03系に会いに行く・2
「おお……」
車庫の中では浅野川線の廃材が販売されていたり、ジオラマが置かれていたり……そして台車が普通に置かれていた。僕としてはこれが一番嬉しかった。だって台車なんて、普段は上に車体が乗った状態でしか見られないからね。
余談だけど、加速度は521よりも高い3.3 km/h/sである。一秒で時速3.3 kmに達するのだ。
そして当たり前のようにうちも物販販売をしていた。
改めてじっくり見たけれど、うちってこんなもの販売してたんだなぁ……。金沢駅で見られるサンプル以外のものまであった。
「……!?」
僕の目線は一つのタオルに集中した。
まさかHF、IR、AK、三社の521が連結して六両編成になっているとは。
運転台に主電動機が動いているかが分かるランプがあるけれど、それは五つまで対応している。だから十両編成にしようと思えばできる。このタオルの六両編成はありえない話ではない。
……いくつかの駅はホームの長さが足りないだろうけど。
「これは買うとして……あとはクリアファイルとキーホルダー…」
「実は今、残り一点のものがありまして」
売り子の社員が話しかけてきた。僕よりも長く勤めている女性だった。
さすがに気付くかな……と思っていたけど、なぜか気付かれなかった。まあ、人数はいるし。
「これです。森本駅の時刻表」
「ブフッ」
思わず吹いた。そんなものがあるのか。
しかもそれが『残り一点』と言っていたから、さっきまでは他にもあったんだろう。熱心なファンがいるんだな。
「これいつの時刻表なんですか?」
「え~と、2024年3月のものですね」
「あ~、あのときのダイヤ改正で……いや、いらないです」
僕に時刻表を集める趣味はない。というわけで、タオル、521のキーホルダー、クリアファイルを購入した。3000円でお釣りが帰ってきた。
「こちら、1000円以上お買い上げいただいた方に配っているカードです」
「どうも」
ICカードサイズのカードをもらった。そこには緑豊かな風景を赤帯の521が颯爽と走っていた。
赤帯ということは3次車。41、42、43、56のどれか。けれどここまで縮小されていたら特定しようがない。ひとまずは四択だ。
『緑豊か』はかなりのヒントとなる。うちの区間は『大聖寺 ー 倶利伽羅』で、金沢駅よりも西側、福井方面にはそんな場所はない。そして金沢駅から東側、富山方面なら心当たりがある……『津幡 ー 倶利伽羅』間だ。さすがに富山の区間に入ることはないだろう。
しかも用水路らしきものまで見えている。用水路は津幡駅辺りから富山方面に向かって伸びているのでほぼ確定だ。
特定。
「『津幡駅から倶利伽羅駅』の間を走っている
『41、42、43、56』を撮影した
『走行写真』なのかも?
多分それであってるはず……!」
「へ、へえ~……そうなんですね。お詳しいんですね」
「もちろんです。プロですから」
ちょっと引いていた。
そのまま袋を提げて03系129を見に行った。03系の下は空間があり、そこから点検をするんだろう。うちの車庫も同じだけれども。
車庫の前では、浅野川線で使われていた連絡用電話の体験ができた。
「一回、三回、一回、三回とハンドルを回すと、この三番の電話に連絡ができます」
僕は一番の受話器を手に取り、駅員さんに言われた通りにハンドルを回した。紙にはモールス信号のように『・ー・ー』と書かれていた。『・』が一回で、『ー』が三回だ。
「もしもし?」
「こちら三番、聞こえています」
「こちら一番、聞こえています」
「こんな感じで通話ができます」
この仕組みを説明してもらったけれど、あんまり覚えてない……。
「体験してもらったので、どちらか選んでください」
駅員さんは二つのキーホルダーを見せてくれた。一つが石川線の『7000系』、そしてもう一つが『03系』だった。
「いや~、ここは03系でしょう!」
「実物があるからですか?」
「それもなんですけど、ここって浅野川線じゃないですか」
「……それもそうですね」
僕は03系のキーホルダーを受け取った。
これを言ってしまったらオシマイだろうけど……キーホルダーのサイズなのに画質が荒い()
ちなみに作者も脳を焼かれた一人です。




