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26 あれから変わったお茶会



あのお互いの誤解が解けて、想いを伝えあったお茶会から……


私たちのお茶会の雰囲気は百八十度変わってしまった。


それというのも、レオンハルト様がおかしいのである。


私を見つめ、終始笑顔でお話しなさる。


氷のように心を閉ざした王子様はどこに行ったのだろうか?


今は、本当にそんな人が存在したのだろうかと疑問に思うほど人が変わってしまった。


「マリーベル嬢、聞いてほしいんだ。初めて君を見た時の私の気持ちを。

緊張して喉がからからに乾いて、どうにか声を絞り出してあいさつした私が、顔を上げるとそこには天使がいたんだよ。もしかしたらもっとかわいい妖精かもしれないとも思ったよ。

かわいらしいピンクの髪が複雑に結い上げられているし、君の瞳は、アクアマリンのように澄んだ水色だ。こんなにかわいらしい女性が私の婚約者なのかと思うと、私の胸は歓喜でいっぱいになったよ。」


「あ、あの~。もうそのあたりでお話は結構ですから……もう私、恥ずかしくて……」


私は、うずくまって顔を覆ってしまいたいような、どこかに隠れてしまいたいような恥ずかしさに、さすがに耐えられなくなってしまった。


「許してくれ。だって今まで、私の言葉でたくさんの誤解や心配をさせてしまったんだよ。やっと伝えられる今、誤解は解いておきたいんだ。すべて覚えているから、ちゃんと説明させてほしい。」


「いや~」


「恥ずかしがって、真っ赤な顔をしているマリーベル嬢も本当にかわいいね。君のいろいろな表情を見られて幸せだ。

それでね。その後母上に、バラを見てくるように言われただろう?

うまく話せる自信がなくて最初は行きたくないとも思ったんだけど、マリーベル嬢と二人で歩けるなら花がなくてもどこまでも行きたいと思う気持ちが勝ってしまったんだよ。マリーベル嬢と二人で歩けて、天にも昇る気持ちだったな。バラの花なんか私の目には入ってこなかったよ。だって、もちろんマリーベル嬢のほうが何十倍もきれいだったからね……」


「本当に、限界です。勘弁してください。」


私は、もう胸がどきどきと高鳴りすぎて、おかしくなりそうだった。


「可愛いマリーベル嬢のお願いだけど、この伝えたいという気持ちだけは止まらないんだよ。それでね……」


もうずっとこんな感じで、この後もこのお茶会で私が帰るところまでのレオンハルト様の気持ちを聞かされてしまった。


嬉しいことは嬉しい。

でも、限度がある。

とにかく恥ずかしいのである。

二人きりといっても、近くには侍女も侍従もいるのである。


その頃には、私の気力はごっそりと持っていかれてしまった。


熱が出た時のように、ずっと体中が熱くて、心臓はずっと高鳴っている。


病気だろうかと勘違いしそうになる。


今回のお茶会が終わって帰ろうとしたときには、ふらっと体が揺れてしまった。


それを見つけたレオンハルト様。


そこからが更に大変だった。


「私が馬車まで抱き上げていこう。あ~それよりも心配だから、王宮に今日は泊まってもらおうか。王宮医も呼ばなければ。まずは、ノア、部屋の準備と報告をお願いできるかな。そうそう、フェルディナ家にも連絡しなければな。あ~心配だ。そうだ、部屋にはバラの花を飾って、フルーツのタルトも準備させよう。食事はどんなものを準備させようか?」


いくら私が、大丈夫だと伝えても、レオンハルト様は納得してくださらない。それよりも、どうしたら私が快適に、安全に過ごせるかに思考が傾いてしまった。


結局、王宮医に診ていただき、何の問題もないと分かって、屋敷に戻ることになった。


レオンハルト様は、今度は心配だからついていくと言って聞かず、御者になって行こうとするのを止めるのが大変だった。


御者の正体がレオンハルト様だと分かってからは、王宮から手配された御者の方に変わっていただいた。レオンハルト様は、どうしてもついていきたいというので、御者ではなく、私たちの馬車に同乗して送っていただくことで納得していただいた。


とにかく私のことを心配してくださる。いや、そのレベルではない。心配しすぎているのである。




やっとのことで屋敷に帰ってくると、私は侍女のリリアに相談してみた。


「レオンハルト様が私のことをほめすぎて辛いの。心配しすぎるし、私を大切にしすぎるの。ねえ、リリア、どうしたらいい?」


「お嬢様。その相談とも言えないのろけのオンパレード。私、聞き続けなければなりませんかね。もう、甘すぎて砂糖を吐きそうですわ。ある意味、地獄です。」


「え~!?口から砂糖が出てくるの?リリアったら大丈夫?だけどね。本当に困っているのよ。体は熱くなってくるし、胸がどきどきして立っているのもつらいのよ。しかも、レオンハルト様に見つめられてしまうと、恥ずかしいけど、目が離せなくなってしまうの。ねえ、私病気かしら。」


「はは。そうですねぇ。ある意味重~い病気かもしれませんね。『恋の病』というね。しばらく、レオンハルト様と離れてみてはいかがですか?なんなら、ず~~~~っとお茶会お休みしちゃえばいかがです?今までの仕返しですよ。」


「え~。それはそれで、寂しいわ。せっかく想いが通じ合ったところですもの。お会いしたいわ。ただ、褒めるのにも限度があるって話です!どうしたら、途中でやめさせることができるかしら……?」


「それなら、お嬢様のあのツンデレが出た時のように、ちょっときつめにお灸をすえてみたらいかがですか?私が言い方とか仕草とか伝授しちゃいますよ。やはりここは、ツインテール!いや、奇をてらって、ロールさせたツインテールは?うん。いい!俄然燃えてきました!やってみましょう。」


「なんだかわからないけれど、結局私が恥ずかしいことになりそうなんだけど……そこのところはどうなの?不安しかないんだけど。」



結局屋敷に戻ってきても、ごっそり気力をもっていかれるマリーベルだった。


お読みいただき、ありがとうございます!

こうなりますよね。

あと5話で完結となります。

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