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11 悲しいお茶会



次のお茶会に向けて、マンゴーの入ったお菓子を考えるべくリリアと頑張った。


「お嬢様。ドライマンゴーを入れたパウンドケーキやクッキーなどはいかがでしょうか?もし、よろしければ料理長に声をかけてきます。」


「リリアはいろいろ知っていてすごいわね。それを作ってみましょう。だけど、私でも作れるかしら?」


「お嬢様が作ったものであれば、たとえ石のように硬くても、焦げて苦くてもきっと喜んでいただけますよ。まあ、私もついているので失敗なんてさせませんけどね!」


「まあ、リリアったら。恥ずかしいからそんなもの持っていかないわよ。そんなもの持っていったら、ますます嫌われちゃうわ。」


そう言って、私たちはパウンドケーキとクッキー作りに挑戦し始めた。


最初は、ちょっと焼きすぎてしまったり、形が悪かったりしたけど、リリアと料理長のおかげでだんだんと上手にできるようになってきた。


練習したものは、責任をもって私とリリアで食べようかと思っていたのだけど、そうはならなかった。お父様、お母様、それにお兄様まで私の作ったものが食べたいと言い出したからだ。


「うちのベルはいつの間にこんなにおいしいお菓子を作れるようになったんだい?」


「本当にね。ベルはすごいわ。すごくおいしいもの。」


「ベルは天才だな。本当に努力家で自慢の妹だよ。殿下に食べさせるのはもったいないな。」


家族からは大絶賛で、これからも時々は私の手作りのものが食べたいとリクエストをいただいた。私も喜んでもらえると嬉しくなって、入れるものを変えて作ってみようかなどと意欲がわいてきてしまった。


そうしているうちに、レオンハルト様からは、今度は青色に上品な白いレースのついた素敵なワンピースが届いた。

口では仕方ないなんて言っていたけど、いつも私の好みに合ったものを贈ってくださっている。

それでも、「似合ってない」って言われるのは本当に堪える。きっとレオンハルト様の理想にはほど遠いんだろうな…少しでも気に入ってもらえるようにお菓子作り頑張ろう!


そうして、何度も練習して、自分でも納得できるお菓子が作れるようになった。



次のお茶会―――


また、レオンハルト様に贈っていただいた青色のワンピースを着てお茶会に臨んだ。


「似合ってな…ごほっごほっ…ごほっごほっ。」


顔を真っ赤にされて、急にせき込むレオンハルト様。今回は自信があったのにな。家族みんなにも褒められていただけに、悲しくなってくる。

いけない!お茶会の席だった。

私は気を取り直して、頑張って作ってきたお菓子をレオンハルト様にお渡しする。


「前回、レオンハルト様がお好きだとおっしゃったので、マンゴーを使ったお菓子を持ってまいりました。ドライマンゴーを使ったパウンドケーキとクッキーです。何度か練習して手作りしてみました。お口に合うと嬉しいのですが。」


そう言って、バスケットにきれいに並べたお菓子の説明をした。

レオンハルト様は、侍従の方がお毒見をしようとするのを止めて、嬉しそうにお菓子を眺めた。そして、お皿に盛られたパウンドケーキからゆっくりと味わうように食べてくださった。


「あ~。さいあ…ぐはっ。」


レオンハルト様は食べ終えた後に、満足そうな顔をされ、そうおっしゃった。

さいあ?さいあく?あ~、駄目だった。


「申し訳ありません。王家の方に手作りのものなんて…すべて捨ててくださって構いません。」


私は、悲しくなってそれだけ言うのに精いっぱいだった。目の表面に涙の膜が浮かんでいく。

人前で涙なんて、いけない。そう思った私は、


「少し、体調がすぐれませんので…今日は、これで失礼いたします。」


そう言って、リリアを連れていつもの馬車乗り場まで急いで移動してしまった。こんなことでせっかくのお茶会を抜け出してしまって、私はレオンハルト様の婚約者失格かもしれない。リリアが小さな声でぶつぶつと文句を言っているが、今は注意する余裕もない。


私は、馬車が来るまで、心を落ち着けようとした。リリアが私の手を強く握ってくれ、それだけで味方がいることが分かり、どうにか涙を抑え込むことができた。


そうして、馬車の中。


「あんの、バカ王子!私の大事なマリーベルお嬢様を泣かせるなんて。万死に値する!」


―――はぁぁぁぁ~~~


「私は大丈夫よ。リリアがついていてくれるもの。それより、お茶会は大丈夫だったかしら?」


「こっちが大丈夫じゃないですって。もうこっちから願い下げですって。お嬢様!こうなったら婚約破棄ですよ。あんな朴念仁にお嬢様はもったいなさすぎます。」


―――くっっ


「きっと私が至らないのよ。」


「そんなことありませんって。百パーあっちが悪いんです!本当は死ぬほどうれしいくせに、気をひきたいからって…もう勘弁なりません。旦那様にチクってしまいましょう。」


―――うっっ



私は悩んだけれど、このままでは次のお茶会に顔を出しづらい。


これから、婚約者としてレオンハルト様に認めていただける自信もない。


そこで、帰ってきた私は家族がそろう食事の席で少しお茶会のことを相談することにしたのだった。



いつも、お読みいただきありがとうございます。

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