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ファランとの戦いに勝利したジュンたちは、カードキーを手に入れて鶴小島の街の門を開けることに成功した。一方、ケンもモンスターの集団を全て倒し、これでこの戦いは囚人側の勝利となったのだった。
その後、門の外で待機していたリフィリア王国の騎士団やギルドの実力者たちが次々と街へと突入。この瞬間、鶴小島の街を奪還する作戦が本格的に始動した。
その功労者であるルイーザ探検隊のメンバーたちは、全員疲労困憊だった。
「はぁ、疲れたなぁ」
「ジュン、あれだけのダメージを受けて、よく“疲れた”で済むわね」
ジュンを回復させながら、ウェンディは彼の頑丈さに驚きつつも呆れた表情を見せる。
「ねえ、みんな!いよいよ騎士団やギルドの人たちが動き始めたみたいだよ!」
目指すは東城高校。ジュンの母校でもあるその場所には、今回の騒動の中心人物ローデンがいる。彼を捕らえるか、倒すことができれば、この一連の騒乱は終息するだろう。
「リフィリア王国最強の騎士団長、セトさんに任せておけば、もう安心ね」
「だといいけど……」
ルイーザの表情には不安が浮かんでいた。それもそのはずだ。ジュンとルイーザは舟堀タワーでローデンと一度対峙しており、その実力を知っているからこそ慎重にならざるを得ない。
「2人とも!ローデンと戦おうなんて考えちゃダメだよ!」
「わ、分かってるよ。僕らだってそこまで無茶するつもりはないから」
「ジュンの言う通りよ。それに、あいつ……まだ別の力を隠してそうだし」
ルイーザがそう呟く。ローデンには様々なひどい目に遭わされたが、それでも、あれが全力だったとは到底思えない。可能なら、戦うのは避けたい相手だ。
「まあ、彼と直接戦うことはないにしても、僕はこの作戦には最後まで関わりたいと思っているよ」
「確かに、こんな状況で私たちが引き下がったとしても、国の危機であることに変わりはないわね。だったら、せめて近いところで間接的にでも手助けできることはしたいわ。でも何度も言うけど、無茶な戦いは絶対に禁止。それが条件よ。それを守るなら、ここに残ることを許すわ」
「分かったよ。ありがとう、ウェンディ」
セト騎士団長を先頭に、騎士団は東城高校を目指して進軍を開始した。
東城高校は全校生徒1500人ほどが通う大規模な学校だ。その広さも、この街を占拠するには最適な拠点として機能する。ここを陥落させるのは、容易ではないだろう。
もう一つ気がかりなのは、ヒロたち先行部隊の安否だ。彼らが向かったエリアには反乱の可能性がある囚人たちが囚われている。彼らがどういう扱いを受けているのか、無事に救出できるのか、心配は尽きない。
「ローデンとは戦わなくても、囚われている人たちを助けることで、私たちもこの作戦に貢献できるはずだ」
探検隊のメンバーたちは、そう考えを共有し合いながら次の行動を見据えた。




