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13 レオンハルト大反省会 ~レオンハルトside



「はっ。はっ。はっ。はっ……」


「はっ。はっ。はっ。はっ……」


静かな部屋に二人の男の荒い息遣いだけが聞こえる。



私は、今日、取り返しのつかない……ううっ


最低な言葉をおおおおおおおっ


浴びせてしまったのだぁああああ!!!!


ガン!ガン!ガン!ガン!


何度、頭を壁に打ち付けてもマリーベル嬢の心の痛みに比べれば、このくらい何でもない。


そうしているうちに、側近のノアによって兄上に報告が行き、今に至る。


私も一人で己に甘い判断を下してしまわぬよう、兄上の部屋でことの顛末を聞いてもらって、しっかりとした反省をしなければと思いなおした。


兄上の部屋に行くと、いつものごとく兄上は筋トレにいそしんでいた。だから今日は私も一緒に筋トレで己の心も体も鍛えなおして、反省したいと思った。

そこで、兄上の真似をして筋トレをすることにした。

これがなかなかにきつい。今の私には、きつい筋トレほど罪の償いができるという気がした。


そうして、三十分。腕も足も筋肉がけいれんをして思い通りに動かなくなりそうになった時、ようやく兄上の筋トレが終了した。私も、もう少し頑張ろうかと思ったけれど、酸欠なのか意識が朦朧としてきて、兄上に止められてしまった。なんて情けないんだ。


息を整え、汗を拭き、水分を取って動けるようになるまで、さらに三十分。


ようやく、話ができるようになった。


「鍛えるのと自分を痛めつけるのは違うんだよ。兄さまに何でも言ってごらん。困ったことがあったら一緒に考えてあげるから。大丈夫だよ。私が何とかしてあげるよ。」


「私は、マリーベル嬢を…」


「兄さまはわかっているよ。ちゃんと言えないんだろう?最近のレオンを見ていたら分かったよ。私はレオンのことだったら何でも分かるからね!ん~……だったら私が質問するから肯定するときは頷く。否定するときは首を振るんだ。いいね。」


私は、すぐに頷いた。


「レオンはマリーベル嬢のことが好きかい?」


私は、ストレートに聞かれるとちょっと恥ずかしかったけど、素直に小さく頷いた。


「では、好きなのに嫌われてしまうようなことを言ってしまった?」


兄上はどうして私の気持ちがわかるんだろうか?本当にその通りなので、また頷く。


「このままでは、マリーベル嬢に嫌われてしまうのが怖いんだね。」


事実だけに悲しくなってきた。視線を下げて頷いた。


「これからは、好かれる努力をしたいということかな?」


そうだ。まだあきらめるわけにはいかないんだ。あんな悪口のようなことを言ってしまったんだ。傷ついて嫌われてしまったかもしれない。いや。完全に嫌われているだろう。もう考えただけで、落ち込んでくる。でも、このままでは絶対後悔する。嫌われたのなら、少しでも好かれる努力をしていかなければならない。


私は、顔を上げ、兄上の目を見てしっかりと頷いた。


「確認するけど、どうしても素直な気持ちは言えないのかい?」


そうなんだ。呪いの影響できちんと伝えられない。呪いがあることも言えない。兄さまは私のこの状況をどうして理解してくれているのか分からないけど…素直な気持ちは言えないことは分かっている。だから、私は一つため息をついてから頷いた。


「そうか。兄さまがどうしてレオンのことがある程度分かるか不思議かい?」


私もそこが気になっていたから、大きく頷いた。


「それはね。かわいい弟のことをいつも見ていたから、言葉がなくても、レオンの表情や態度で考えていることはある程度分かるんだよ。」


「―――だからね。マリーベル嬢と会ったときには、今まで以上に表情や態度、しぐさで思いやってあげるんだよ。もちろん、今までの悪かった言葉を償う気持ちも必要だけどね。出来るかい?」


確かに、言葉は気持ちと反対の言葉が出てしまうけれど、表情や態度では好意を表せるかもしれない。分かってもらえるかわからないけど、分かってもらえるまで頑張りたい。マリーベル嬢をあきらめたくないから……そうだ!私はあきらめたくないんだ。


だったらやるしかない!私は覚悟を決めた。後悔しない為にも。




~~ ◇ ~~



第一王子アレクシスside


私にはかわいい弟レオンハルトがいる。


レオンは、小さい時に自分の言った言葉を誤解されたことによって口下手になってしまった。そんなレオンでも、私にとっては些細なことだ。レオンがかわいいのには変わりがない。だから、なるべくレオンと会話をする機会を設けた。そうしていくうちにレオンの表情や態度、しぐさからある程度の言いたいことが分かるようになった。それでも、全てを把握できるわけではない。分からなくて助けてあげることができないことも数多くあった。


しかし、そんな私にも転機が訪れる。


十五歳。私にギフトが贈られた。私は神に感謝した。


なぜなら、そのギフトは……


―――「先読み」だったからだ。


未来に大きく影響を与えない為か思った人物のちょっとした先のことだけだが……

私は、今までに何度もレオンの言動の先読みを行ってきた。だから、レオンのことがより分かるようになったのだ。


しかし、その反面。厄介なのは呪いだ。


私の呪いは、先読みをしたらその後千回位、何かしらの筋トレをしなければならないのだ。


初めて先読みをした時には、あまりの苦しさにもう二度と先読みはしまいと思ってしまったほどだった。数日は筋肉痛でほとんど動くことができなかった。


それでも、どうしてもレオンのことを知りたくて魔法を使ってしまう。


そうして、私は最近、筋トレが少し楽しいと思う域まで達することができた。


今、レオンは大好きなマリーベル嬢のために一生懸命になっている。前にやった先読みでレオンがマリーベル嬢のために魔法を使ったことまでは知っている。それでも、レオンの呪いがなんだかは分からない。今までのレオンの言動を見ると、どうも自分の思いをきちんと言えないのではないかと当たりを付けている。


だから私は今日もレオンのために先読みをする。毎日筋トレをしながら。


何でも協力するから、兄さまに相談するんだぞ。


レオン頑張れ!




読んでいただけて、光栄です。

それを励みに頑張ります。

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