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お題 「髪の毛・ラムネ・コップ」 3

ラムネの泡が浮かんでは消えていく。


夏祭りの夜、僕は片思いの君を夏祭りに誘った。

二人きりの夏祭りとはならず、腐れ縁の友達も二人無駄についてきている。

僕、君、けんじ、ちえ。僕達は何をするのも一緒だった。けんじはホラー映画が好きで、よく君は嫌がって半泣きで見ていたよね。空気の読めないけんじが自分勝手な行動をする度に僕らは困りながらも一緒に楽しんだ。


だけど、僕はこの関係が辛くなってしまった。



お祭りの喧騒の中、いつもと違って結ってまとめた髪型の君を見て心が浮つく。


僕の為に結ったわけではないくらい想像がつく。だけれども、僕だけのものにしたいと思うのは仕方ない事だろう。


四人で歩くのは今年で最後。来年からは別々の道を歩く。僕は小説家になりたいから、早稲田に進む。最も小説家が多い大学だ。けんじは、親の農家を継ぐらしい。ちえは水族館で働く夢を叶えて、少し離れた神奈川に行く。そして君は、この地元で小さな企業のOLとなるそうだ。


一緒に東京にいこう。何度言いかけたことか。しかし、終に僕の口から出る事はなかった。


みんなで射的をやって、金魚を掬って、綿菓子や焼きそばをついばみつつ、僕らは夏の終わりを告げる輝かしい空の花束の残骸を見つめた。


「あー、ごめん。ちょっとお手洗いに行きたい!家に帰る前に漏れちゃいそう」


ちえが慌ただしく言うと、仕方なさげにけんじが夜だからとついていく。


僕たちは二人きりとなり、会話がふと止まった。僕は最後の勇気を振り絞り、君に聞いてみることにした。僕と付き合ってくれませんか?と。


「あ、私けんじと先週から付き合い始めたんだ。言ってなくてごめんねだから…」

僕の恋ははじけて消えてしまったのだ。







「もう嫌だ、貴方ったらまた私と付き合わずに別れた小説書いてらっしゃるんですね」

「僕の恋愛経験は君だけだ。だから仕方ないとは思わないかい?しかも叶ってしまった恋ではもう読者は飽きてしまうんだよ」


僕は十七度目の最愛の君との失恋小説を書いている。手元のグラスにはビールの泡が残っていた。これは、はじけて消えてはいない。

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