EF81・連結
津幡駅は四番線まであり、一番線が金沢・福井方面、二番線が汎用、三番線が富山方面、四番線が七尾方面となっている(僕が勝手にそう思っているだけである)。
だから二番線はほぼ仕事がない。そう言ってもいいくらいだ。でも今日は違う。
「ほ、本当にEF81……!」
「夢でも見てるんかな」
津幡駅で列車を待っている乗客は必ず二度見していく。駅員の場合は三度見が最多だった。
「三時台だと07分、19分、32分に金沢行きの列車が来るから、多分その後の15時40分頃に動かせるんじゃないかな?」
「そこしか隙間はありませんものね」
「あの、よろしいでしょうか?」
EF81の前面を眺めながら話していると、津幡駅の駅員が話しかけてきた。
「上からの指令で、32分の金沢行きが発車して信号が青になり次第、車両所に向かってほしいとのことです」
「了解しました」
これでEF81を動かす目途が立った。
『まもなく、一番線に、列車が参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください』
津幡駅の接近メロディが流れ始めた。07分のAK普通列車が来たようだ。
ここで問題が発生。
「え!?ブレーキ不可!?」
不具合でブレーキの空気圧が足らず、安全に停車できない可能性があるらしい。今は回生ブレーキのおかげで停まれているが、普段よりも数メートルはオーバーランしている。加速ができても減速が出来なければ、ただの高速移動する鉄の塊だ。
「でも後ろの二両は……」
「あっちもなんですよ……!」
「 ま じ か よ 」
さて、どうするか。一番線も二番線も埋まってしまっている。三番線、四番線は反対側から来るからさすがに無理だ。
「EF81を使いましょう」
ミズハがそう提議してきた。
「……そっか!双頭連結器だからいける!」
「運の良いことに、今は密着連結器が前に出ています。連結器を切り替える手間がかかりません」
「ち、ちょっと連絡してみます!」
大慌てで駅員は電話をかけ始めた。
僕は521の先頭車両に向かい、いつでもカバーを取り外せるように待機した。
「許可、出ました!」
「了解。ミズハ、前に出て停止、その後ポイント切り替えで一番線に入ってきて。OK?」
「了解です」
僕は早速、連結器のカバーを取り外した。乗客には悪いけれど、19分に来る列車に乗ってもらうしかない。
連結を目視で確認するのは僕とAKの運転士、車掌だ。
「ミズハ、聞こえる?」
『はい、感度良好です』
「3メートル手前まで進んで」
『復唱、3メートル手前まで進行』
ゆっくりとEF81は一番線に入ってきた。
「もう少し……もう少し……止まれ止まれ」
ミズハは3メートル手前までEF81を動かした。本当にピッタリだった。
「連結準備するから待機」
『了解、待機』
EF81の連結器が密着連結器で固定されているか、521側に問題はないか、などなど……全て確認し終え、ミズハに指示を出す。
「間際まで進んで」
『復唱、当たり際まで進行』
「前……前……ヤワ、ヤワ……止まれ止まれ。連結位置を確認するから待機」
『了解』
ここで正しい位置にないと連結器を破損してしまう。
位置は……よし。
「連結~連結~」
『復唱、連結』
「ちょい前、ちょい前、止まれ止まれ」
ガコンッ!
521の連結器とEF81の連結器がうまく嚙み合った。ここでEF81が前に動こうとしても521の重さで動けないはずだ。
「連結確認するから、EF81を前に動かして」
『復唱、前進』
ちゃんと連結されているようで、EF81が前に動こうとしても動かなかった
「連結を確認」
『了解、ブレーキ試験開始』
その後、五分くらいかけてブレーキ試験を行った。何も問題はなかった。
「じゃあ、このまま車両所まで運びます」
「本当に、ご迷惑をおかけします…」
「大丈夫ですよ。後で後ろの子たちに声かけておきますから」
「……?」
「マスター、発車しますよ」
「了解。それではまた」
四両編成の521と繋がったEF81は津幡駅を後にした。




