルト様の言葉に傷ついて、自信を無くしていた時のことが、また一つ分かった。
私が知らなかっただけで、あの言葉の裏には、いつもレオンハルト様の深い愛情があったのだ。
かなり驚きの事実として……
――――私は、ずっとレオンハルト様に愛されていたのだと。
お読みいただき、ありがとうございます!
もうすぐ、完結となります。




