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6-10

建物の頂上は、ただ広いだけで何もない場所だ。その中央に立つファランは、背を向けていたが、3人の足音に気づくとゆっくりと振り返った。


「お前たちのことは忘れていないぞ。以前、クルールと一緒にタワーに乗り込んできて、俺たちの計画をめちゃくちゃにした二人だな。ローデン様に倒されたと思っていたが、まさか生きていたとはな。」


ファランの声には冷たい怒りが込められていた。ジュンとルイーザは言葉を返さず、彼の視線を受け止めた。

彼から感じるのは苛立ちと憎しみだった。以前、クルールによって自分の計画が阻止され、その上でローデンに計画を乗っ取られたことへの屈辱。その復讐心が彼を燃え上がらせている。


「クルールには手が届かなかったが、お前たちにはこの俺の手で決着をつけてやる!」

ファランの目が鋭く光り、彼はジュンたちに向かって突進してきた。


「防御壁!」

ウェンディがとっさに魔法を発動し、透明なバリアを作り出す。ファランの一撃はその壁にぶつかり、衝撃が響いたが、なんとか防ぐことに成功した。


「ほう、魔法使いがいたか。だが、これでどうだ?」

ファランはバリアのない方向からすばやく回り込み、ウェンディを狙う。


「させるか!」

ジュンは剣を構え、間一髪で攻撃を受け止めた。しかし、ファランの力は凄まじく、ジュンは衝撃で大きく吹き飛ばされ、床に転がる。


「ジュン!」

「くっ…大丈夫だ、平気だよ。」

ジュンは辛うじて立ち上がり、剣を握り直した。


「ほう、俺の攻撃を二度も防ぐとはな。だが、その様子では長く持つまい。」

ファランは不敵な笑みを浮かべながら、剣を構えるジュンを見下ろした。


「ちっ、あいつ、余裕ぶってるな…」

ウェンディが悔しげに呟く。


ルイーザも冷静に戦況を観察していたが、今のところファランの隙を見つけられずにいた。

「…どうしよう。何か手がかりがないと、このままじゃ…!」


「当然だ。この俺はギガロ様の配下、ナンバーズの一人、ファランだ。お前たちのような雑魚に敗れるわけがない!」

ファランは誇らしげに言い放つ。


「くそっ!」

ジュンは怒りを込めて剣を振るうが、ファランには軽々とかわされる。元々ジュンの剣術は本職ではない上に、今使っているのは慣れ親しんだ武器ではない。力強さも精度も欠けていた。


「その剣、全然扱い慣れていないようだな。それに…以前見た時は、別の武器を使っていたはずだ。」

ファランはふと何かに気づき、口元を歪ませた。

「なるほどな。ローデン様から精神攻撃を受けたか。それで、元の武器を使えなくなったんだろう?」


「ぐっ…」

ジュンは返す言葉がなかった。図星を突かれた悔しさと無力感が胸を締め付ける。


「愉快だな!」

ファランは楽しげに声を上げた。

「その状態でこの俺に挑むとは、随分と舐められたものだ!」


ファランはさらに勢いを増して突撃してくる。ジュン、ルイーザ、そしてウェンディは、それぞれ心の中で覚悟を決めた。絶望的な状況だが、ここで諦めるわけにはいかない。

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