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7-3

リフィリア王国の騎士団とギルドの連合軍は、セトの合図で一斉に突撃を開始した。総勢2000人の兵士が東城高校を目指す。目的は、ローデンの拘束と、リフィリア王国を狙う兵器の破壊だ。全ては祖国を守るための戦いだった。


一方、ルイーザ探検隊のメンバーたちは、囚われているリフィリア王国の人々を探して校内を巡っていた。


「ねえジュン、囚人たちがどこにいるか分かるの?」

「いや、分からん」

「え?」

「そもそも、これ、自分の知ってる母校じゃないんだが」


ジュンが困ったように言うのも無理はない。世界の改変が起きてからまだ数ヶ月しか経っていないが、久々に訪れた母校は全く別物に変わり果てていた。かつての東城高校は、今や監獄のような要塞と化している。


「まあ、分からないなら仕方ないわね。片っ端から調べてみようか」

「やれやれ、ルイーザのその前向きさ、ちょっと羨ましいよ」


3人は校内を手分けして調査を始めた。内部にはモンスターがうろついているものの、ローデンの仲間たちはほとんどがリフィリア王国の連合軍を迎え撃つために配置されているらしく、怪しまれることなく探索を続けられた。


しばらくして、3人は一際目を引く扉を発見した。その扉は、他のどれとも異なる重厚な造りで、前には見張りが2人立っていた。


「これ、絶対怪しいわね」

「ジュン、どうするの?」ウェンディが尋ねる。

「普通ならワッフルに突撃させるところだけど、目立ちすぎるから置いてきたしなぁ」


探検隊のマスコット的存在であるワッフルは、舟堀タワーでの作戦妨害がローデン側に知れているため、今回は温存されていた。


「なら、これを使うか」ジュンは懐からファランから奪ったカードキーを取り出した。

「それ、どうするの?」

「味方のフリをして近づくんだ。このカードキーがあれば、向こうは僕を仲間だと思うだろう」

「……都合良くいくかなぁ。不安なんだけど」ウェンディは心配そうに呟いた。


ジュンは軽く肩をすくめると、何気ない顔で見張りの2人に近づいていった。


「おい、お前は誰だ!」

「ん?」ジュンはとぼけた表情を浮かべる。

「いや、お前だよ! こんなところで何してる?」

「いやぁ、敵を追いかけてたら、いつの間にかここに来ちゃってさ」


見張りの1人が、ジュンの首から下がっているカードキーに気づいた。


「ああ、お前こっち側の人間か。悪いが、ここには誰もいないぞ」

「そうか、それは残念だ。じゃあ、戻る道を教えてくれ」

「メインの戦場ならあっちだ」


見張りがジュンの後方を指差した瞬間、ルイーザが構えていた弓が火を吹いた。見張りの2人は矢に射られ、その場で崩れ落ちた。


「……えっ、こんなに簡単に上手くいくなんて」ウェンディが驚きながらも呆れた声を漏らす。

「作戦成功ね!」ルイーザが満足げに笑う。


ジュンは倒れた見張りを見下ろし、首を傾げた。

「ところで、なんでこいつら眠ったんだ?」

「ああ、矢に眠り薬を塗ったのよ。私、医者だからそういうものを常備してるの」

「なるほど……」


ジュンは感心したように頷いた。

やっぱりウェンディって、いろんな意味で頼もしいな……

彼はそう思わずにはいられなかった。

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