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現物を見てみよう

 午前九時半、西口時計台駐車場で。

 GRカローラは楽々と坂を上っていく。

「400ニュートンメートルのトルクは伊達じゃないね」

 さっき桑元さんからメールが届いた。三階フロアに停めたらしい。

「とりあえず一周してみよっか」

「あとでガソリン代払うから…」

「いいのいいの。気にしないで」

 すると、見覚えのある人が立っていた。

「……」

 それは桑元さんだった。お姉ちゃんが運転するGRカローラを見て唖然としていた。

「おはよう、待った?」

「え…GR?マジ?」

「お姉ちゃんのマイカー」

「かなで、終わったら連絡して。私はフォーラスでぶらぶらしてるから」

「は~い」

 GRカローラは上のフロアへ上がっていった。

「で、これが後期型のカローラスポーツ?」

 僕の目の前には真っ白なカローラスポーツが停められていた。確かに、僕が乗っていたものとはデザインが違っていた。目力が強いというか。

「ああ、レンタルしてきた。せっかくだから乗ってみろよ。試乗は大切だからな」

 桑元さんにそう言われたので、僕は運転席に座った。

 運転席から見える範囲は広く、視界は良好。ただ、ナビの頂点の位置が高いので、そこが死角となってしまう。これは前期型でも同じだった。そこが不満点ではある。

 ステアリングのスイッチはそのまま。ここは僕としては使いやすくて満足している。

 インフォメーションディスプレイは12.3インチに拡大されていた。『最上位のグレードだから』と桑元さんは教えてくれた。一つ下のグレードだと7インチになり、一番下のグレードではアナログメーターになるのだとか。

 このカローラスポーツには『カラーヘッドアップディスプレイ』というものが装着されていた。メーカーオプションだから付ける付けないは自由だと言われた。インフォメーションディスプレイに視線を移すのよりも、こっちの方が安全な気がする。

 ナビのサイズは10.5インチ。それなりに大きい。

 ステアリングヒーターとシートヒーターは前期型には付いていなかった。雪国の石川ではありがたい。

 シートはファブリック素材でできていた。これもまたオプションで本革にできるけど、僕はファブリック素材の方がいい。

 そういえば、軽のエアコンって左右独立してないよね…。

「内装の確認は済んだか?」

「確認できたよ」

「なら、次は走るか」


 駐車場の枠から出る時はモーターが仕事をしていた。音もなく(モーターが回る音はするけど)動き出すとか忍者かよ…ニンジャー!

 某フランスの映画でこの掛け声をしていたのを思い出してしまった。

 ドライブモードはノーマル。これでも走りはいいのに、スポーツモードなんかにしてしまったらキビキビと走り出すだろう。

「このグレードには、『先読み減速支援』ってものがあるんだ。減速行動を先読みして、エネルギー効率のいい減速をサポートするんだとさ」

「そういう知識って、やっぱり取材してるから知ってるの?」

「いや、ウェブのカタログを読むのが趣味になってる」

 下り坂でバッテリーの充電量を見てみると、目盛が増加した。回生ブレーキが作動してるんだ。

「今は街中だからストップ&ゴーが多いが…かなでが住む場所だったらどうなんだ?」

「山道だよ。四人乗車の軽じゃ非力すぎてエンジンが唸るくらいに」

 登りはするけど『燃費が~』って嘆く人はいそうだ。

「…やっぱりカローラスポーツしかないかな」

「おいおい、他の車は見なくていいのか?」

「こういうのって直感と即決が大事じゃん?迷ってる間にフルモデルチェンジしちゃう可能性だってあるし」

「登場して年数は経ってるからなぁ…」

「これレンタカーでしょ?返したらディーラー行ってみようよ」

「はいはい」

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