飛騨高山・3
時刻はいつの間にか正午。HC85系の発車に満足した僕たちは、適当に飲食店を見つけることにした。
飛騨牛も良い。良いんだけど…。
「…行列ばっかり」
「正午ですから」
店の前の行列には制服姿の生徒たちも見受けられた。それも合わさっていることで列が長くなっている気がする。
「…マスター、ここはどうでしょうか」
ミズハが示したのはとある麵処だった。
…悪くはなさそうだった。ということで、入ってみることにした。
「いらっしゃいませ~。空いてる席にどうぞ~」
二人掛けの席に座り、店内を見回してみる。
見た感じ、親子で営業しているみたいだ。入り口に狸の置物が置かれている。
「マスターはどれにしますか?」
「ん~……中華そば」
「分かりました。では私は他人丼にします」
へえ、ミズハって普通に食事できるのか…。
ちなみに他人丼とは、鶏肉と鶏卵を使う『親子丼』に対して、鶏肉以外の肉…主に牛肉や豚肉と鶏卵を割下で煮て、ご飯の上に載せた日本発祥の丼物、らしい。知らなかった…。
「二人で切り盛りしているので、お時間少々頂きます」
「あ、はい、分かりました」
ここは仕方がない。待つとしよう。
メニューは今どきだからか、英語でも書かれていた。
思い出してみれば、『ひだ』も外国人観光客が大勢乗っていた。やっぱりインバウンドだろうか。
「お待たせしました」
…案外早かった。五分も経ったのかな?
目の前に中華そばと他人丼が並べられた。
「…では」
「いただきます」
僕らはアニメの登場人物たちみたいに語彙力があるわけじゃない。だから一言しか言えない。
美味しいです。
ビックリなのは、中華そばが900円、他人丼が1,000だということ。二人で割り勘すれば950円。1,000円を切ってるのだから安い方だと思う。
「…意外といい店を見つけましたね」
「全部ミズハのお手柄だけどね…」
「どんどん褒めてください」
スープも飲めるだけ飲んでみたかった。けど熱かったから無理でした。




