↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
20/31

20 第一王子からの助言 ~レオンハルトside


せっかくの大事なお茶会の日によりにもよってタイト国から第一王女が参入してしまった。


私は、どんどん攻撃的になってくる第一王女の様子に、マリーベル嬢が危害を受けないか心配になり、すぐにお茶会から家へ送っていった。


その後、第一王女には声をかけずに兄上に相談に行くことにした。


「はっ!はっ!はっ!はっ!まっ!てっ!くっ!れっ!はっ!はっ!」


今日の兄上は、勢いをつけながらその場でジャンプをしている。かなりの数をこなしているのか、尋常ではない汗をかいて、腕を使って声を出さないとジャンプできないようだった。


私は、いつものように紅茶を飲みながら待っている。しばらく待っていると、汗を拭いて着替えをした兄上が戻ってきた。


「レオン、待たせてすまないね。今日はどうしたのかな?」


「お茶会に、タイト国の第一王女が……」


「あの女、勝手にレオンに粉をかけに向かったな!まったく!守ってやれなくて悪かったね。もうこれからはレオンのところに行かないように、侍従に見張らせるから。そして、なるべく早くお帰りいただけるように……どんなふうに仕掛けようか?ベイン!」


兄上は何やら、ぶつぶつと側近のベインと相談を始めた。第一王女の件は、兄上にお願いしておけば大丈夫だろう。第一王女はこの国に来ると、よく私の周りに現れた。そして、どうにか二人きりになろうとする。私は、第一王女がどうしても苦手だった。私に向ける媚びたような視線も声も。それに、あのきつい香水の匂い。どうしても好きになれない。


それに比べてマリーベル嬢。なんて控えめで、笑顔がかわいらしいんだ。近づくと自然の中にある花の香りが優しく漂ってくる。 何を比べても、マリーベル嬢の方が優っている。私にとってはマリーベル嬢が常に最上位に来る。素晴らしい女性だ。


「レオン!楽しそうなところ悪いんだけどね。せっかくここに来たんだから、私とも話そうね。そうだな。お茶会ではマリーベル嬢と中々仲を深められないようだから、たまには違うことをしてみるのはどうだい?そこで、観劇デートなんてどうだろう。二人でロマンチックな劇を見たら仲が深まるんじゃないかな?」


「そんなのは、ダメだ!」

(確かにいいかもしれない!二人きりでというのが最高だ。今回第二王女がお茶会を邪魔してしまったから、その償いとしてもいいのではないか?問題はどんな劇にするかだな?)


「いいだろう。どんな劇がいいかな?今流行りの劇でロマンティックなものといえば……そうだ!どうせなら二人で劇の台本を考えよう。マリーベル嬢に本当のレオンの気持ちが届くような。それを以前から交流のあったあの劇団に依頼してみよう。これから忙しくなるぞ…」


それからが忙しかった。まず脚本作りから始まった。私はなかなかうまく話せないが文章には思っていることを書くことができた。だから、大筋は私が考え、それを兄上が脚色していった。兄上の脚色の素晴らしいこと。大筋を考えた私ですら、感動してしまったほどである。やっと出来上がった脚本を今度は劇団の方たちに見てもらった。劇団の方たちは私たちの脚本を読んで感動して、すぐに劇を行ってもらうことを了承いただいた。後は、なるべく短期間で練習してもらわなくてはならない。


私とマリーベル嬢が観劇デートに行けるようになるまで、六か月もかかってしまった。


もちろんその間には、マリーベル嬢に忘れずに手紙と贈り物は心を込めてするようにはしていた。


兄上からも観劇デートでのマナーや心配りについてもしっかり習ったつもりだ。



~~ ◇ ~~



その頃マリーベル嬢は。


タイト国の第一王女殿下が現れ、早々に帰されてしまったお茶会の日。


レオンハルト様に対する好意を隠しもしない王女殿下に私はなぜかもやもやとする気持ちを抱いてしまった。


自分がレオンハルト様の婚約者だと声を大きくして言いたい。好意を抱かないでほしい。近づかないでほしい。そんな自分勝手な言い分ばかりが浮かんできてしまう。


どうして私は、こんなことを考えてしまうのだろう。レオンハルト様は、私のことを嫌っていると落ち込んでいたはずなのに……


レオンハルト様は王女殿下に好意を向けられてなびいてしまうのかと不安に思ったのもつかの間。レオンハルト様は、私に向けた心配する気持ちや私を思いやる気持ちばかりだった。言葉では、王女殿下に寄り添うようなことばかりだったけれど。態度や行動は私を思いやってくれたものだった。


そして、最後の心の中の言葉。


大好きなのは―――――


んん~~~~


どうしても信じられない。


でも、でももしかしたら……


本当に分からない。


でも、ちょっと期待してしまう自分もいる。


そんな、不確かな気持ちのまま次のお茶会の声がかかるのを待っているのに―――


次がなかなか来ない。


あの、レオンハルト様が手作りの髪留めを作られた時のように。


あの時よりは、気持ちが楽だった。


だって、毎月心のこもったお手紙と贈り物が届いているから。


このお手紙の内容がレオンハルト様の本当の気持ちであったなら、私は次を楽しみに待てる。



そうして、あのお茶会から六か月。



とうとう、お誘いの便りが届いた。



なんと、お茶会ではなく、観劇をしようというお誘いが。



オレンジのバラの花束とともに―――



お読みいただき、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。