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「忠告は聞きますよ。」
「ふん。」
そう言い残し、ギガロはローデンの前から姿を消した。
静けさを取り戻した部屋で、ローデンは独り考えた。
「なぜでしょうね。舟堀タワーで戦ったあの二人のことが頭をよぎるのは……。妙に嫌な予感がします。」
あの時、徹底的に叩きのめしたはずだ。戦力としてはもはや機能しないほどに。
だが、ファランを倒した相手が“ルイーザ探検隊”と聞いた時、内心驚きを隠せなかった。
「油断などしませんよ。少なくともギガロ、あなたのようにはね。」
ローデンはギガロに対して複雑な感情を抱いていた。組織の幹部としては自分が先輩だ。だが、世界改変という大仕事を成し遂げたギガロの功績は計り知れない。彼は幹部の中でもいずれトップに君臨するだろう。それがローデンには面白くない。
このままでは、いずれ頭を下げる立場になりかねない。だが、そんな感情に振り回されるのは愚かだ。まずは自分の任務を成し遂げることが最優先。
今回のリフィリア王国における作戦は、本来ギガロの部下が担当していた。しかしその失敗を受け、尻拭いをすることでギガロに恩を売る。それがローデンの狙いだった。
舟堀タワーの戦いではクルールに完膚なきまでに叩きのめされ、さらにレーザー砲も破壊されるという手痛い結果に終わった。だが別の場所で進行中のレーザー砲製作計画がある。いずれそれを完成させ、リフィリア王国を壊滅させれば功績はすべて自分のものになる。
「計画に狂いはない。ここに現れるのはおそらくセト騎士団長だろう。彼さえ排除すれば問題はない。」
そう自分に言い聞かせるものの、胸の奥のモヤモヤは消えなかった。
ローデンは頭を抱えたが、その正体を突き止めることはできなかった。
その時、部下が慌ただしく部屋に駆け込んでくる。
「報告します!リフィリア王国の騎士団とギルドの者たちが、ここに攻め込んできています!」
「なるほど……。ファランが敗れたことで、奴らが街への進入を果たしたというわけか。」
だが、ローデンは焦らなかった。ここは難攻不落の要塞。そう簡単に陥落するものではない。それに兵器はまもなく完成する。完成さえすれば、発射するだけで勝利は確実だ。
「だが、万が一に備えるのも悪くないか……。」
ローデンが思案していると、別の人物が部屋に入ってきた。
「よぉ。大変そうだな。オレ様が出張ってやってもいいんだぜ?」
その男は痩せた大柄な体格で、身長は軽く2メートルを超えていそうだった。
彼を味方につけるのがローデンの任務の一つであり、それはすでに達成済みだった。
「まだここにいたのですか。例の場所に向かってくれて構いませんよ。今回は出番はありませんので。」
「そうかい。それなら俺は何もしないぜ。」
「ええ、それで結構です。さっさと行ってください。」
そう言い放ち、ローデンは男を部屋から追い出した。
「初めから全力を出すべきかもしれませんね……。」
ローデンは部下に向けて命じた。
「この要塞を死守しろ。そして、例の兵器を急いで完成させるのだ。」
「承知しました!」
部下は一礼し、急ぎ部屋を出ていく。
ローデンは静かに拳を握りしめた。
「来るなら来なさい。いかに絶望的な状況か、この私が存分に教えてあげましょう。」
もうすぐ、この街では熾烈な戦いが繰り広げられるだろう。




