1 悪魔降臨
「依頼だ」
上司の黒川 康平が耳元で囁く。康平に差し出された封筒には黒木 涼、すなわち自分の名前が達筆で書かれていた。涼は紺のスーツで康平は灰色のスーツを着ていた。
二人はセールスの仕事をしていた。どちらも誇りを持っていて、定年まで続けるつもりだった。
しかし、本当の理由は“狩り”をするためだった。狩りとは人間を狩ることで、悪者を標的としている。サイトで依頼を待っているが何度もアクセスをしてきていてパンクしそうになった。
狩りは主に康平が計画を立ててくれる。涼はスパイのように暗殺するだけでいいのだ。康平は戦闘に参加せず見張り、無線は康平がすべてやってくれる。数々のコンビネーションで何度も危機を駆け抜けてきたのだ。
「ところでこの依頼、妙だな」
差し出された封筒の中身を見て、涼が呟く。
「ああ、俺も思った。明日は楽しいパーティーになりそうだ」
涼と康平が引きつった笑みを浮かべ、涼はノートパソコンを開いた。
「悪魔が敵となると、かなりの人員が必要になるかもな……」
「いや、俺たちだけでやるんだ」
康平はそう言うと社長に呼び出された。セールスの仕事が来たのだろう。
涼は暇になったので手紙を見直した。
“私は悪魔に呪われています。助けてください。場所は……”
唐突な要求が書いてあった。依頼の目的とははずれてるが、「悪魔」という所に惹かれてやってみたくなったのだ。
数分後、康平が戻ってきた。近くの椅子に座り、目があった。真剣そうな顔つきで何かを話そうとしている。
「どうしたんだ?」
「実は……依頼を頼んできた人物が死んだ。原因は窒息死らしい」
「事件か?」
とっさにノートパソコンを開き、起動する。
「らしい。だが外傷は見られない。しかし事故にしては不自然すぎる」
「同感だ」
「被害者の名前は藤堂 光。毎日家の中の異変に悩まされていたらしい。本当に悪魔はいるかもしれない」
重い空気が辺りを漂う。その刹那、涼が口を開いた。
「まずは行ってみよう。なにか分かるかもしれない」
起動しかけたパソコンを閉じた。




